第8話「王座の間にて」
城外、ラルクVSポンチキ。
ラルク「俺の方? 今、俺の方って言ったよな?」
ポンチキ「ああ、侵入者は2人、男と女がいるってことだったけどよい…戦うならやっぱ男だろい? だから女の方は他の奴に任せたってわけだい」
ラルク「エレク…おいお前、そこをどけ」
ポンチキ「ん? 何だってい?」
ラルク「どけって言ったんだよ!」
ポンチキ「どいて欲しけりゃ俺を倒すことだない。 さぁもっと戦…」
ポンチキが喋りだすと同時にラルクはすでに走り出していた。
右手の拳は赤く燃えている。
ポンチキ「…おうぜ…い?」
ラルク「だからそこをどけって言ってんだ」
走りながらラルクは火をまとった拳をポンチキの顔めがけて繰り出した。
ラルク「"炎拳"!」
ポンチキ「ガファ…ぃ」
ポンチキはそのまま垂直に吹っ飛び、壊れた橋から頭だけを垂らし気絶したようだ。
そんなラルクは城の扉の目の前まで到着していた。
ラルク「ゆっくり見てぇけど急ぐか」
・・・
城内、王座の間。
サンクは普段はプランスかロヌが座っているであろう立派な背もたれつきのイスに腰をおろした。
そして足を組み、笑いながら話し出す。
サンク「さて…トリスティご夫妻。 白いウティがやっと見つかりました」
プランス「ッ!」
サンク「どうにも不思議なことに侵入者の女が持ってたらしくてね。 貴方方は本当に知らなかったという事ですか? しかし何故、侵入者が」
ロヌ「その子には何もしないで!」
サンク「……?」
不思議そうな表情のサンク。
その時、王座の間の扉が開き、エレクとリュームが入ってくる。
リューム「お待たせを」
エレク「お父様! お母様!」
プランス「やはり戻って…クッ」
ロム「エレク!」
プランス「何故戻って来た…」
サンク「…お父様? お母様? エレク…」
不思議そうな顔をしていたサンクが徐々に笑い出す。
サンク「トリスィテご夫妻。 そういう事ですか…これでやっと繋がりました。 つまりそちらの方はトリスィテ家のお嬢さんということですか」
エレク「ええ、そうよ! あんたお父様とお母様に何をしたの!」
サンク「お嬢さんも怖い顔しないで。 白いウティを持ってるんでしょ? それを渡してくれればすぐにでも解放してあげますよ」
エレク(これを渡せば解放)
プランス「駄目だ! エレク、それをこんな得体の知れない奴らに渡しては駄目だ!」
ロヌ「あなた…」
エレク「だけど…」
プランス「駄目だ! 私らはどうなってもいい。 それを持って逃げなさい」
エレク「いいわけないじゃない! 大丈夫、心強い仲間が出来たからこんな奴ら追い出せるわ。 だけど今…」
サンク「意見は食い違うばかりですね…大人しく渡してくれそうもないですし、その心強い方にこられても面倒だ」
リューム「…」
リュームは無言で目を閉じ立っている。
サンク「無理やりというのはあまり好きではないんですが、仕方ない…貴方方から奪うことにしましょう」
プランス「待て! その子には手を出すな!」
ロヌ「私達ならいくらでも…」
エレクをかばう2人。
その2人をかばうようにエレクは両親の前に立つ。
エレク「来なさいよ! 2人に手は出させないわよ!」
サンク「怖い怖い」
サンクは下を向き、呆れたように笑っている。
・・・
一方、城内の廊下。
ラルクは1つ1つの扉を開けながら走っている。
ラルク「クソッ! ホントにデッケェ城だな…一体どこだ? 早くしないと」
・・・
城へと続くはずの壊れた橋の前。
1つの袋がそこに跳ねて来たかと思うと、そのまま同じように跳ねて橋を飛び降りたのだ。
そのまま落下し始める袋。
すると何やら袋の紐がゆるみ、白色の何かがヒョッコリ出てくる。
生物なのかどうなのか…現状ではまだ不明だ。
しかし出てきたものはその"何か"の一部分であることだけは察しがつく。
「ん?…道がなかったのか? ギャッギャッギャッ…何でか知らねぇが出れそうだな。 飛ぶか」
袋から現われしものは一体?
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回、袋から出てくる新しいキャラの登場です。
ではまた次回「エレクVSサンク」へ