吉報?
「いたぁー!」
別に何処か怪我したとかぶつけた訳ではない。『痛い』じゃなくて『居た』のだ。
カナリー・クリゾンテームが!
あれからサーシャお姉様に手紙を出した。サーシャお姉様は今年からグラナート学園に通っているので私と同じく寮に入っている。グラナート学園の寮はセキュリティが厳しく手紙や荷物は実家からの物しか受け付けない。
その為1度実家に手紙を出して、実家から送って貰わなければならなかったので時間がかかってしまった。
なんと手紙を出してから返事が来るまで2ヶ月が経っていた。
内容から察するに、どうやらお姉様はわざわざ双子のクリゾンテーム男爵令嬢に接触して探ってくれた様だ。
だが本当はお姉様は私に好意を持っている令嬢達とはあまり関わりたくなかったらしい。
どうやら私に好意を持っている令嬢達でグラナート学園に通っている面子はサーシャお姉様とトリアお姉様に取り入ろうとしているらしく、その原因は私の令嬢達に対する態度との事。
私は手紙は貰ったら一応返しているが、誤解が生じるとマズイので失礼の無い範囲で出来る限り素っ気ない文章で返していた。お茶会の誘い等もほぼ完璧に断っていた。そうすればいずれ諦めるだろうと考えていたが、どうやら考えが甘かった様だ。
結果、令嬢達はつれない私にアプローチするより姉達に取り入った方が早いと思った様で、勿論私と婚約などさせる気の無いお姉様方は徹底して関わらない様にしていたらしい。
凄いわー。御令嬢達。私ならあんなつれない態度取られたら心折れるわ。なのに相手の姉達に取り入ってでも婚約しようというそのガッツ。何故そこまで私に入れ込むか。むしろ怖い。
そんな令嬢達の内の1人、ナタリエ・クリゾンテームとその双子の妹ライラ・クリゾンテームに接触してくれたサーシャお姉様には感謝してもしたりない。
クリゾンテーム姉妹はお姉様と関わりを持てる事が相当嬉しかったらしく、探りを入れるのは簡単だった様だ。
グライエル家は奥方が3人いて姉妹が多いと話を振ると、勝手にうちにも2人奥方が居て、1つ下の腹違いの妹が居ると話したらしい。
名前もカナリー・クリゾンテームで間違いないとの事。
これでバッドエンドに一歩近付いた!
後は出会うように仕向けなければ!その為には2年の夏の時点でカナン・クーゲルに夜会の警備研修に選ばれる位成績優秀になっていて貰わなければならない。
…アイツって今成績どんなもんだ?うちのクラスで真ん中辺の出席番号って事は入試の成績は学年全体ではかなり上位の筈だ。
学年最後の試験でまた成績順にクラス替えが為される。
2年の時にまた1組に入れなければ夜会イベントは発生しない。
となると、アイツの成績も調べておきたい。
ていうか私もちゃんと学年末試験でトップ取れんのかな?いや、ちゃんと勉強も鍛練もしてるけど、ゲーム内では必ずトップだったのだ。ゲーム補正とかあるのかな?
試験が年1回って楽だと思ってたけど、今の自分の成績がどの辺りなのか明確に見えないで1年過ごすって、こうなると結構キツいな。
ゲームでは主人公の各種ステータスは見れたけど。現実はそうはいかないもんなー。
ブラッド先生なら皆の成績大体分かるだろうけど、流石に教えてはくれないよなー。
もうすぐ夏の社交界シーズンでいわゆる夏休みに入るけど、通知表とかあるのかなー?
……ヤバイ。自分が心配になってきた。夏休み、父上に稽古つけてもらおう…。あと、ウィリアムに勉強見てもらおう…。
頑張ろう。学年トップ…。