第15話「6つの水晶」
時は2年前。
ここはとある島、名を"アンヴワイエ島"。
プランス「随分と遠くまで来たな」
「ああ。 だけど封印場所と最後の1つはさっぱりだな」
「やっぱり噂どおり封印場所なんて存在しないんじゃないかしら?」
「えへへ、だけどあるかもしれないんだし諦めるわけにもいかないよ」
「違いない」
「それに封印方法らしきものも分かったんだ。 それだけでも充分進んでいるじゃねぇか」
「ええ」
「さて、この島も一通り見て回ったしそろそろ行くか?」
プランス「ああ、それにしても不思議な島だったな」
「違いない。 人がいた形跡はあるのに誰もいやしない」
「特徴という特徴は島の真ん中に建っている巨大なアンテナですね」
「一体何だったんだろうね? あれは」
プランス「考えてもしょうがないさ。 あれも一通り調べたが特に何もなかったしな」
「さぁそろそろ行くぞ」
出発準備をする6人。
島の中心に建っているアンテナが少しずつ動き出しているが気づくものは誰もいない。
アンテナから音がする。
「お…り…す…? おく……しあげ…う。 め……と」
何か喋ったのだろうか?
その声のようなよく分からない耳鳴りのあとアンテナが光り輝きだした。
6人はその光に包まれていく。
プランス「うう…何が起こったんだ? ここはどこ…な!」
プランスが目を覚ました場所はプランスがよく知っている景色。
島の中心に建つ城はまぎれもなくプランスの城だった。
プランス「な、何故…トリスィテ島に!」
・・・
プランス「…これが2年前に起きた出来事だ」
ラルク「…」
ラルクは無言でプランスを見続けている。
思いついたかのようにロヌはエレクへとこっそり耳打ちをして部屋を出て行った。
プランス「私が気づいたときにはこの島にいた。 そして仲間の1人に連絡がとれ、彼も気づいた時には自分の故郷に居たらしい」
エレク「全員が自分の故郷へと飛ばされたって事?」
プランス「分からない。 しかしその仲間の話を聞いたときは私もそう思った。 だがラルク君」
ラルク「…」
プランス「君のお父さんは帰ってきていない。 謎は深まるばかりだ」
ヴォレ「ギャッギャッギャッ。 テメェの親父は色々面倒なやつだな」
エレク「他の人たちに会いに行ったりはしてないの?」
プランス「連絡が取れた1人には私も直接、話をしようと会いに行こうとした。 しかし出来なかった」
エレク「出来なかった? どうして?」
プランス「島から出ることができないんだ」
ラルク「出れない?」
プランス「これもあのアンテナの影響なのかは分からない。 しかし島を出ようとしても出れないんだ…まるで何かに遮られるように」
エレク「じゃあその連絡が取れた人から何か話は?」
プランス「彼も光に包まれた後には故郷にいたらしく手がかり何一つ分からなかった」
ヴォレ「そいつは外には?」
プランス「同じく出れないらしい。 他の者達もおそらく同じだろう」
各々が何かを考えるかのようにしばらくの静寂。
ラルク「それよりおじさん、封印の方法がわかったのか?」
プランス「あ、ああ…やはり鍵は白いウティ。 "6つの水晶"」
ヴォレ「スィスクリスタル?」
プランス「水晶に宿りし白い力らしい…それらにはエレクが今持っている指輪には風の力が宿っているように封印の力が宿っているようだ。 私たちはその水晶を5つまで集めた。 そして6つ目を探している途中であの島に誘われたんだ」
ヴォレ「誘われた?」
プランス「その島に立ち寄る数日前に、ある島で黒いフードの声からするに男だろう…その人物に教えてもらって」
エレク「関係性は分からないけど、何か怪しいわね」
プランスは腰をあげると部屋にあった棚から何かを取り出してきた。
プランス「これがスィスクリスタルの1つ」
プランスも右手の平と同じくらいの小さな水晶だ。
ヴォレ「まぁ普通の水晶だが…そんなもんをよく探せたな」
プランス「"クリスタルシェルシェ" 私達はこう呼んだ。 水晶に宿りし水晶を探す探索ウティだ」
ラルク「ん? そんなもんがあるなら何で最後の1つが見つからねぇんだ?」
プランス「不思議な事にその1個だけが何も反応しなかったんだ」
ラルク「そりゃぁ不思議だ」
エレク「その探索ウティは今何処に?」
プランス「分からない。 もしかしたら他の誰かが持っているかもしれないが、しかし大丈夫だ」
ラルク「ん?」
プランス「他のものたちも1つずつ、スィスクリスタルを持っているはずだ」
ヴォレ「話が早いな。 つまり、ギャッギャッ」
プランス「ああ、まずは他の者たちに会いに行きクリスタルを回収するといいだろう。 もちろん最後の1つも探しながら」
ラルク「おし! 」」
プランス「島から出れない私達はこんな事でしか役に立てなくてスマナイ」
ラルク「い~や充分さ。 父さんの仲間の事も分かったし、それに道筋が出来た!」
プランス「島を出れない私は君を待っていた。 いや…君のような私たちと同じ気持ちを持ったものを」
ヴォレ「島を出れないんじゃ封印は出来ねぇからな」
プランス「ラルク君、君の事はお父さんから聞いていたよ。 夢を貫く男だと。 君が封印を志してくれてよかった」
ラルク「ああ。 夢は邪魔させねぇぞ」
プランス「フフ…では私たちの夢、君に託すとしよう。 出ておいで、アクリス」
プランスがそう言うとクリスタルは輝きだし現れたのは不思議な生物。
現れたのは牛のような体長に鹿のような角がはえた四足歩行の生物。
体は全身、茶色く尻尾がチョロンと生えている。
エレク「え! 何この子」
プランス「封印の力は特別なんだろう。 メインとして宿っている力はこの子」
エレク「生き物も宿るって事? 初めて知った…」
ラルク「オモシレェ~な~! 何だこいつ!」
プランス「分かりやすく言えばシカの仲間だろう。 草食動物で力もそれほどない。 しかし人を乗せる事も出来るので移動の時には乗せて貰うといいだろう」
ヴォレ「それなら俺は必要ねぇな」
ラルク「お~凄いな、お前!」
アクリスの頭をポンポンと触ってみるラルク。
エレク「へ~牛みたいだけど角はシカね」
ヴォレ「ギャッギャッ。 結構デカイな」
ラルク「じゃあこれから宜しくな。 アクリス」
アクリス「よ〜ろ〜し〜くで〜す」
ヴォレ「ギャッ? イラツク喋り方だな。 もっとハキハキ喋れねぇのか?」
アクリス「が〜んばりま〜す」
エレク「まぁいいんじゃない。 癒し系よ」
プランス「さて…ラルク君。 君にはもう少し、私達が知りえたウティというものについて教えておこう」
本格指導!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
アクリスは博物誌で登場する幻想動物をモチーフにしています。
ではまた次回「メモリー」へ