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見えた希望

『しかし、なんでギャルゲー買ったの?』

『たまには女の子とイチャイチャしたくて』

『うわ!キモッ‼』

『ひどくね⁉』

『彼氏居ないコ紹介しようか?顔は良いんだからなんとかなるでしょ』

『3次元の女は怖い‼』

『私も3次元の女だっつの‼』

『お前は大丈夫‼』

『それなんか失礼じゃね⁉…まぁいいや、今はどのコ攻略してるの?』

『男爵令嬢だな。夜会で知り合ったんだが、劣等感が凄くて引きこもり気味でなかなか心を開かないんだよなー』

『男爵令嬢…あ、これか』

『また攻略サイトか?ネタバレすんなよ?』

『わかってるよー』


 テレビ画面には赤毛に灰青色の眼の女の子が映っていた…。








 …お早うございます。朝です。突然ですが思い出しました。別の攻略対象。


 忘れないうちに書き出そうと机に向かいノートとペンを取る。

 確か攻略サイトで見た名前は…


 カナリー・クリゾンテーム


 クリゾンテーム男爵家の三女だ。第2夫人の娘なのだが、夫人の身分が低く、第1夫人の娘達にイビられて引きこもり気味だった。

 私達と同い年で15歳の時に嫌々ながら出席した夜会で主人公と出会うのだ。

 見た目のイメージは赤毛のアン。天パの赤毛に灰色っぽい青い眼。文句無しに可愛いのだが、母親の身分が低い事と髪と眼の色が薄汚れていると姉2人に苛められていた。その為劣等感が凄いことになっていた。


 夜会でもやはり所在なさげで庭園の隅に逃げ込むのだ。其処で庭園の警備に配置されていた主人公と出会う。


 確かハッピーエンドでは主人公のお陰で自信を取り戻し立派な令嬢となり、将来的には騎士となり功績を上げ、ナイトの爵位を貰った主人公と結ばれる。これには主人公自体のステータスも高くないと辿り着けない。


 そしてバッドエンド。これはステータスに関係なく落ちる恐れがある。

 主人公は新密度が上がるとカナリーに会いにクリゾンテーム家に訪問する様になるのだが、その際に姉達からアプローチされるのだ。と言っても姉達が主人公に気があるわけではなく、ただ単にカナリーへの嫌がらせである。

 ここで主人公の行動を間違えるとバッドエンドになる。

 バッドエンドになると、姉に主人公を取られたと勘違いしたカナリーが再び自信を失い、主人公を失ったショックで失意の果てに失踪してしまう。

 仮に母親の身分が低くとも男爵令嬢。それが失踪してしまったらそれは事件となる。そして父であるクリゾンテーム男爵はちゃんとカナリーを愛していたのだ。当然カナリーを捜索するが、同時に失踪の原因も探す。

 そこに姉達が主人公とカナリーの関係に問題が有ったと言うのだ。勿論自分達のしたことは隠したまま。

 男爵は娘達を信じ主人公を断罪する。結果騎士への道は閉ざされ、実家からも勘当された主人公はカナリーを探す旅に出る。

 これがカナリールートのバッドエンドだ。


 ……これで良くね?カナリー男爵令嬢には申し訳ないが、直接面識ある相手じゃないし!個人的には初心者マーク野郎にはもっと酷い目にあって欲しいけど、この際贅沢は言えない。そもそも顔が同じだけの他人だしね。目の前から消せるだけでも良しとしよう。


 よし、まずはカナリー男爵令嬢が実在するか一応調べておこうか。


 クリゾンテーム男爵…。あれ?もしかして誕生日の時に居たか?


 机の引き出しからアドレス帳を取り出す。アドレス帳と言ってはいるが、前世の様に電話は無いので手紙をやり取りしたり直接面識のある人の名前と家名、当主名を書いたノートだ。


 誕生日の時に挨拶した来賓の方々は一応皆記録してある。

 身分の高い順に記入したので、少し後のページから開くと…


 いきなりありました。クリゾンテーム男爵。

 しかも、娘の名前もありました。ナタリエとライラ。どちらも年齢は私より1つ上。あ、これ確か双子だ。

 これ、多分姉達だよね?多分ダンス踊ったよなー?ダメだ記憶にない。双子なんて印象に残る筈なのになー?

 どうやらこの時はカナリーは引き込もって来なかった様だ。


 しかも、これライラの方から手紙貰ってるわ。

 マジかー。出来れば関わりたくない家だった。


 まぁ、関わらなきゃならないのはカナン・クーゲルだから。

 来年の警備の研修でカナリーと出会える様に作戦を練らなきゃな。上手くカナリールートに入ってくれれば良いけど…。


 この時、私はすっかり忘れていた。

 今日も学校で、早く支度しないと遅刻すると言うことを…。

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