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好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


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第43話「初デート!後編」

「お前が好きだァァァァァァァッ!!」

「私も好きだァァァァァッ!!」

「俺と付き合ってくれェェェェェッ!!」

「喜んでェェェェェェェェッ!!!」

拍手喝采。こうして二人は結ばれた。


「「…」」

うん。俺が告る前に知らない男性が知らない女性にパワフルに告白し、知らない女性がパワフルにOKを出して、パワフルなカップルが誕生した瞬間に立ち会った。

え?俺とあおいたんのやり取りな訳な訳がないだろ。俺はともかく、あおいたんがあんな大声出すわけないだろいい加減にしろ!


「すごいものを見た気がする。豪快なカップルの誕生を」

「…プッ」

「なんか、俺の話を邪魔されちゃった気分だけど、まあ気を取り直して…」

さて、俺も彼みたいに大声で愛の告白を…


「…何しようとしてるか分からないけど、やめて」

「アッハイ」

良からぬことをしようとしていたのがばれていた。いかんいかん。


「では気を取り直して。この1年間、今思えばいろんなことがあったよね」

「…そうだね」

まじで色々あった気がする。ここまでえらい遠回りをした気がするし。


「永松と高本さんをくっつけようとしてみたら、あいつら勝手にくっついてあんまり俺たちがサポートする必要なくなったり」

「…舞華、舞い上がってたね」

「そう、彼女は舞い上がる。それはまるで華のように」

「…名前にかけてる?」

「はて、なんのことでしょうか。それに、斎藤が久遠さんのこと振った癖に、振った後に意識し出してまさかの告白ときたもんだ」

「…もう少し早く言ってくれれば、違う結果になってたかもって思う」

「俺だったらまず最初の告白で振るのがありえない選択肢なんだよな」

「…あの時、日向くんは聞いてたんだったよね」

「腹下してトイレから出たら聞こえてきちゃって…」

「…プッ、だからその情報いらないんだってば」

「まあとにかく。俺はふたりがくっついてくれなくて良かったなって思うのよ」

「…くっつけば良かった、じゃなくて?斎藤くんと雨宮さんの仲は手助けしてたから」

「いや、その…雨宮の気持ちが報われないのもなんか可哀想だろ。斎藤は久遠さんに気持ちがありつつ、雨宮に対してなんかよくわからない感情を拗らせてるんだから」

雨宮のことはいけ好かないが、別に憎いわけでもない。かわいい後輩とも思ってないが、まあ手助けしてやらないほどでもないということだ。


「…むっ。やっぱり雨宮さんに優しい」

「斎藤と雨宮がくっついてくれたら俺にも都合が良いというだけさHAHAHAHAHA」

「…そうなの?」

「雨宮のことが好きだったら、斎藤との仲を取り持つなんて回りくどいやり方せず、振られた雨宮を俺が元気づける手段を取るって」

「…私にしたみたいに?」

ん?今なんとおっしゃいました?

え?待って?え、待って??

待って?????


「…な、何の話かな」

「…好きな人が振られた時は、好きな人と"好きな人が好きな人"の仲を取り持つんじゃなくて、自分が元気づける。そういう人だもんね」

「…そ、そうです」

「…雨宮さんにはそうしなくて、私の時はそうした理由、何かあるのかな?」

「誘導尋問がすぎる」

「…答えて、日向くん」

「それは…」

彼女は俺の気持ちにとっくに気づいている。いつから気づかれていたのかなんてどうでもいい。もしかしたら最初からその下心を見抜かれていたかもしれない。

でも、彼女はそんな俺のことを拒まなかった。少なくとも、嫌われてはいないはず。今では、もしかしたら彼女も俺のことを、という可能性すら存在しているほどだ。

しかし、それは明確な事実ではない。今から俺が言う言葉によって、それも全て明らかになる。言うのは怖い。気持ちを伝えるのは怖い。斎藤に告白した時の久遠さんだって、雨宮もきっと怖かったに違いない。誰だって怖い。そういうもんだ。


言って後悔することもあるかもしれないが、言わないで後悔することよりはマシだと思う。だから俺は彼女に伝えたい。


「俺が君のことを好きだから、そうした」

「…そっか」


「ずっと好きだった。1年の頃からずっと。言いたいことをはっきり言える強い所に惹かれた。でも、君と仲良くなって分かった。いついかなる時も言いたいことをはっきりと言える無敵の人じゃないってことが」

彼女は黙って俺の話を聞いてくれている。だったら俺は彼女に気持ちを伝えるだけだ。


「君が斎藤に恋していることを知った時はショックだった。でも、告白したくてもなかなか気持ちを伝えられないっていう意外な一面を見て、驚いたと同時に可愛いなと思った。そんな君の告白をアイツが断った時、本気でムカついた。だから俺は君を元気づけたかった。あわよくばっていう下心がなかったと言えば嘘にあるけど、とにかく笑って欲しかった」

「…そう、だったんだ」

「そこから君と仲良くなって、君のいろんな一面を知ることができた。お笑いが好きだけど、ちょっと笑いのツボが独特だったり。音楽が好きで、意外とゴリゴリのロックを聴いてたり。食の好みが俺と近かったり。いろんな一面を知る度に、君のことをどんどん好きになった」

「…うん」

「君には好きな人がいる。渡部の告白を断った時とかにそう言ってたから、それは分かってる。その相手が誰なのかはよく分からない。俺だったらいいな、なんて思う」

違う違う。俺はそんなことを伝えたいんじゃない。そんな言い方じゃなくて、どうしたいかをはっきりと伝えなければ。好きな理由は伝えた。なら次は?決まってる。


「俺と、付き合ってくれないかな」

「日向くん、ありがとう」

ん?え?


