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好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


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第6話「永松捜査官による尋問」

「さあ、話すんだ」

俺は今、永松捜査官に尋問を受けている。


斎藤とどんな話をしたのか、

久遠さんとどこへ消えたのか。


その全てを聞くまでは解放しない、

という強い意志を感じる。


「か、勘弁してくだせえ」

「そうはいかない」

「…な、何を知りたいんすか」

「まず、斎藤と何を話したのか、だ」

「…まずいことになったんだ」

ゴクリ。

緊張のあまり、永松捜査官は生唾を飲んだ。


「…斎藤が、久遠さんを意識し始めている!」

「なんだと…!?」

「陰キャの自分に告白してくれた女の子。

意識しないなんて、できるはずがない…!」

「…そういうもんか?」

「そういうもんだよ。

これだからモテるヤツは…」

「まあそう僻むなよ」

ヘラヘラしやがって、クソッタレが…!

自覚しているモテ男ほどウザいものはない。

「アイツ、どうすればいいかな?なんて聞いてきたわ」

「なんて答えたんだ?」

「そんなに気になるんなら話しかけたりとかしてみなよ、と」

「ふむ、それで?」

「陰キャの僕にはハードルが高いよ、だとさ。

ま、そこで背中を押してやるほど俺は優しいやつじゃないからな」

「まあ、それでいいと思うぞ」

ということで、

斎藤が俺のライバルになりつつあることを明らかにした。


ありがたいことに永松は湊斗派の人間だ。

基本的には俺の味方をしてくれる。

こういうところがこいつはカッコいいんだ。

だからモテるんだろうな、知らんけど。


「それで」

「…ん?」

「斎藤の件は大体わかった。

本題はここからだぞ」

「…ほんだいぃ?」

「こら、すっとぼけるな。

お前、久遠さんとどこで何してたんだ!」

「…そんなやましいことはしていない」

「では言えるだろ、何をしていたんだ!」

いい加減にこの捜査官モードウザいんだが。

というか、久遠さんと話してた内容は絶対にお前に言えない内容なんだけど。


"久遠さんの友達の高本さんがお前のこと好きだから高本さんの恋愛成就に協力して欲しい"と依頼を受けた…なんて、絶対に言えない。


「…ハンカチを返してもらったんだよ」

「ハンカチ?」

「昨日、斎藤に振られた久遠さんに渡したハンカチ。

わざわざ洗濯して返してくれたよ」

「それ、教室で良くない?」

そ、その通りすぎる!

まずい、本当のことは言えない…!


し、仕方ない…嘘をつくしかない!


すまない、永松!

高本さんの名誉のため、

本当のことは言えないんだ!


「…久遠さん、恥ずかしがりらしいんだよ」

「お、おう…?」

「教室で俺にハンカチ返すのも恥ずかしかったらしくて、

わざわざ俺を連れ出して返してくれた、らしい」

「…なるほど?」

「分かってくれたか?」

「…すごく嘘くさい」

「なっ」

「…だけど、

何か言えない事情があるのは分かった」

「…すまん」

「…実は告られたか?付き合ったのか?」

「だったら真っ先に報告してるって」

「そりゃそうだよな」

永松に若干、隠し事をしていることがバレた気もするが、

とりあえずは事なきを得たということにしておこう。


その後、何が起きることもなく下校の時間になった。


女子に『一緒に帰ろ〜!』と絡まれている永松の対応待ち。

アイツ、大体俺の名前出して撒こうとするから女子たちに睨まれる羽目になるんだよな。


そろそろストレスで禿げそう。

イライラしていると、永松がこちらへ来た。


「すまん、待たせたな」

「ただちに帰ろう」

俺と永松は教室を出た。

俺のことをずっと睨んでくる怖い女がいたので、

早く逃げ出したかっただけだか。


「…中村さんに睨まれてたな」

「気づいてたんかい」

「…俺もどうも苦手でな、中村さん」

中村さんというのは永松に明らかに行為を寄せているクラスの女子だ。

さきほど、俺のことをずっと睨んでいたのもその中村さんだ。

俺は中村さんのことがはっきり言って苦手だ。

永松と仲が良い、という理由で俺をよく睨んでくる。

別に俺は永松と付き合ってる訳じゃないんだから許して欲しいものだ。

それに俺の恋愛対象は女性だっての。


校門を出て、駅に向かって歩いていると

スマホの通知音がした。


「ん?」

スマホを確認すると、1件のLINE。

久遠さんからのLINEだった。


『今日の夜、ちょっと話せる?』

神イベントきた!!!!!!!

まあどうせ高本さんの恋愛成就大作戦の件だろうけど!!!


「…あおい、って誰だ?

妹さん、そんな名前じゃなかったよな?」

「あ、えっと…それは…」

「…あおい…まさか!?

お前、もしかしてこのメッセージの相手って…」

「な、なんのことやら」

「お前!これ久遠さんだろ!お前!」

「そ、そんなまさか」

「シラを切るつもりか!

いつの間に連絡先を…ハッ!」

「な、なんだよ」

「今日のあの時か、あの時にお前たちは…!」

「だ、だったらなんだよ」

「お前にも望みがでてきたかもしれないな…」

なんかとてつもない勘違いをしている気がする。

連絡先を交換したのは高本さんの件で作戦会議をするためであって…

口が裂けても言えないけど。


「それはどうだろう…」

「久遠さんの連絡先持ってる男子って、

下手すりゃこの学校でお前だけなんじゃ」

「やめろテンション爆上がりすること言うな」

「これは…あるかもしれないぞ」

「何が?」

「脈」

いやいやいやいやいやないないないない。

本当のことを言えないのが非常にめんどくさい…!


「い、いやないだろ」

「ないと言い切れるか?」

「あるとも言えないだろ…」

「それはこれからのお前次第だよ」

「いや急にまともなこと言うのやめて」

「せっかく連絡先交換してるんだからさ、

いろいろ話するといいよ」

「おう…そうするわ」

永松がニヤニヤしてきて非常にウザい中、

それを無視しつつ俺たちは改札を通って

駅のホームに向かい、電車に乗った。


永松の言う通り、

あわよくば、久遠さんといろいろ話できたら

いいなって思いがないといえば嘘になる。


久遠さんがそれを拒まない限り


『今日の夜、ちょっと話せる?』



その日の夜。

俺は妹と晩飯を食べ終えるや否や、

そそくさと部屋に戻ろうとした。


「お兄ちゃん、もう部屋行くの?」

「お、おうちょっと用事がね」

「…なんか怪しい」

「何が怪しいというのかね」

「お兄ちゃん…」

妹が非常にニヤニヤしている。

こいつ、何がとんでもない勘違いをしてないか?


「…お兄ちゃん、ご飯食べてすぐに…は

さすがに怪しいよ」

「おいなに勘違いしてんだバカやめろバカ」

「じゃあ何?何するの?」

「友達と電話」

「あー、そうなの?誰?斎藤さん?」

「いや、別の人だね」

「ふーん」

妹はそれ以上は追求してこなかった。

追求してこられても困るけど。


そそくさと部屋に戻って、

約束の時間になるのを待つ。


ものすごく緊張する。

好きな人と今から通話…。


そうこうしているとLINEの通知が来た。


『電話、かけていい?』

いいに決まってるじゃないですか…!

よし、その旨を伝えるぞ。


『モチのロン』

早速、通話がかかってきた。

慌てて通話に出る。


「も、もしもし…」

「…こんばんは、日向くん」

「どうも」

いよいよ"好きな人と通話"イベントの幕開けだ…!

ブラコンの妹が、兄に女の影を感じた時。

どうなってしまうのか。。。

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