下調べ
明けましておめでとうございますm(__)m
読んで下さる皆様ありがとうございます。
今年も細々と書いていきますので宜しくお願い致します。
危うく遅刻するところだった。
アドニスが呼びに来た事で我に返った私は、慌てて仕度をしてなんとか間に合う事が出来た。
毎朝呼びに来るアドニスをうざいとか思ってたけど、お陰でちゃんと登校出来ているんだからこれからは少し感謝しよう。
毎朝ありがとう。アドニス。多分口に出す事はないだろうけど。
教室に入り席に着くと、朝から見たくない顔が目の前に現れた。
「お早うございます。グライエル様。ラーシュ様。いつもより遅かったですね。どうかなされたのですか?」
「お早う。クーゲル。私が少し用事を片付けていたら遅くなってしまってな」
いい笑顔で挨拶するクーゲルに対して私とアドニスは露骨に嫌な顔…とまではいかないが、表情は固くなる。
前世の夢を見たせいでこの初心者マーク野郎の顔が今朝は余計憎く感じる。こいつ(と同じ顔の奴)のせいで前世は途中リタイアしたんだ。八つ当たりだが絶対許さん。
「そうでしたか。何時もの時間に登校されないので何かあったのかと心配してしまいました」
昨日人に斬りかかっといて何を抜かすか。
「別に何も無い。それより、そろそろ席に戻った方が良いんじゃないか?」
「そうですね。それでは、また」
私の言葉でクーゲルは席に戻っていく。
「昨日あんな事しておいてどういうつもりだ」
居なくなった途端に低い声で呟くアドニス。表情が険しい。
「昨日の事は取り敢えず忘れとけ。何時までも騒ぐのもみっともない」
実は私達はこれでもこの学園内でのカーストでそれなりに上位に居るのだ。学年ではハッキリ言って2トップ。実力重視の学園で今のところ実力もあって更に家柄も申し分無い。
そんな立場の人間が訓練中の事故に何時までもガタガタ騒いでいては逆に此方が立場がなくなる。
しかし、今日の絡まれ方は何時もと違った。普段は挨拶のみなのに。
「そう言えばアドニス。クリゾンテーム男爵って知ってるか?」
「なんだいきなり?知らないわけではないが、そんなに付き合いのある家ではないぞ?どうかしたのか?」
誰が聞いてるか分からないから下手な事は言えないな。
「いや、ご令嬢から手紙を頂いてた事を思い出して」
アドニスもあまり知らないか。うちに来てた位だから父上とは付き合いのある方なんだろうけど。
「お前結構ご令嬢達から手紙貰ってるよな」
「お陰様で。お前もウィリアムも貰ってるだろ」
なんだその責めるような目は。仕方無いだろ。くれといって貰ってる訳じゃないんだ。
「そろそろ婚約者がいてもいい年だろう私達も」
「兄上は居なきゃマズイが、俺はいいよ。後継ぎじゃないしな」
「そうか」
そんな話をしているうちに1限目の先生が教室に入って来たので取り敢えず話を切り上げた。
父上に訊いてみるか…?でももし上手くバッドエンドに出来た時に調べ回ってたなんてバレたら怪しまれるかもしれないし。
でもカナリーが実在するか位は知っときたいなぁ。
カナリーの姉と手紙のやり取りをすれば探れるだろうか?しかし特定の令嬢と交流を持つと好意があると勘違いされるだろうし。もしもの時の為に繋がりは無い方が安全だよなぁ。
こういう時男だと不便だなー。女同士ならまだどうにか…。
…女同士!そうだ!うちにはあんなにご令嬢が居るじゃないか!
1つ上なら三女のサーシャお姉様がグラナート学園で同学年じゃないか!よし!帰ったら早速サーシャお姉様に手紙を書こう!
良かった!6人姉妹で良かった!
安全な下調べの算段がつきスッキリした私は漸く授業のノートを取り始めた…。