イベント?・11
大変間が空いてしまって申し訳ありませんm(_ _)m
「後は私共にお任せ下さい」
クーゲルの仲間とライラを捕らえたロッドさんが私にそう言って敬礼をする。いや、上司の息子とは言え貴方は助けに来てくれた立場なんだからそんなんしなくても。
「では、よろしくお願い致します。フリジアは私が送り届けますので」
取り敢えずツッコミは控えて私も敬礼をする。
そして一応囚われの身だったフリジアの手を取り、肩に手を回す。
誘拐されて怯えている筈の婚約者を気遣う素振りを見せておかなきゃね。
「お待ち下さい。騎士団から護衛をつけましょう」
「いえ、大丈夫です。私とザックとセルゲイが居れば王都内は充分でしょう」
更に梟とフリジアの鼠も居るしね。
「そうですね。失礼致しました」
そう言って再び敬礼するロッドさん。
貴方騎士団でそこそこの立場じゃないの?そんなに上司の息子にへつらって大丈夫?
「助けに来て頂いてありがとうございます。後はよろしくお願い致します」
そう言って敬礼ではなくお辞儀をする。正直茶番だったけど、助けて貰った立場だしね。
「とんでもないです!」
「我々の仕事ですから!」
「勿体ないお言葉!」
「お気をつけてお帰り下さい!」
私の姿を見て他の騎士さん達が一斉に敬礼した。
いや、だからそんなんしなくて大丈夫だって。なんかもう面倒だからさっさと帰ろう。
フリジアに目配せをして、一緒に軽く会釈して立ち去った。
「フリジア。詳しい話を聴きたいんだけど、今日が良い?後日が良い?」
馬車に乗り込んですぐ、私は直球でフリジアにそう訊いた。
「グライエル家でもリランドの帰りを待っているだろうし、明日にしましょう」
フリジアはとても誘拐されていたご令嬢とは思えない朗らかな笑顔でそう答えた。
いやマジこの女狐、前世含め40オーバーの私でもちょっと底がしれないんだけど?
「わかった。じゃあ明日、昼過ぎにでもプリムヴェール家に伺うよ」
「えぇ。お待ちしてますわ」
微笑みながら丁寧に応える。わざとらしい。絶対何か隠してやがるな。だがこの感じだと今日は何も吐かないだろう。明日まで待つしかないか。
そうこうしている間にプリムヴェール家に着いた。
馬車の家紋とセルゲイのお陰ですんなり門を通り、正面玄関前でフリジアをエスコートして馬車から降ろす。ついでに明日の訪問の事とか言ってくか。
格上の公爵家だが、私にとっては母の実家。この家の主達は私の身内なのだ。わりと気楽にフリジアと共にドアをくぐった。
「久し振りだなリラ!」
「うぬっ!」
ドアをくぐった途端、挨拶をする間も与えられず何かに覆われ締め付けられた。
「あら、お祖父様いらしてましたの」
フリジアの言葉に何かの正体を悟った。
「ら、ライアン様。ご無沙汰しております」
私を締め付けているのは私にとってもお祖父様である前プリムヴェール公爵のライアン様だった。
そういや去年の夏休みに会ったっきりだったな。しかし、なんで私が来てると分かったんだ?明らかに玄関で待ち伏せしてたろこのタイミング。
「窓からグライエル家の馬車が見えたからお前だと思って待っておった!」
あれ?私声に出てた?読心術?
「しかし、相変わらず他人行儀な。お前も儂の孫なのだからフリジアの様にお祖父ちゃんと呼びなさい」
「お祖父様。私今はお祖父ちゃんとは呼んでいませんわ」
「お祖父様。今日は領地から帰ったばかりですので、明日また伺わせて頂きます。今日はお暇させて頂きますね」
肩の辺りを軽くぺしぺし叩いて離してくれと訴えてみる。
このままじゃ泊まってけとか言われかねん。早く解放してくれ。
「そうか。なら明日は一緒に昼食を取ろう。儂は明後日の朝領地に戻るからな」
そう言って漸くライアン様は離してくれた。昼過ぎに来ようと思ったんだがな。てかこの調子で明日フリジアに話聞けるか?正直迷惑だな…。だけど…。
目の前の嬉しそうににこにこしているイケ爺を見ると、まぁ滅多に会えないしな。と絆されてしまう。
てか、ほぼ茶番だったとはいえフリジアが誘拐されたと知ったら明日ランチどころじゃないんじゃ…。今言うべきか?
フリジアの方を見ると、にこにこしながら小さく首を振った。黙っとけって事か。
「はい。では、明日お昼前くらいに参りますね」
こちらも笑顔でそう言って、会釈してプリムヴェール家を後にした。
去年は私が誘拐されて、今年はフリジアかぁ…。
プリムヴェール家はフリジアが上手くやるだろうけど、うちの方が帰ったら面倒そうだなぁ…。
「帰るのダルいなぁ…」
思わずポツリと呟いた…。
読んで下さる皆様ありがとうございますm(_ _)m