4.事件の解決
警視庁捜査一課。
預かってきたSDカードのデータをチェック中の私と荻島。
香奈子が出て行った後、目出し帽の何者かが入ってきて皆川店長の腹部を刺して殺害した。
「先輩、どうしますか?」
「取り敢えず、鑑識に回して鑑定してもらうよ」
私はSDカードを鑑識課へ持っていった。
「鑑識さん、このデータを鑑定していただけませんか? 終わったら捜査一課に」
「分かりました。終了次第報告します」
鑑識課員がSDカードを受け取った。
私は捜査一課に戻る。
「先輩、お昼行きませんか?」
私は時計を見た。
時刻は正午を少し過ぎている。
もうこんな時間か。
「いいよ、行こう」
私は荻島と共にお昼を取りに出掛けた。
お昼から帰ってくると、机の上に鑑識からの報告書が置いてあった。それには、皆川店長の殺害犯が前科者リストの韮沢 啓太郎という男ではないか、ということが書かれていた。
解析ソフトで目出し帽の何者かの目元と韮沢という男の目を照合した結果、合致したというのだ。
私はすぐさまパソコンで韮沢の情報を引っ張りだした。
「こいつは!?」
驚いたことに、韮沢はあの日、私を撥ねた車を運転していた人物と同一人物なのだ。
ということは、もしかして……!
「荻島くん、出掛けるよ!」
「待って下さい、先輩!」
私と荻島は彼の運転する車で韮沢の自宅があるマンションへ向かった。
ピンポン──と、チャイムを鳴らす。
「韮沢さん! いらっしゃいませんか!」
ガチャリ、と鍵の開く音がした後、ドアが開いた。
私は韮沢に裕一の警察手帳を見せた。
「警察です。ガールズバー・岬で起きた殺人事件のことと、轢き逃げ事件のことでお話をお伺いしたいのですが、署までご同行していただけないでしょうか?」
「ぼ、僕は店長を殺してないし、女の子を轢いた記憶もございません」
ガスン!──私は韮沢を殴った。
「どうして犯人と捜査員しか知り得ない情報を知ってるんだよ!?」
ドン!──私は韮沢を蹴り飛ばした。
「先輩、落ち着いて!」
荻島が私を羽交い締めにする。
「すみません! 二件とも僕がやりました!」
韮沢はその場で四つん這いになった。
「岬の店長を殺害した動機は?」
「女の子を轢き逃げしたことで強請られたんです」
「なるほど。で、パトカーに追いかけられていたのはなぜですか?」
「シートベルトの未着用とスピード違反です」
「女の子を撥ねた後、どうして止まらなかったんですか?」
「捕まるのが怖かったからです」
「そうですか。では、署の方でじっくりお話をお聞かせ願えませんかね?」
「分かりました」
私は韮沢に手錠をかけて警視庁へご招待した。