第4話「OK」
その音は島にいるもの達、半数は聞こえたと言っても過言ではないくらいに大きく響いた。
上陸準備をしている2人にも勿論、聞こえている。
街人たちの声だろうか。
島はすぐさまざわついてきた。
ラルク「何だ! 今の音」
エレク「(爆発?…お父様、お母様) ラルク! 急ぐわよ」
ラルク「ああ」
準備もままならない中、2人は島へと急いで上陸した。
エレクは手提げのカバンこそしっかりと持ったがラルクは何も持たずに飛び出していった。
街では人々たちが海岸へ向かって逃げているのだろう。
2人はその人混みがくる方へと人ごみを掻き分けながら走っている。
島の中心だろうか?
大きな城らしきものと黒い煙が見える。
どうやら2人はそこへ向かっているようだ。
エレク「あそこの城へ。 急いで」
ラルク「ああ、分かってるって」
エレク(お願い…どうか無事で)
・・・
一方、その城の下。
「何も砲弾をぶっ放さなくてもよかっんじゃないか? 外にだって兵はいるんだし」
「それもそうだが、何せ、"サンク様"の命令だからな。 逆らえはしねぇよ」
「橋が粉々になっちゃって。 出入りが出来ないんじゃないか? 高そうな城なのにな~勿体無い」
「おいおい、そこの2人。 無駄な話は止めとけ。 雷が落ちるぞ」
格好こそ動きやすいようにラフだが髪は緑色でツンツン。
目つきもよくはなく第一印象では恐怖を抱いてしまいそうな印象。
そんな1人の男がポケットに両手を入れながら歩いてきた。
男の注意を受け2人の兵士が慌ててこう言う。
「す、すいません! リューム様」
リューム「しっかり見張っとけ。 他の兵たちもな」
「はい!」
リュームが立ち去ろうとした時、城の窓から声がする。
姿は確認は出来ない。
「おいおいリューム。 何やってんだい? そんな所でい」
リューム「…散歩だ気にすんな」
「そろそろだい。 集まっとけい」
リューム「ああ」
・・・
場面は城内
「時間か…我慢も限界だな」
そういうと立ち上がり部屋を出て行く。
向かった先、部屋の扉の上に「王座の間」と書かれている。
男はそこへ入っていった。
中にはリュームと並んでもう一人先ほど窓に居た男のようだ。
髪は黒髪。リュームより少し小柄な猫背気味の男。
目は細く口からは八重歯を覗かせている。
その口から舌を出し自分の手を舐めては顔を拭き、猫のような仕草をしている。
男が部屋に入ると2人は軽く礼をした。
リューム「サンク様、あそこに」
どうやら入ってきた男がサンクらしい。
金髪で目つきはリュームより悪い。
それは冷たい目、何者をも見下しているようなそんな目だ。
服装は落ち着いているが大きなマントを羽織っている。
サンク「見れば分かるさ」
リュームが指指した方には60代後半くらいだろうか?
年老いた2人の男と女がいる。
サンク「貴方たちを、拘束しだして5日目。 まさか兵を振り切って逃走でもしようとしましたか? おかげで橋が壊れてしまいましたよ。 トリスィテご夫妻」
2人は無言のままサンクを睨み付けている。
サンク「そう怖い顔をしないでください。 話してくれさえすればいいんですよ。 白いウティの隠し場所を」
・・・
その頃、ラルクとエレクは城の目の前まで到達していた。
ラルク「デッケェ城だな~でも壊れてる」
エレク「橋がない!」
壊れた橋の前でラルクは城を。
エレクは辺りをキョロキョロと見渡している。
そんな2人に橋の向こうから先ほどの兵士が大声で話しかけてきた。
「お~い…誰だお前ら! ここらは関係者以外立ち入り禁止だ! さっさと立ち去れ」
ラルク「だってよ。 どうする?」
エレク「そんなの決まってるわ。 城の中へ」
ラルク「OK」
ラルクはニヤついた。
アクシデントはワクワク?
ここまで読んでいただきありがとうございます。
さて城へ行く手段を詳しくはどうしようか考え中です。
ではまた次回「城へ飛べ」へ