戦闘準備。
短いです…。進みが悪く申し訳ありません…。
「そして夜が明けた‼」
「どうしたんですかリラ様。こんな朝早くから」
前世のRPGで良く見たフレーズを目覚めと共に叫んでいると、怪訝な表情のアザレが入ってきた。
「アザレも早いね。流石だね」
「今日は大切な日ですから。リラ様も楽しみで早く起きてしまったのですか?」
「いや、怖くてろくに寝れなかった」
本当に今日という日が怖かったわ。
こんなに朝が来るのが怖かったのは高校受験の前日以来だわ。
「私は楽しみです‼堂々とリラ様を着飾れる日ですから‼何処のご令嬢にも負けない位の淑女にして見せます‼」
目をキラッキラさせるアザレがちょっと怖い。
いや、大分怖い。
「程々に……ね……?」
「いいえ‼今日はラーシュ侯爵家だけでなくプリムヴェール前公爵と王妃様と第二王子様もいらっしゃるんですよ‼」
「え。ウソ?」
「本当です‼」
実は現国王の王妃、イリス・アルカーディア様は、私の母、シャリア・グライエルの姉である。
王妃様と母はプリムヴェール公爵家の長女と3女。
実は私は王子様と従兄弟になるのだ。そしてプリムヴェール前公爵は、私のお祖父様になる。
現公爵は伯父様で、明日の正式なパーティーには出席されると聞いている。
私はなかなかの血筋を持っているのだ‼
てか、王族にバレてるんだよね。女だって。
にも関わらず、男として騎士候補生にするとか国ぐるみの不正じゃね?
「王子まで来なくたって」
「いらっしゃるそうですよ。楽しみになさっていると奥方様が」
恐怖値一気に上がった。もうヤダお腹壊したことにして部屋から1歩も出たくない。
「まぁ。パーティーは午後からですから。午前中はしっかり下準備を致しましょう!」
アザレの笑顔を、今日初めて怖いと思いました。
結論。しんどい。
朝食後薔薇風呂に入れられ、ぴっかぴかに磨きあげられ。
エステ的なマッサージをされ、1度昼食を挟み、いざドレスに着替える頃には、風呂とマッサージと睡眠不足の効果で大層おねむでした。
ヤバい。眠い。寝たい。
帰りたい。いや、ここ家だけど。
うつらうつらしながらドレスに着替えさせられ、髪を結い上げ、化粧を施される。
ずっとアザレとミュゲがキャッキャしながら、時には真剣に私をいじくり倒している。
早く終われ…そう思ったその時。
「終わりましたよ。リラ様」
「如何ですか?」
二人に声を掛けられ、我に帰る。
全身鏡に映った私は、何処のご令嬢かと言う位、最早別人と化していた…。
長い黒髪はゆったりとした三つ編みにされ、肩から前に垂らしている。
ゴールド系だがナチュラルな色合いのアイシャドウに眼と似た色のリップ。
派手ではないはずの色合いで纏められているのに、何故か華やかに感じる。
出来上がりに私は感動した。
すげぇなうちのメイド‼
と……。
そして同時にラーシュ兄弟への恐怖が湧くのだった…。