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ネタバレ・2

年が明けて1ヶ月経ってしまいました。

遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m

「さて、説明してもらおうか?フリジア」

「そうね…簡潔に言うと、ライラの馬鹿な企てを利用させてもらったの。ライラとクーゲルを始末するために」

「クーゲルも?」


 フリジアの言葉に思わず眉をひそめた。

 ちなみにあの誘拐事件の日から3日が経過していた。結局あの日はライアン爺さんと更にストレイタまで混ざって爺孫水入らずで楽しく過ごしてしまって何も話せなかったのだ。


 さて、話を戻そう。ライラはまだ分かる。フリジアにとっては取るに足らない相手だが、ウザいし目障りではあった。

 だが、クーゲルも?


「えぇ。ライラなんかよりよっぽど邪魔だったもの」

「どういう事?」


 フリジアにとってはクーゲルなど私の同級生という接点しかない。それがライラより邪魔?


「だって、主人公だったから」

「は!?」


 フリジアの言葉に思わずでかい声を上げてしまった。

 クーゲルが主人公だったから?なんでそれをフリジアが知ってるんだ?

 いや、なんでも何もないだろう。答えは一つしかない。

 フリジアは、ここの世界がギャルゲーだと知っている。


「リラはこの意味が分かるのね?」

「っ…」


 フリジアの問いに言葉が詰まる。言うべきかどうか。

 いや、隠すメリットも取り敢えず思い付かない。


「あぁ。ここがギャルゲーの世界だって、知ってる」


 私の返事にフリジアは笑顔を浮かべた。


「あぁ!良かった!私の思い違いだったらどうしようかと思ってたの!」

「なんで分かったの?変な行動はしてなかったと思うんだけど?」

「リラ、サラシ巻いてないでしょう?体型補整のタンクトップとショートパンツなんて、ゲームにはなかったもの」

「あぁ」


 そう言えば昔胸はサラシで潰してるのかと聞かれた事があったな。その時にタンクトップとショートパンツの話をしたんだ。まさかフリジアが私と同じ転生者なんて思いもしなかったから気にしてなかった。


「リラはゲームは全員クリアしたの?推しは居た?」


 フリジアは目を輝かせながら訊いてきた。


「いや、私は男友達がプレイしてるのをたまに見てただけだから、自分でゲームをプレイはしてないんだ。だからキャラも攻略ルートも部分的にしか知らなくて」

「あら、そうなの?ギャルゲーは嫌いなタイプ?」

「嫌いと言うか、余り手は出さないジャンルかな」

「男友達って事は、リラって、もしかして前世女性?」


 ギャルゲーと言えば女の子もプレイするが大多数のプレイヤーは男だろう。この世界がギャルゲーだと知ってるという事は前世男の可能性が高いが、私は前世も女だった。

 だが、この感じだとフリジアはもしかして…。


「あぁ。フリジアは、もしかして前世男…?」

「えぇ。全ルートクリアしたし、因みに推しはリラよ!」


 マジか。私に対しての好意が凄いのはそのせいか。

 しかし、前世男でもこんなに立派な淑女になれるのか。いつ頃から記憶があったのだろう。


「フリジアは、いつ頃から記憶があったの?」

「今年に入ってからかしら?いきなり夢で前世の記憶を見たのよね、それがきっかけかしら。リラはいつから記憶があったの?」


 最近なんだな。それなら今までの13年間で培った淑女としての教養は失われないか。


「私は10歳の頃かな。内容は一緒か分からないけどフリジアと同じく夢を見たんだ。前世の自分の最期を」

「自分の最期?」

「あぁ。車に轢かれたんだ」


 思い出すとマジで腹が立つ。ぜってぇ許さねぇあの初心者マーク野郎。


「それは災難だったわね…」

「しかも運転手がクーゲルにそっくりでさ」

「運転手を見たの?」

「あぁ。今でも思い出すと腹が立つよ。祟ってやりたかった位にね」

「そう…そんなに酷い最期だったのね。それは許せないわね」

「でもまぁ、もう転生しちゃったし、今更だけどね」


 心にも無いことを言って1度話を終える。

 要らんことを喋り過ぎたかもしれない。つい同じ転生者だと思って気が緩んでしまったのだろうか。

 正直今更なんて思ってないから似た顔のクーゲルをバッドエンドに叩き落としてやりたいと思ったのだから。


 クーゲルは騎士団の取り調べに対し、得意先の令嬢からの頼みだったから協力を断れなかった、タイミングを見てフリジアを救出するつもりだったと証言したらしく、事実関係を調査する為まだ処分が保留となっている。

 だが、駆けつけたロッドさん達が私に刃を向けているのを見ている。あれこれ言い訳しているらしいが言い逃れは出来ないだろう。

 ライラはもう自分勝手な主張ばかりで事情聴取もろくに出来なくて大変らしい。まぁ、有罪は確定だが。


「クーゲルの処分は免れないかな」

「そうね。どんなに足掻いた所で、相手が悪いもの」


 フリジアは優雅に紅茶を口に運ぶ。

 私も喋り過ぎて喉が渇いたので紅茶に口を付けた。


 これで、クーゲルをバッドエンドに落とせたのだろうか。

 なんかスッキリしない。モヤモヤする。


「ただ顔が似てるってだけで憎かったけど、なんかちょっと罪悪感がわくかも」

「クーゲルが捕まったのは自業自得よ。リラが気にする事じゃないわ。それに…」


 フリジアはカップを置いて、にこやかに微笑んだ。


「リラを奪う恐れのある主人公だもの。理由はなんであれ遅かれ早かれ私達の舞台から退場してもらってたわよ」


 …もしかして、本当にヤバイのはラーシュ兄弟でも王子達でもストレイタでもなく、フリジアでは…?


 掛け値無しの美少女を目の前に、私は寒気を覚えたのだった。














読んで下さる皆様ありがとうございます。

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