5『異世界』
この人、右手が大砲になっている…?これも本物か…?
男は話しだした。
「ここはな、『スターロード』っていう惑星群だ。但し、中心にあるのは地球でいう太陽のような恒星じゃない。オリジンギャラクシーと呼ばれる巨大惑星だ。この周りに9つの衛星が回っている。どっちかというと衛星群だな…。」
「ストップ。ちょっと待ってください。あなたさっき地球とか太陽とか言いましたよね?それに日本語話してるし…やっぱりここは地球でしょ?」
「くどいぜ…それも今から説明するからちょっと黙ってろよ」
怖っ。
「で、お前がここへ来た方法だが、金属のヘキサグラムに手をかざしてなんとか言ったんだろ?」
「はい」
「それがスターロードへの鍵なんだよ。それをすると地球からこっちに来てしまう」
「じゃぁ、もう一回やれば帰れる…?」
「あぁ、それは違うんだよ。もう何人も試してるが、帰れた者はいない」
「え…じゃあどうしたら…」
「だから帰れた者はいないって言ったろ。帰れないんだよ。神にでも祈るしかねぇんじゃねぇの!」
「そんな…」
返ってきた言葉は想像を超えて残酷なものだった。帰る方法がない。日常へは戻れない。もうアルラにも会えない…?
「俺が日本語ってのを話せるのはな、日本人が随分と昔からスターロードへ来ているからだ。日本の文化が既にこの世界に浸透しているくらいだからな」
そんな馬鹿な…。嘘だろ…?
夢?そうか、これは夢なんだ!ほっぺたをつねるかなにかすれば…。
「痛っ」
「何してんだ」
「夢かなぁ、と思って」
「往生際が悪いなお前」
「普通は信じられませんって」
夢でもない。大体こんなにクリアな夢はもう夢とは言えない。正に異世界だ。
「ところでお前、クロボー…あ、エネミーの話がまだだったな。この世界にはエネミーっていう生命体がいるんだ。さっきのはクロボーっていって最弱のハーエネ…あ」
「?」
「クロボーといえば群れるハーエネだろ。お前襲われなかったのか?」
「いや襲われてたところをあなたが助けたんじゃないですか」
「襲われたっていうのはさ、集団で囲まれたりしてさ」
「囲まれましたよ。2、3体は木の枝で倒せましたけど」
「木の枝!?」
「いや、突いただけで散りましたよ」
「突いただけで散ったぁ!?」
え、何だこの反応。
くどくどと世界を説明してます。ごめんなさい。
次回もお楽しみに!