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褒めすぎです。

読んでくださる皆様。ありがとうございますm(__)m

「父上。お客様のお相手を為さらなくてよろしいのですか?」


広間へのドアの前で何故か共に待機する父上に尋ねる。


「お客様の相手はお母様方が居れば大丈夫だよ。ほぼ身内の集まりだしね。それよりも、リラを初めてエスコートするのは私でなければね!」


おう親バカ。恥ずかしくないんか。

と言いたいところだがグッと堪える。


「私に似ていると皆は言うが、こうして見るとシャリアにも良く似ているな」

「そうでしょうか?」


お母様はプラチナブロンドに翠の眼。凛とした雰囲気の美女だ。全く似ている要素はないが。


首を捻っていると、ドアが微かにノックされる。

入場の合図だ。


ドアに向き直り、姿勢を正す。

父上が差し出した手を取り、同時に開いたドアの先にエスコートされるまま入っていった…。


…うわお。


広間に居る面子を見て、思わず呻きそうになった。


お祖母様にお母様方、お姉様方に妹達。

ラーシュ侯爵夫妻に息子達。

プリムヴェール前公爵に王妃様に王子様。

結構な面子ですよ。


「皆様。本日はお越し頂きありがとうございます」


父上が挨拶を始めると…


「ルーベンス殿。堅苦しい挨拶は良いから、早く孫娘のエスコートを譲っておくれ」


プリムヴェール前公爵…お祖父様が、ずいっと前に進み出る。

若い頃は母と同じプラチナブロンドだったらしいが、今は白髪が混じり、正直なんか良くわからない。

だがイケメンだったであろうと容易に想像がつく、イケジジイである。


「ライアン様。まだお披露目したばかりですよ。今暫しお待ちください」


父上が笑顔を浮かべ、ガッチリと私の手を掴む。

離す気ねぇな。おい。


「相変わらずじゃのう。しかし、リラは美しく育ったのう。これが見納めだとすれば惜しい事よの」

「本当ですわ。昔のシャリアに良く似ていますわね」

「いつものリラとは全然違うね。綺麗だよ」


いつの間にかお祖父様の横にイリス王妃とルーク王子まで立っていた。

ルーク王子は私の2つ上で、今はグラナート学園に通っている。


「ありがとうございます。王妃様と第2王子様にまでお越し頂き、更にお褒めのお言葉まで…」

「あら。私は貴女の伯母よ?この子は従兄弟だし。そんな改まる必要なんてないわ」


そう言ってバシバシと私の肩を叩く。

王妃様。気さく過ぎんだろ。うち、伯爵家だからね。王家どころか公爵家だって結構身分差あるからね。


「プリムヴェール前公爵、王妃様、ルーク王子、失礼ながら私達もリラ様にご挨拶させて頂いてもよろしいですか?」


そう言って来たのはイケメンの定番。金髪碧眼のラーシュ侯爵だ。

父上と同い年で、幼なじみというかなり美味しいポジションだ。

隣には銀髪碧眼の奥方、後ろにウィリアムとアドニスも並んでいる。


「お久しぶりです。リラ嬢。息子達から話は良く聞いているが、本当に美しくなられた」

「滅相もない。ですが、ありがとうございます」


おい。息子達何話した。


「ルーベンス様に似てらっしゃると思っていましたが、こうして見ると、髪と眼の色は違えど、本当にシャリア様の若い頃にそっくりですわ」


ラーシュ侯爵夫人が懐かしむように私を見る。

侯爵夫人はうちの母と同い年で学園時代から親しくしている。

そんなに似てるのか。後でもうちょっとちゃんと鏡を見てみよう。


こんな感じで皆から代わる代わる挨拶をされ、それが一段落し、歓談していると、パーティーのメインであるダンスが始まった!


やはり最初は自分がと、父上にさっと手をとられ、広間の中心に連れていかれる。


そしてエスコートされダンスを踊り始めたが…。

1つ問題が有った。


私は男として教育されているので、ダンスのステップはもちろん男側。女性をエスコートするように習っているので、エスコートされる女性側のステップが踊れない‼


ヤバい‼と思ったが、流石父上。

踊れない私を上手くリードし、足を踏まれそうになれば巧みにかわす。


騎士団長ってすごい。


1曲目を踊り終わると、次はルーク王子に手を取られた。


流石に王子様の足は踏めん‼

と必死で足をかわしつつステップを踏んでいると、クスッと笑われた。


「僕はグライエル伯爵程上手くリード出来ないから、代わりといってはなんだけど、踏まれても大丈夫だよ」

「いや、流石に従兄弟とはいえ王子の足を踏むわけには!」


そう言って必死でステップを踏んでいると王子は更に笑みを浮かべた。


「リラが妃になってくれたら退屈しないだろうな」

「ご冗談を!」


ステップに必死で発音が強くなってしまった。

王子は苦笑いを浮かべたままダンスは終了した。


次の曲が始まると、相手は王子からウィリアムに替わった。


出来れば避けたかった相手だが、立場上そうもいかない。

せめて足を踏んで牽制しよう。


そう思って一生懸命足を踏もうとするが、何故かかわされる。なんだコイツ。


「リラ。とても綺麗だよ」

「ありがとうございます」


うっとりと見つめてくるウィリアムに目も合わせず礼を言う。

やっぱり怖いよこの人!さっきから足が全然踏めない‼

完璧なリードと視線に恐怖値を一気に上げられ、3曲目が終了した…。


そして次はアドニスでした。


なにこれイケメンと連続ダンスって乙女ゲームのイベント?ここギャルゲーですよね?

てかずっと踊ってると結構疲れるな。抜けてご飯食べたい飲み物飲みたい。


「悪いな。疲れてるのに踊らさせて」

「あれ?読心術?」

「声に出てた」

「あら失礼」


アドニスとは悪友みたいな感じだ。

少なくとも私は。向こうがどう思っているかはさておき。


「未来の騎士がこの程度で疲れてたらまずいだろ」

「慣れない格好で慣れない事してるからだよ」

「そうか」


足は踏んでも踏まなくてもどっちでも良いやと思って踊っていると、意外と上手く踊れた。


曲が終わってお辞儀をすると、アドニスは私をじっと見つめて言った。


「今日だけだっていうのは勿体ないな。すごく綺麗なのに」


うわぉ。鳥肌立った。


なんだろう。イケメン達から誉められてるのに寒気がする。なんだろうこの感覚。


あれだ。例えるならば、BLでノンケの受けがゲイの攻めに言い寄られてるときっとこんな気分になるに違いない。


男として育てられているうちに、どうやら思考が男性的になってしまったようだ。


あれ?私もしかして女好きとかないよね?

前世の約30年はちゃんと男の人好きだったよね?


自分の性癖に不安を抱きながら、その後はラーシュ侯爵とお祖父様と踊り、その都度掛けられる賛辞に最早苦笑いしか返せなかった……。
















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