「私ね」

「うん、うん…?え?あれ?もしかして」

「…ま、待って!とにかく話を聞いて」

あ、あえ?なんだ?この流れは?え?返事は?なに??え??待って?待って??振られる?いや、待て。何かを言おうとしている。結論を急ぐんじゃない。


「…ごめん、取り乱した。続けて」

「私ね、あの時に日向くんがハンカチ渡してくれた時、嬉しかった」

「あ、ああ…あの時か」

「私だったら、自分の好きな人が自分の友達に告白した後に、そんなに優しくできるか分からないよ」

「でも、アレ下心がなかったといえば嘘になるから…」

「それでも、だよ。日向くんが私のことを思って、気遣ってくれたことが本当に嬉しかった。斎藤くんを好きになったのは優しい人だから、だけど」

「う、うん」

「日向くんを好きになったのは、優しいからだけじゃなくて、日向くんが一緒にいてとっても楽しいから、でもあるんだ」

「うん…うん?」

「私も、日向くんのことが好き。他の子に優しくする日向くんを見て、嫉妬しちゃうくらいに日向くんのことが好き」

凄く嬉しいことを言われているし、すごく可愛いことを言っている。好きな人に好きだって思ってもらえて、それを言葉にして貰えるのってこんなに嬉しかったんだ。知らなかった。


「そんなヤキモチ焼きの久遠さんが俺は大好きだよ」

「…う、うう…。ほんと?」

「ホントホント。俺が雨宮や女神アカリンと仲良くしてたらすーぐ機嫌悪くなるから、嫉妬してるのバレバレだったよ」

「…そ、そんなはずは。って、女神アカリン…?なにその変なあだ名」

「あんなの見せられて、もし脈ナシだったら俺マジで女性不信になる所だったよ」

「…脈アリだよ。私なりにアピールしてきたつもりなんだけど」

「でしょうね。だからこそ、この子もしかして俺のこと…ってよく思ってたよ。好きだって言葉にして貰えて勘違いじゃなかったってようやく確定して嬉しく思うけどな」

「…うん、勘違いなんかじゃないよ」

って、待て待て。なんかイチャイチャトークをナチュラルにしてしまってる気がするが、大事なことを教えてもらってない。


「…それで、告白の返事は?」

「…えっ」

「ちゃんと言葉にして欲しいなーと。俺と…付き合ってくれますか?」

「…はい」

「よろしくお願いします」

俺は、手を差し出した。


「…よろしくお願いします」

彼女は、その手を握り返してくれた。

ということで、ここまで随分とかかった気もするが、ようやく俺たちは恋人になれた。


「…それで、さ」

「?」

「俺たち、付き合ったんだからさ。その…呼び方変えてコーナーに差をつけない?」

「…呼び方?」

「ほら、永松たちは下の名前で呼び合ってるじゃん。まあアイツらは付き合う前からそうだったけど」

「…もしかして、羨ましかったの?」

「めっちゃ羨ましい。俺も久遠さんのこと"あおい"って呼びたいし、"みなと"って呼ばれたい!」

「…ふふ、素直だね。湊斗くん」

いけませんか?ツンデレより全然良いと思うんです。いや別に高本さんを貶してる訳じゃないよ。ツンデレヒロインはアリだと思うよ。


「…あ、あおい…た」

「そんな呼び方で呼んだら別れるから」

「ごめんなさい嘘ですそんな呼び方しないので別れないでくださいお願いします土下座でもなんでもするので許してください」

「…じゃあ、ちゃんと呼んで?」

「分かったよ、あおいちゃん」

「…なんか、やだ」

え、ええ?あおいたんもダメで、あおいちゃんも嫌なの?


「じゃあ、なんて呼べばいい?」

「…呼び捨てがいい」

あら。そうだったのねあおいたん。悪いけれど、ワタクシの心の中ではずっとそう呼ばせてもらうわよ。


「葵…これでいい?」

「…もっかい呼んで」

「葵」

「…もっかい」

「あおい」

「…もっかい」

「アオイ」

「…もっかい」

いや何回呼ばせんだよ!今日で一生分の葵をを消費する気か。


「じゃ、じゃあ…帰る?」

「…うん、そうだね。帰ろっか、湊斗くん」

ぐ、ぐぐ…名前呼び慣れねえ…悶え死にそう。


「ん。帰ろう、葵」

俺は手を差し出した。付き合ったんだから、別に手くらい繋いだっていいよな。


「…うん、湊斗くん」

あおいたん…いや、葵はそのまま俺の手を掴んで…そのまま…繋…ええ?抱きつい…ええ!?


「な、ななななななにを」

「…別にいいでしょ」

ぎ、ぎゅーされてしまった。いきなりこんなこと…しかも外で…きゃ、きゃーーー!!!


「いつも思うけど…葵は不意打ちがエグい」

「でも…好きでしょ?」

「大好きです。もっとしてください」

「…外ではあんまりしないよ?」

「今してるじゃん」

「…浮かれてるからだよ」

「自覚あったんかい」

「…湊斗だって浮かれてる癖に」

「はい、浮かれてます。浮かれすぎて無重力状態、ゼログラビティです」

「…一緒に宇宙まで行っちゃおっか」

「無限の彼方に、さあ行くぞ!」

俺たちは無限の彼方…ではなく、それぞれのおうちへ帰るのであった。


めでたしめでたし。

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