表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/24

第5話「友人の恋のお悩み相談室、そして…」

1時限目が終わったあと、

斎藤の恋バナに付き合ってやることにした。


教室で話してしまうと、

久遠さんやほかの人に聞かれる可能性があるため、

教室の遠くの方の階段の踊り場へ向かった。


昨日、何があったかを聞かされるんだろう。

初耳です!って感じのリアクションをしなければ…


「で、話って?」

「昨日、日向が帰ったあとの話なんだけど」

「うん」

「部活の用事が終わったから教室に戻ったら、久遠さんがいて」

「ほう」

「久遠さんから、告白された」

「マジか」

「驚いたよね。

まさか久遠さんが僕のことを…なんて」

「確かに、ビックリだな…

それで、告白の返事は?」

「…僕と君じゃ釣り合わないと思う、って断ったよ」

「…そうか」

その断り方、ちょっと思うところがある。

この際だ、ちょっと問い詰めてみよう。


「ちなみに、なんでそんな断り方したんだ?」

「…久遠さんからの告白は素直に嬉しかった。

女性に好意を持たれるなんて、って。

でも、僕は教室の隅でラノベ読んでる人種だよ?」

「だな」

「そんなヤツと付き合ってる、ってなったら

久遠さんのイメージが悪くなっちゃうんじゃないかな」

「…久遠さんはそんなこと気にしないと思うけどな」

「それは…そうかもしれないけど」

「…俺だったら、OK出して付き合うんだけどなあ」

「…そうだよね」

まあ、大体は予想通りだ。

自分への自信のなさと申し訳なさで振ったんだろうと思っていたが、やはりそうだった。


しかし、まだ何か言いたげな様子だ。

なんなんだろうか。


「それで?」

「えっ?」

「まだ何かありそうな顔してるけど」

「…バレちゃった?」

「話してみな」

「…それ以来、久遠さんのことが気になってきて」

「…ええ?お前が最初に振ったのに?」

しまった本音が声に出てしまった。

しかしコイツ…まずいな。

久遠さんを気になり始めているぞ…

というか、今まで気になってすらなかったのか!?

なんてやつだ…!


「それは…分かってる。

でも、なんか意識してしまうんだ」

「まあ、告白してきた相手のことを意識するよになって…

みたいなのってあるらしいからな」

「…僕はどうすればいいのかな?」

「やりたいようにすればいいんじゃないか」

「…と言うと?」

「久遠さんが気になるなら、

話しかけたりとかしてみたら?って話」

「…陰キャの僕にはハードルが高いよ」

「…じゃあ好きにしな」

悪いけど、俺は背中を押してやらないぞ。

精々、自分で自分のケツ蹴り上げてくれ。


自分でもわかってる。

俺は性格が良くない。


誰にでも優しいコイツとは違う。

今日から俺とこいつはライバルだ。


そもそも、こいつは一度、

その優しさで久遠さんを泣かせてる。


そんな優しさ、クソくらえだ。


俺は勝ちを譲ってやるようなことはしないぞ。


勝ちたいんなら、

自分で勝ちを掴み取りやがれ。


「…そろそろ授業始まるぞ」

「そうだね、戻ろうか」

俺たちは教室へ向かった。


教室へ戻って自席へ腰掛けると、

永松がなんかジロジロ見てきた。


「何か」

「斎藤と何を話してたんだー?」

「それは…後ほど」

「それは楽しみだな」

永松はニヤニヤしている。

本当にこいつは俺の恋愛事情が好きだな。


「ああ、そういえば」

「ん?」

「久遠さん、お前のこと探してたぞ」

「エッ」

「お前から話しかけてやれよな〜?」

「そ、そ、そ、そんなこと、できぬ」

「久遠さんがせっかくお前に用があるのにかー?

