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心魔道具~クール・ウティ  作者: クレーヴ
第1章-冒険の始まり! トリスィテ島解放編
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第16話「メモリー」

プランス「私達が知りえたウティについて教えておこう」

ラルク「ウティについてってどういう事だ?」

プランス「まずラルク君の持っているウティは…」

ラルク「これだぞ」


ラルクは自分の首に巻いてあるハチマキを右手の人差し指で指差す。


プランス「ハチマキかな?…もしかするとそれは」

ラルク「父さんから貰ったんだ。 3年前に島を出て行くときに」

プランス「なるほど…話は聞いていたよ。 それは白いウティだね?」

ラルク「そうみたいだな…白いウティなんてのがあるってのはエレクから聞いて知ったんだけど」

プランス「一般的なウティよりも特別な力を持つ白い力を持つウティ。 謎は多いがその分

力も大きい。 いい例が複数を同時に扱えるという点だ」

ヴォレ「融合ってやつだろ?」

プランス「その通り。 白い力同士は互いの力が合わさり1つの力となる。 しかし融合だけに限らず個々としても2つ以上を扱うことも可能だ」

エレク「つまり融合させなくても複数の力を使うって事が出来るわけね」

プランス「これは基本と言ってもいいだろう。 何も争いの道具に限らず日常生活でもこれを応用されている場面はあるのでね…失礼」


プランスはラルクとエレクのウティを借りると何かし始めた。

手の平に乗せたハチマキから炎を出し、その周りを風が包んでいる。


ラルク「あったけぇ」

エレク「炎の熱を風で流してるのね」

プランス「こんなようにね」


プランスはウティをラルクへと戻す。


プランス「さて…もう少し続けよう。 メモリーはご存知かな?」

ラルク「メモリー?」


ラルクは首をかしげる。


プランス「大丈夫、説明しよう。 ウティは身に着けている者がその力を扱うことが出来る」

ヴォレ「当たり前は事だな」

プランス「身に着けてさえいれば手の平から炎や電気、氷などを魔法のように出すことさえ可能になる。 大袈裟に言えば口からそれらを出す事だって可能になるわけだ」

ラルク「え! そうなのか? 口からか…面白ぇ~今度やってみよう」

プランス「白いウティは複数同時に使うことで力が弱まってしまうというウティのデメリットを解除する…いわばウティのリミッターを外した物とも言っていいだろう。 メモリーもそれに通ずるだろう」


エレクから預かった白いウティが突然、白く輝いた。

その後、エレクへと指輪を戻す。


エレク「今の何したの?」

プランス「フフ」


プランスは少し笑うと、手の平をエレクへと向ける。

すると吹き抜けるように風が通り過ぎるのだった。


エレク「え! 今の風って…まさかお父様?」

プランス「ああ、そうさ。 これがメモリー」

ヴォレ「つまりメモリーってのはその言葉通り記憶。 記憶させちまえば手元にもなくても使えるって要領か?」

プランス「竜の…ヴォレ君だったか。 理解が早い」

ラルク「何だ? どういう事だ? おじさん魔法使いだったのか?」


それを聞き、エレクとヴォレは白い目で、プランスは苦笑いをしている。


プランス「白いウティに自分を記録させてしまえば手元になくても使えるわけだ。 それがメモリー。 私はさっき指輪に自分をメモリーさせたんだよ」

ラルク「そういうことか! それどうやんだ!」

プランス「簡単だよ。 念じればいいだけさ…強く。 そうすればウティは応えてくれる」

ヴォレ「簡単なこったな」

ラルク「念じるのか…おし!」


そう言うとラルクはハチマキを握り目を閉じた。


エレク「お父様」

プランス「エレクもやってみなさい」

エレク「はい!」


同じようにエレクも指輪を持ち目を閉じた。

しばらくするとラルクのウティが、その少し後にエレクのウティが白く光り輝いた。


プランス「メモリー完了だ」

ラルク「お~光ったぞ。 これでもう俺は自由に使えるのか?」

プランス「その通り。 そのウティはラルク君を使用者と記録した」

エレク(この指輪も私を)

プランス「一応言っておくがメモリーを消すのも同じ要領だ」

ヴォレ「つまり同じように念じればいいって事だな。 変な奴にメモリーされたらどうすんだ?」

プランス「心配いらない。 全ては念じればいいだけさ。 しかし逆に言えば君らのメモリーを他の者に消される可能性もある。 そうなってしまっては手元になくては使えなくなってしまう…そこだけは注意しなさい」

ラルク「よし! 何とか理解した。 色々とありがとうな! おじさん」


ラルクは再びハチマキを首に巻くと立ち上がって頭を下げた。


プランス「礼にはおよばないよ。 さてそろそろ料理も出来ただろう…今夜は泊まっていくといい」

ラルク「ご馳走してくれるのか? うぉ~飯だ~行くぞ!」

ヴォレ「ギャッギャッギャッ。 飯だ~」

エレク「…」


そんな中、エレクは1人浮かない顔をしていたのだ。


・・・


大食堂。

長いテーブルの上にはこれでもかというくらいに料理が並んでいる。

全てロヌの手作りのようだ。


ロヌ「さぁさぁ、トリスィテ家の救世主さん達、どんどん食べて頂戴」

「うまそ~いただきます!」


ラルクとヴォレはすぐさま料理に手を伸ばした。


プランス「フフフ、久しぶりに賑やかな食事だ」

ロヌ「おかわりもあるから遠慮せずにね」


そんな言葉は全く意味はなくラルクとヴォレは料理を食べるのに夢中だった。


エレク「…」

ロヌ「ほらほらエレクも食べなさい」

エレク「う、うん」

ラルク「ぼうしだんだ? ぼまえもぴっかり食え」

ヴォレ「汚ぇな。 飲み込んでから喋ろ」

エレク「…お父さ」

プランス「いいんだよ」

エレク「え?」

プランス「お前も一緒に封印したいんだろう? だけど私たちを気にして戸惑っていた。 見ていれば分かるさ」

エレク「う、うん」

プランス「心配要らないさ。 何も気にする必要はない。 お前も私の意志を継ぎ封印を志してくれるのなら私は嬉しい限りさ」

エレク「本当にいい…の?」

ロヌ「私も大丈夫よ。 エレクもラルク君や可愛い竜さんもいるなら心配いらないしね」

ヴォレ「ギャッギャッギャッ。 任せとけ」

エレク「お母様…お父様…ありがとう!」

ラルク「良かったじゃねぇか」

エレク「うん! これで私も目標が出来た。 お父様、お母様、2人の想い私が引き受ける」

プランス「ああ、期待してるぞ…エレク」

ロヌ「だけど無茶だけはしないでね」

エレク「はい!」


返事をしたエレクの瞳は潤んでいた。


ラルク「さぁ、ほら食え食え」

ヴォレ「そうだ、食え食え」

エレク「アハハ。 あんたらが言うなっつ~の。 アハハ」


・・・


賑やかな夕食も終わり長かったような1日が更けていく。

すっかり城も静かになった。

旅の疲れと戦いの疲れ。 

積み重なった疲れ。

それぞれ人々は溜まった疲労を取り除くように眠りにつくのだった。

安息へ。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

ここら辺の設定を最大限、活用できるように努力したいです。


ではまた次回「放たれる刺客」へ

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