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次期侯爵の独白

ウィリアム視点です。


結局リラは騎士に成るべく学園に行ってしまった。弟のアドニスと共に。


リラの母上であるシャリア夫人は、うちの母上と親友であった。

そしてグライエル伯爵とうちの父上も互いを無二の親友としている。

その為か、グライエル家の令嬢達の中でもリラとは特に仲良くなった。


リラが産まれたのは僕が4歳の時だ。

ちょうどアドニスも産まれたばかりで、グライエル家に身重のシャリア夫人の見舞いと、アドニスのお披露目に伺った日に産まれた。

侍医も驚く程の安産で、偶々居合わせてしまった僕達もびっくりした。

その時は女の赤子が望まれていなかったなど知らなかった僕は、弟に次いで妹まで出来た様な気分で嬉しかった。


その後もグライエル家には女の子しか産まれず、僕が6歳、リラが2歳の時に、リラを男として育てることになったらしいと父上から聞かされた。

当時既に僕は侯爵家の跡取りとしての教育が始まっていた。

だから妹の様だと思っていたリラが、これからは僕と同じ様に家を背負う為に跡取りとしての教育を受けていくのかと思うと複雑な気持ちになった。

ましてやリラは伯爵家だけでなく騎士団長をも受け継ぐ事を期待されている。

背負わされるモノの重さを思うと可哀想になった。


グライエル伯爵が直々に稽古をつけて下さると言って下さったので、アドニスと共にグライエル家に通うようになった。

稽古には必ずリラも居た。

僕達と変わらない男の格好をして、木刀を振るうその姿は、幼いながらに立派なものだった。

流石に騎士団長直々の稽古だけあって厳しいものだったが、リラは弱音を吐いたことは1度も無かった。


心配になって辛くは無いかと訊いたことがあった。

辛いと言われたら、助けを求められたら助けるつもりでいた。

今でもその想いは変わらない。

だが、リラは1度も辛い等と言わなかった。

父上の様になれるかは不安だが、頑張る。と言って笑顔を浮かべるのだ。


姉妹達がドレスで着飾り、優雅に本を読み、お茶をしている頃。

力を得るため必死になって剣を振るい、領地を治めるに相応しい知識を得るため様々な学問を学ぶ。

いつしかそんなリラを側で支えていきたいと思うようになった。


だが、グラナート学園に入学してからはなかなか会えず、漸く卒業したと思えば今度はリラが騎士養成学校に入学。しかもアドニスと一緒にだ。


なんでグラナート学園は15歳で入学なのに騎士養成学校は14歳なんだ。

いや、訳はちゃんとわかっているが、このすれ違いっぷりは流石に不満だ。自分が居ない間からずっとアドニスが一緒に居るのも気に入らない。


兄弟仲は悪くない。むしろ良いが、リラが絡むと話は変わる。

兄弟間で跡目争いがない代わりにリラ争奪戦が勃発しているのだ。


リラと共に学園生活を送っている弟に殺意を覚えたのだった…。









しばらく出番が無くなりそうなので、ちょっと書いてみました。

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