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心魔道具~クール・ウティ  作者: クレーヴ
第1章-冒険の始まり! トリスィテ島解放編
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第2話「旅立ち」

一晩が経ち、次の日の早朝。

海岸でラルクとエレクは出発の準備をしている。

それを見守るトレンとラッチョも一緒だ。

エレクの乗ってきたらしい船は至って普通。

人が3人ほど乗れる小型のボートのようだ。


トレン「大丈夫? 忘れ物はない? ハチマキは持った?」

ラルク「大丈夫だって、ウティもしっかり持った。 今度、母さんが見るときはただのハチマキかもな」


そういってラルクは笑い出した。


トレン「気楽なんだから。 それと、これ持って行きなさい」


ため息をつきながらトレンは1つの小さな袋をラルクのバッグに詰め込んだ。


ラルク「ん?何だ? 何入れたんだ?」

トレン「時が来たらあけなさい。 大事なもののはずだから」

ラルク「はず? よくわかんねぇけど、まぁいいか」

エレク「それじゃあそろそろ出発しましょうか?」

ラルク「おお! やっと外に…ワクワクが半端じゃないぞ、俺」

ラッチョ「気ぃつけろよラルク。 エレクちゃんも無理しないで危ないことはラルクに任せろ」

エレク「フフ、ありがとうございます。」

ラルク「それじゃあ母さん、ラッチョ、行って来るぞ!」

ラッチョ「おお! 期待して待ってるぞ、行って来い!」

トレン「行ってらっしゃい。 本当に気をつけて無事帰ってきてね」


トレンの顔は笑顔だが、どこか引きつっていた。

そして2人に見送られながら一隻の小船は波に乗っていく。

トレンの心配をよそに2人は笑顔でそう言うのだった。


「行ってきま〜す!」


トレン(あの子が本当に旅立つ日が来るなんて思っても見なかった)


・・・


時は3年前。

暗い部屋でトレンと誰かが話している。

姿、形は見えないがラルクの父親らしい。


「万が一、ラルクの野郎が島を出て行く時、いや…出て行くだろうな。 あいつは俺の子だ。 その時はこいつを渡してやってくれ。 きっとあいつの役に立つはずだ」

トレン「あなたまでいなくなって、そしてあの子も? あの子が島を出て行くのなんて私は反対するわ」

「…トレン。 人は夢だけは捨てきれないのさ。 例え叶うかどうかが分からなくてもな」

トレン「…」

「じゃあ、ちょっくらいってくらぁ!」


・・・


小船は段々と遠ざかり、次第に見えなくなっていく。


トレン(これでいいのよね? しっかりあなたの夢の欠片、渡したわよ)

ラッチョ「行っちまったか…」

トレン「ええ。 でも行ってきますって言ったわよね?」

ラッチョ「ん?」

トレン「それじゃあ "ただいま"って帰ってきたとき "おかえり"って言う日まであの子の帰りを待ってないとね」


そういってトレンは微笑んだ。


ラッチョ「ああ、その通りだ」


それにつられてラッチョも笑うのだった。


天候は快晴。

笑顔で送り出した送り人たちの中で1人、泣いている人影の話はいずれまた…。

その子が泣き止んだ時にでも。


ラルク「待ってろよ! 世界!」

憧れを現実にいざ。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

冒険がスタート。

ここから盛大に長い旅が始まっていく予定です!


ではまた次回「トリスティ島」へ

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