状況整理。
目が覚めて、呆然と、ただ呆然としていた。
今見た夢は自分の前世の最期の瞬間だと理解すると共に、記憶までもが戻って来てしまった。
既に転生して10年、今までの人生分に30年近い前世の人生分の色々なものが詰め込まれた事により、脳がちょっとフリーズしてしまったようだ。
ちょっと頑張って整理しよう。
今の私の名前はリラ・グライエル。
グライエル伯爵家の4女。年齢は10歳。
うん。前世ではサービス業でワーキングプアだったアラサー女から随分出世した。
ちなみに6人姉妹。
父であるグライエル伯爵には3人の奥方がいて、私は第3夫人の子である。
ちょっとややこしいが、第1夫人の子は長女と次女と5女。
第2夫人の子は3女と6女。
嫁も子供も皆仲が良く、権力争いとかなく平和な家庭である。良かった。
ただ。問題がある。
その問題のせいでこんなに子沢山になってしまったのだが…。
グライエル伯爵は好色家ではない。本来ならば第3夫人まで迎える人ではないのだが、どうしても、欲しかったのだ。
男の跡継ぎが。
別に娘しかいないなら婿をとれば良いのだが、グライエル家はちょっと変わっていた。
当主は代々騎士団長を務めていたのだ。
そしてこの国の騎士団は女人禁制。
第1夫人の子が2人とも娘だった時点で姑…もといおばあ様が第2夫人を迎えることを決定。
だが、第2夫人の子も娘。即第3夫人入居決定。
そして私も娘。
ちなみにその間ほったらかしには出来ないと、ちゃんと構っていた第1夫人第2夫人からもまた娘が。
これは畑が悪いんじゃない。種が悪いと3人の夫人は結託し…。
父と姑は肩身が狭くなった。
しかし姑は諦めなかった!
1番父似である私を男として育て、騎士団に入団させると言い出したのだ!
オス〇ルか⁉
そして私は4女でありながら、長男として育てられたのだった…。
だが問題は、それだけではなかったのだ…。