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親心※主人公視点ではありません

 ーコンコン。


「入れ」


 ノックをすると間髪を容れずドアの奥から返事が返ってきた。

 ドアを開け中に入ると、部屋は壁一面本棚に囲まれ、正面には窓が。奥にはその窓を背に、此方を正面にして机に向かって座っている黒髪紅目の美男が不機嫌な表情を浮かべていた。

 もう夜も更けている。窓から入る月光を受けて男は神秘的な雰囲気を漂わせていた。


「遅い。私は早く帰りたいんだ」

「今日帰ってもまだグライエルは居ないぞ。帰省は明日の朝だろう?」

「早く帰って寝ればすぐ明日が来るだろう」

「祭前日の子供か」


 思わず苦笑する。子供の様な事を言う目の前の美男が国民の憧れ、現騎士団長グライエル伯爵とは。


「これが学園業務の報告書だ。此方も中々忙しいんだ。遅くなっても仕方ないだろう」

「わかっている。リランドはどうだ?」


 差し出した書類の束を受け取り、目を通しながら尋ねてくる。親バカか。


「今日授業で手合わせしたが、大したもんだ。しっかり鍛えたんだな」

「当たり前だろう」


 ルーベンス・グライエルは書類から目を離さない。学園は将来の部下を養成しているので報告書はわりと重要だ。


「親バカなお前の事だから、形しか教えてないかと思ったが」

「失礼だな」

「あんな華奢な身体で他の男共よりよっぽど重い剣を振るう。反応も良い。柔軟な対応も出来る。どれだけ鍛えた?」

「……」


 目を通し終わったのか書類を置き、此方を向く。


「あの子が騎士になるしか道が無いのなら、私は父親として、騎士として、あの子が騎士として生きるのに困らないだけの力を与えてやらねばならないと思っただけだ」


 その表情は、どこか悲しげだった。


「あの子に求められる力は生半可なモノではないぞ」

「それは私が1番良く知っている。……それでも。あの子はそれに応えようとしている」


 学園内で憧れの的となっているリランド・グライエル。

 自分の立場を理解し、どれだけの努力をしてその立場を守っているのか。


「男でも安全じゃないぞ」

「それは私もお前も良く知ってるだろう。それも含めて、力は必要だ」


 ルーベンスは苦虫を噛み潰した様な顔をする。

 ラーシュには忠告したが、あれは俺もグライエルも学生時代に男に言い寄られるという苦い経験があったからの忠告だった。


「あぁ、ラーシュ侯爵の次男も中々だな。お前が鍛えたんだろう?」

「あぁ。アドニスは相変わらずか?」

「グライエルにベッタリだな。仕方ないのだろうが」

「羨ましい…!」

「おい親バカ。印象悪くなるから止めろ。明日は会えるだろ。休暇まで取りやがって」


 そう。娘会いたさにこいつはわざわざ明日休暇を取りやがったのだ。


「約半年ぶりだぞ⁉お前は良いなぁ毎日顔見れて‼」

「羨ましいだろう。まぁ、明日はゆっくりしろ。俺も学園業務が無いから休暇中は騎士団に居られるからな」


 お前の休暇の穴は埋めてやる。言外にそう言うと、ルーベンスは苦笑した。


「悪いな。お前には面倒をかける」

「気にするな。親友と可愛い生徒の為だ」

「リランドはやらんぞ‼」

「飛躍しすぎだ‼警戒するならラーシュ侯爵の息子達だろうが!」

「あいつらはとっくにブラックリストだ‼」

「親友の息子だよな⁉」


 とんでもない親バカだな。リラ・グライエルの苦労が察せられる。


「まぁ、報告も終わったし帰るぞ。遅くなって悪かったな」

「仕方ないさ。お前には私の代わりにリランドをみてもらってるからな」


 ルーベンスも帰る為か、机の上の書類をまとめ始める。いくつか持ち帰る仕事もあるのだろう。


「では、失礼致しますグライエル騎士団長。良い休暇を」


 敬礼をすると、苦笑いをしてルーベンスも敬礼をした。


「学園業務ご苦労だった。明日は宜しく頼むぞ、ブラッド副団長」


 ルーベンスの応対に俺も苦笑して、騎士団長の執務室を出た。


























読んで下さる皆様ありがとうございますm(__)m


そんなに過激な描写はしない予定ですが、今後もしかしたらR15に設定を変えるかもしれません…。

初心者なもので至らない事もありますので、何かご意見ありましたら宜しくお願い致しますm(__)m

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