もったいないなあ」

「う、うるせ」

「とにかく、話しかけてこい!いいな?」

「わかったよ…」

2限目の授業が始まった。

正直、気が気じゃなかった。


「…ふう」

2限目の授業が終わった。

意を決して、立ち上がる。


よし、行くぞ、行くぞ…話しかけるぞ。

久遠さんの席に…いない!?


「なッ…」

久遠さんが…いないッ!

一体どこへ…


「…何キョロキョロしてるの」

背後から久遠さんの声がした。

死ぬほどドキドキした。


「あ、久遠…さん」

「…どうしたの?」

「あ、いや…久遠さんのこと探してて」

「…私に何か用?」

「いや、そっちこそ」

「…そうだった。ちょっと、来て」

久遠さんに裾を掴まれ、

奥の階段の踊り場へ連れていかれた。


なんだこの神イベントは!?

俺は今日死ぬのか…?


「…はい、これ」

久遠さんは俺が昨日貸したハンカチを差し出してきた。

これを返そうとしてくれていたのか…


「あ、これか…」

「…ちゃんと洗濯してるから」

「これはどうも…」

「…改めて、ありがとう」

「いや、別にそんな」


というか、

これのためにここに連れてきたのか?


「え、これのためにここに…?」

「…それだったら教室で済ませてる」

「それはそう」

「…永松くんって、

付き合ってる人とか…いるの?」

「…は?」

「…あ、違うから。

私が永松くんを…って訳じゃないから」

「では、誰が…?」

「…2組の高本 舞華」

「ああ、その人ってもしかして

よく教室に来てる久遠さんの友達…?」

「…そう、その子」

「高本さん、永松狙いだったのか…」

「…ふふ、見えないでしょ?」

「いや全然見えない」

「…教室に来てるのは私に会うだけじゃなくて、

永松くんに話しかけたくて来てるんだよ」

「えぇ…?

話しかけてるところ、見たことないけど」

「…問題はそこなの。

「見るだけで満足、とか言ってて」

ちょっと前の俺みたいで親近感…。


「話は読めた」

「…本当に?」

「俺に協力してほしいんでしょ?

永松と比較的仲の良い俺に…」

「…その通り」

久遠さんに人気のない場所に連れてかれたと思ったら、

こういう要件か〜〜〜!


いや、まあ…うん、そりゃそうだよな。

まあ、他でもない久遠さんの頼みだ。


斎藤と2人きりになる場を…とかに

比べたら全然マシだし、いくらでも協力しちゃる!


「わかった、協力するよ」

「…いいの?」

「いいよ」

「…作戦会議したいので」

久遠さんが携帯を見せてきた。

こ、こ、これはァーッ!!!!

連絡先の交換かァーッ!?!?!?


「…LINEとインスタ、どっちがいい?」

「あ、その…LINEで」

「…変な投稿でもしてるの?」

「そ、それは…いや、なんというか」

久遠さんが肩を震わせている。

またしても笑われてしまった。

この笑顔が見れるなら良いけどな!


こうして、

俺は久遠さんとLIMEを交換することが出来た。


「…LIMEの名前、"あおい"なんだ」

「…変?」

「いや、全然」

「…そっちは"MINATO"なの?」

「英語表記、かっこいいかと思って」

「…ふふ、理由がダサい」

またしても笑われてしまった。

まあいいのだ。

この笑顔のためならいくらでも笑われよう。

でも〜〜〜〜恥ずかしい!!!


「そ、そろそろ!教室!戻らないと!」

「…ふふ、そうだね」

俺と久遠さんは、二人で教室に戻った。

自席に座ると、

永松がとんでもなくニヤニヤしてこちらを見ていた。


せいぜい笑っているがいい。

俺が久遠さんとお近づきになるために

お前を利用してやるぜ…!


今のうちに楽しんでおくんだな。

クックック…!

インスタとかLINEとかって

名前そのまんまだとあんまり良くなかったりするんでしょうか…?

とりあえずは名前そのまま出してるんですけども。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