1『噂』
「でさぁ、マジらしいのよ」
「え、何が?」
終業式の下校途中、アルラこと有明為が話しかけてきた。
アルラは僕のクラスメイトで、強気な女の子だ。ただ、ちょっとオカルトとか超常現象とかそういった怖い話やら噂が大好きで、気味悪がられることもしばしば。付け加えると、僕こと大久保雨月の現在唯一の友達と呼べる存在である。
「ほら、さっき話したじゃん。異世界への扉の噂」
「えぇ~、アレが?」
「実際、アレを試して異世界へ行って帰ってこられなくなった人もいるみたいだよ?」
「それをどうやって確認するんだよ」
「…え~と…わからんわ」
今回仕入れた噂というのが、『異世界への扉』をつくる方法。実際にやると異世界へと飛ばされてしまうらしい。しかし、一人でやらないといけないらしいし、帰ってこないなら成功した確認もできないではないか。というわけでただの噂であろう。
「でもさぁ、消えちゃった人がみんなその噂を聞いた人なんだってさ」
「作り話だって」
「やってみないとわかんないじゃん?」
「え…試す気?」
「道具があったらね~」
「マジですか…」
「冗談冗談」
僕はオカルトとか超常現象は信じないけど、そういうのに首を突っ込むのはよくないと思う。触らぬ神に祟り無し。でもちょっとやってみたかったり…。
「あ、そうだ。僕今年は京都に行くんだ」
「へぇ~」
僕にとっての夏休みの唯一の楽しみ。それは旅行に行くこと。今年は京都へ行くことになった。
「お土産頼むよ!」
「アルラはどっか行くの?」
「あぁ、沖縄に」
「へぇ、それもいいね。僕もお土産頼むよ」
「うん、任せなさい」
一学期が、終わった。
今回も読んでくださってありがとうございます。
キャラクターの紹介がしっかりできていませんでしたのでここで紹介しておきましょう。
大久保雨月
この物語の主人公。高校2年生、男子。
優しい性格の持ち主。
よく物を失う。
有明為
雨月の唯一の友達。高校2年生、女子。
元気で強気。体力が多い。
オカルト好きのせいで気味悪がられ、友達が少ない。
雨月には短くしてアルラと呼ばれる。
まだまだ物語は始まったばかりです。
次回の更新をお楽しみに!