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続・誕生日

本日2話目です。母親と長女視点になります。

母シャリア視点です。


『不安はありますが…皆が思っているほど不満は無いです』


リラは凛とした表情でそう言った。

6人の娘の中で唯一旦那様の黒髪紅眼を受け継ぎ、私に似た面差しの一人娘。その為嫡男として育てられる事となった。

グライエル家としては6人の娘のうちの一人だが、私にとっては唯一無二の大切な我が子。

望むのならば、公爵家の権力を使ってでも女として生きていけるようにするつもりだった。

だが、リラは言った。不満は無いと。


我が実家プリムヴェール公爵家は、跡継ぎである宰相のお兄様が居て、長女のイリスお姉様は王家に嫁ぎ、筆頭公爵家として地位は磐石なものと成っていた。

よって三女として生まれた私は、結婚も何もかも好きにして良いとされていた。

だからこそ伯爵家の第三夫人であっても、かねてより憧れていた旦那様の元へ嫁ぐ事ができたのだ。

だが望まれた男の子を産むことが出来ず、愛する旦那様と同じ色彩を持つ愛する娘は男として生きていくことになった。

望まれた男の子を産むことが出来なかった自責の念からか、私はそれを認めてしまった。


男として教育を受けていくリラを見る度に後悔した。

私の為に犠牲にしてしまったと。この家に生まれなければ女としてあるべき姿で生きていけたのではないかと。


『家の犠牲になっているつもりはありません』


あの言葉は私の心を軽くしてくれた。それでも後悔は消えないが、昨日と変わって旦那様と瓜二つの姿になったリラは、頼もしく見えた…。




ここから長女エリーゼ視点です。


お父様に続き、広間に登場した今日の主役。

昨日とはうって変わってダークグレーのタキシードに身を包んだリラは、凛々しい嫡男として申し分ない姿だった。


5人の妹の中で唯一、お父様と同じ黒髪紅眼を持ち、それ故男として育てられた妹。


『覚悟は出来ています』


その覚悟があの姿ならば、充分過ぎる覚悟だわ。

誰も実は娘だなんて疑いを持たないでしょう。それ位堂々たる姿だった。

親に連れられて来たであろうリラと年の近い令嬢達がざわめく。

ダークカラーでコーディネートされたリラは、まだ14歳とは思えない妖しい魅力を醸し出していた。

明るい美少年しか見たことのない令嬢達には刺激的だろう。


「婚約の申し込み、一気に来そうね」


その様子を見てトリアが呟く。


「全部断るんですよね?」


リンドが不安気に言う。


「そうね。でも、これだけ女所帯の家に嫁ぐ気概のあるご令嬢がどれだけ居るかしらね」


仮に私達姉妹全員が他家に嫁いでも、3人のお母様方が残るのだ。嫁に来るにはハードルが高いだろう。


「リラを守るためなら、寄ってくる令嬢全部いびるわよ」

「私も、頑張ります‼」

「そんな事して二人とも、悪評が立って嫁ぎ先が無くなったらどうするの」


一応トリアと私には既に婚約者が居る。

私は学園を卒業したらカーディナル侯爵家に嫁ぐ事が決まっている。家族と共に居られるのもあとわずかだ。


「…私達が他家に嫁いでも、リラは一生独りで生きるのね」

「私は、リラお兄様とずっと一緒に居ます‼」


私の呟きに、リンドが意気込む。


「リンドももう13歳でしょう?そろそろ婚約者を決めても良い年よ?」

「私はリラお兄様と一緒に居ます‼」


トリアと顔を見合せ苦笑する。端から見ると重度のブラコンだろう。実際はシスコンだけれど。


「私達は、もう他家に嫁ぐ事が決まっているけれど、リンドはリラの側に居てあげてね」

「勿論です‼」


リラの事はきっとずっと心配するだろうけれど、リンドが側に居てくれる限り、少しは安心できるかしら…。

私も大概重度のシスコンだわ。


リンドの頭を撫でながら、来賓に挨拶をするリラの姿を眺めていた…。




拙い文章ですが、読んで下さる皆様ありがとうございます。

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