第3話「トリスティ島」
天候は晴れ。 波は穏やか。
海の上を行く小船の上。
エレク「そういえばラルク。 お母さんから何か渡されてなかった?」
ラルク「ん? そういや何だろうな」
そういうとラルクはバッグをあさり渡された袋を取り出してみる。
袋は野球ボールより多少大きいくらいの大きさで変わった所もないただの白い袋だ。
袋の出入り口は一本の紐で固く結ばれているようだ。
ラルク「袋だ」
エレク「袋ね」
ラルク「あけてみるか」
渡されるのは見ていたが会話までは聞いていないエレクは何も言わないで見ている。
"時が来たら"
言われたことを忘れているのか意味が分からないのかは定かではないがラルクはすぐさまあけにかかった。
ラルク「んん! ん! ん?…あかねぇぞ、これ。 ビクともしねぇ」
エレク「貸してみて」
ラルク「ほい」
エレク「ホント。 かったいわね、これ…紐が固く結ばれてるというより感じが違う気がする」
ラルク「燃やしてみるか」
エレク「え?」
ラルク「そら!」
そういうとラルクは火を出し袋に近づけた。
エレク「ちょ! いいのそれ?」
ラルク「俺が渡されたんだから問題ない!」
エレク「だけど…全然駄目ね。 焦げ跡すら出来ないのはどういう理屈?」
ラルク「不思議だな~」
エレク(あれ? 今…袋が動いたような…気のせいよね)
時が来たら…時とはいつなんだろうか?
ラルク「なぁ、それよりお前の島ってまだか?」
エレク「そんな遠くはないけど…多分もうじき見えてくると思うわよ」
ラルク「楽しみだな~外の世界なんて見るの初めてだ。 これで夢が1つ叶うし案外すぐ島に帰れるかもな」
エレク(ホント気楽でいいわ)
笑顔のラルクを見てエレクは呆れている。
それもそうだエレクは街が心配なんだから。
ラルク「じゃあ着いたら起こしてくれ」
エレク「は?」
そういうとラルクは横になり寝始めた。
エレク「全く…」
・・・
しばらく経っただろう。
まだ小さくではあるが遠くのほうに薄っすらと島影らしきものが見えてきた。
エレク「ラルク! 起きて! 見えてきたわよ」
ラルク「本当か! お~島だ。 外の島だ。 早く漕げ、漕げ」
本当に寝てたのか疑いたくなるくらいにラルクはすぐに飛び起きた。
そして精一杯、オールを漕ぎ始める。
目では島影が何とか確認できるほどの距離だったが、段々と島が大きくなってくる。
ララライ島と比べると何倍もの大きさであろう。
ラルク「うぉ! デケ~何だこの島。 島か? ホントに島なのか?」
エレク「確かにこの "トリスィテ島" も大きい島ではあるけれど、世界にはまだまだ大きな島や大陸があるわよ」
ラルク「そうなのか? 世界は広いんだな~ん? トリスィテってお前と…」
ラルクの言葉をさえぎる様にエレクが言う。
エレク「さぁ、早く上陸しましょう。 街が心配だわ」
ラルク「お、おお」
上陸準備をし始める2人。
街で鳴った爆音が2人に聞こえるのも、ほぼ同時刻。
早くもトラブル?
ここまで読んでいただきありがとうございます。
船の上での会話だったりが気楽で書いてて楽しいです。
ではまた次回「OK」へ