表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/110

ゲームの裏側。

「リラ様。明日のドレスが届きましたよ」


アザレが嬉しそうにそう報告する。

前世の記憶が戻ってから早4年が経とうとしていた。


明後日は私の14歳の誕生日だ。

そしていよいよ来春から学園に入学する。


そう。やはり私は学園の入学から逃れられなかった。


明後日は誕生パーティーが開かれ、正式に嫡男として社交界デビューすることとなる。

なのに何故『明日のドレス』が届くのか。


『明日』なのだ。『明後日』ではなく。

娘溺愛の父上と、妹可愛いのお姉様方が「このまま一生男として生きていくなどあんまりだ。折角女に産まれたのだから女としての晴れ姿も必要だ」と立ちあがり、正式なお披露目パーティーの前に身内のみでドレスを着せてお祝いをしよう。となった結果。


目の前に赤いドレスが届きました。


赤と言っても暗めの赤で、光沢のある生地に金の刺繍が施され、胸元にはバラのコサージュが付いている。


14歳にしては随分大人っぽい。

何しろこの父親似の黒髪紅眼に凛々しい顔立ち、可愛らしさなど微塵も感じられない容姿のせいで、甘々な可愛らしいデザインが似合わなかったのだ。


しかし、社交界デビューするわけでもない、身内の自己満足の為だけにしては金をかけた気合いの入ったドレスである。


貴族すげえ。


「明日はラーシュ侯爵家の皆様もいらっしゃるそうですよ」

「え。身内だけじゃないの?」

「侯爵家の皆様は、リラ様が本来はご令嬢だとご存じでいらっしゃいますから、旦那様が是非とも晴れ姿をお見せしたいと」


あの親バカが‼要らんことを‼


4年の間に、ラーシュ兄弟の兄ウィリアムは私が通う騎士養成学校とは別の、貴族の子女が通うグラナート学園に入学した。

この国の学園は基本寮に入らねばならず、その為会う機会は大分減った。

それでも休暇の度にうちを訪れ、「少し見ない間に綺麗になったね」等とぬかして帰っていく。

前回の訪問から本当に少ししか経ってないけどな。とその度に思うが。

さらに帰り際には「また来るね」と。


更にもう18歳になり、年齢的に婚約者が居なければおかしいというのに、未だに誰とも婚約していない。


はい。ここまでくれば流石にわかります。

お巡りさんこいつ絶対私狙ってます。


そんな奴にドレス姿でご対面なぞやっちゃダメでしょ‼危ないでしょ‼本当に騎士にする気あんのか⁉


そして弟のアドニス。兄がグラナート学園に入学した後も1人でうちに訓練を理由に来ていた。

割りと物静かな子だと思っていたが、ウィリアムが居なくなった途端良く喋るようになった。

「一緒に学園に通えるのが楽しみだ」「卒業しても騎士になったらずっと一緒に居られるな」等々……。


あからさまだな‼お前も‼


……いや、そもそもゲーム上では主人公のライバルになるわけだから、好意的なのは当然としても、まさかゲームでは見えなかった部分でリラがこんなにアピールされてたとは。


ゲームのお色気キャラを回避する事ばっかり考えて、それ以外の危険を考えてなかったわ。


やはりムッキムキの肉体を手に入れなければならなかったか……。


対策の1つ、筋肉区画分け計画は見事に父上に却下された。

過度な筋トレは美を損なうと止められ、高タンパクな食事も出来ず、結果武術の訓練のみで適度に引き締まったスタイルになってしまった。


やはり予想通りスレンダータイプになりそうだ。


下着の開発も順調に進み、ちゃんとタンクトップタイプの物が完成間近だ。

入学には間に合うだろう。


だが、今は取り敢えず、明日のパーティーで如何に自分の身を守るかを考えなければ……。


挑発的な赤いドレスを眺め、ため息をついた。
























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