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エンディング?

「フリジア。クーゲルに何をしたんだ?」


 クーゲルと話した後すぐの休日にフリジアに詳細を聞く為に会う約束を取り付け、外出許可を取りプリムヴェール家に乗り込んだ。


「あら、わざわざ婚約者が会いに来てくれたと思ったら、いきなりね」

「流石に私に何も知られずに終わるとは思っていなかっただろう?これも想定の範囲内だったと思うが」


 私の言葉にフリジアは笑顔を浮かべたまま溜息を吐いた。


「リラは、クーゲルが前世の敵だったら復讐したかったでしょう?」

「それはそう」

「だから、クーゲルと直接情報のすり合わせをして、トドメを刺してやろうと思って」

「で、クーゲルがあの初心者マーク野郎だったと」

「えぇ。確定したから引導を渡してやったわ」


 フリジアはそう言って楽しそうに笑った。そんなに面白かったのかクーゲルにトドメ刺すの。それ私がやりたかったわ。


「クーゲルがあの女がどうとか前世がどうとか騒いでるのは知ってるか?」

「聞いてるわ。私の名前が出たら面倒だったけど、よっぽど前世の話が衝撃だったのか今の私の名前が出てこないみたいで助かったわ」

「危ない橋を渡るなよ。もっとやりようはあっただろ」

「まぁ、上手くいったし良いじゃない。それに、リラに危ない橋を渡らせたくなかったのよ」


 フリジアはそう言ってお茶を口に運ぶ。そういえば、こいつ前世は男でリラが推しだったんだよな。見た目美少女だし、仕草も優雅で完璧な御令嬢で全然男要素がないからすっかり忘れてたけど。


「今は女なんだから危ない事はするなよ」

「リラだって女じゃない。それに今は腕力の代わりに権力があるからそれなりに強いわよ。だから推しであり未来の夫を守るのは当たり前よ」

「推しって言っても、私はゲームのリラとは違うだろ?その辺どうなんだ?解釈違いとかないの?」


 私はゲームをプレイしてないからリラがどんな設定かは知っていても、キャラとしての詳細は分からないから、やり込んでた奴からしたら解釈違いとかあるんじゃないかと今更ながら気になった。


「そう言われてみればあまり気にした事ないわね。何だかんだ子供の頃からの付き合いだし、前世の記憶の代わりに今までの記憶が無くなった訳でもないし、リラはこういう人だと思ってたし、思ってるわ」


 そんなもんか。まぁ、フリジアが良いなら良かったか。


「それなら良いけど。何はともあれ前世の敵は打てたし、主人公が退場したならギャルゲーの攻略対象としての役割はもう終わりか。これで一安心だな」


 思い返すと私を女だと騒ぎ立てたクーゲルの悪足掻きはゲームのバッドエンドそのものじゃないか。ちゃんとバッドエンドに叩き落とせた。本懐を遂げた。

 そう思ったら色々スッキリした気がする。手付かずですっかり冷めてしまったお茶を口に運ぶ。ずっと喋ってたから流石に喉渇いたな。


「……リラって、スピンオフは知らないの?」

「……スピンオフ?」


 お茶を飲み込んでオウム返しに問う。スピンオフなんて出てたのか。知らなかった。でも続編じゃなくてスピンオフ?


「そう。リラが凄い人気キャラでね。プレイヤーからのリクエストでリラが主人公のスピンオフが出たのよ」

「何だそれ?流石に知らないな。……って、主人公?」


 リラが主人公って事は、そのスピンオフは私が主人公って事だよな?


「そう。リラが主人公の、乙女ゲーム」

「……は?」


 リラが主人公の、乙女ゲーム。


 …………。


 私が主人公の、乙女ゲーム?


「私、この世界はギャルゲーじゃなくて乙女ゲームの方じゃないかと思うの。だって、攻略対象揃ってるし……」


 攻略対象?乙女ゲームの?


「それ、誰……?」


 何となく周りの男連中が思い浮かぶ。まさか……。


「ラーシュ兄弟、王子兄弟、お兄様、隠しキャラで梟、2周目の追加キャラでクーゲル、2種類のDLCでブラッド先生、ダラスマニとザック」

「予想以上に多い!?」


 梟から先は全然想定外だったぞ!?


「去年の誘拐事件はそもそもDLCだったのよね。だからもしかしてと思って」

「ちょっと待て、じゃあ、私はギャルゲーの攻略対象じゃなくて乙女ゲームのヒロインだったって事!?」

「もしかして、だけど……」


 だとしたら攻略なんかしてないのにあの連中の好感度の高さはなんだ?乙女ゲームのヒロインとしては何もしてない筈だぞ?


「どんなシナリオでどんなシステムなんだ?そのゲーム」


 私の問いに、フリジアは少し困った顔をした。


「ちょっと変わったシステムでね、狙った攻略対象と結ばれる為に、他の攻略対象の好感度を下げていくの」

「何だそれ?」

「製作者もリラがお気に入りだったみたいでね、リラにつれない態度を取るキャラを作りたくなかったみたいで、攻略対象の好感度はスタートの時点でMAXなのよ」


 ……馬鹿なの?それゲームとして破綻してない?


「それで、攻略対象の好感度を上げて攻略するんじゃなくて、他の攻略対象のフラグを折ってリラが攻略対象を振って、狙った相手だけ残してエンディングを迎えるってゲームシステムなの」


 まて、そしたら私は今までヒロインとして何もしていない。つまり好感度は全員MAX。


「それ、全員フラグ折らずにほっとくとどうなるの?」

「……ハーレムエンドだけど、バッドエンドになる」

「……どういうエンディング?」


 フリジアは言い辛そうに俯いた。


「王城内に監禁されて、日替わりで全員の相手をするエンディング……」


 とても言い辛そうに俯いたままフリジアは答えた。


「……それRいくつ?」

「18……」


 R18……


 R18の乙女ゲームのヒロイン……


 しかもこのままだとバッドエンド……


 つまり……


「なんにも終わってねーじゃねーかよぉぉ!!」


 公爵邸に響き渡るんじゃないかというレベルで叫んでしまった。


「でも、人によっては望むところなエンディングだったみたいで……」

「私が望むところなタイプだと思う?」

「思いません……」


 フリジアが何故か敬語になる。そんなに今の私怖かったか?

 兎に角遺恨を晴らせたのにこのままだとバッドエンド!?

 冗談じゃない!!


「フリジア!全力でバッドエンドを回避するよ!」

「勿論よ!リラと結婚して幸せになるのは私だもの!」


 それはそれでちょっと心配なところはあるが、今回はゲームをちゃんと知ってるフリジアが付いてるから大丈夫だろう。


 早く安心して第二の人生送りたい……


 切実にそう思って溜息が出た……






一応遺恨は晴らせたのでこれで終わりとさせて頂きます。

拙い文章に長い期間お付き合い下さった皆様本当にありがとうございました。


また乙女ゲーム篇として周りの男連中を片付けて行く話を書き始めるかもしれません。よろしければその時はまたお付き合い頂けたら幸いです。

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