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好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


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第41話「後輩がグイグイ来るけど、僕はどうしたらいいんだよ!」

あー話長い。

いつまで愛を語り合ってんだアイツらは。


まあ、斎藤が雨宮のことを大事に思っているのは分かってるし、告白を断ったのもアイツなりに雨宮のことを大事に思っていて、誠実でありたかったからだと思う。まあそこで振って雨宮を傷つけてしまう辺りが斎藤 泰成って感じなんだけども。


部長先輩と中身のない上辺だけの雑談をしまくって時間を潰していたが、部長先輩は至って普通の好青年で何も掘り下げることもない。

先輩についての情報を特別に公開しよう。先輩は、斎藤や陰木田とは異なり、ライトノベルではない一般の小説作品を愛好する文学男子。また読むだけでなく、小説投稿サイトでも小説作品を投稿するなど、小説を書くことも楽しんでおり、全国高等学校文芸コンクールにて優秀賞を受賞するなど、その実力を評価されている。

さらに、部長先輩と同じように小説を愛好し、同じく執筆活動も行っている文学少女である副部長先輩とは交際関係にあるらしい。

あえて言ってしまうなら、斎藤泰成の上位互換だ。

まあ今後部長先輩と深く関わる予定もないので、部長先輩との会話で得たこの知識は明日になればもう忘れているであろう。

部長先輩の自分語りをひたすら聞いて時間を潰していると、ようやく雨宮が部室から出てきた。


「部長。ご迷惑をお掛けしました。もう大丈夫ですよ」

それを聞くと、部長先輩は俺に軽く会釈してから部室に消えていった。自分語りをするだけして、さっさと戻ってしまうなんてなんて男だろう。


「日向先輩、部長も何を話していたんですか?」

「あの人が文学的才能に溢れて、恋人にも恵まれる完璧超人であるという話をずーっと聞かされてた」

「そうですか。部長と副部長とは最近、共同でひとつの作品の執筆をしているのですが、それぞれの方向性が違って微妙に噛み合わず、衝突することが増えてしまい、二人の空気があまり良くないので我々部員は少々困っています」

ほっといたれよ。なんかそれはもう簡単に解決できなさそうで関わりたくない気持ちしかないよ。


「ところで先輩、あ、ありがとうございました」

「ん、別にお礼言われるようなことしてないぞ」

「…先輩が私たちの仲を心配してくださり、いろいろと動いてくださったおかげで、私たちはなんとかやっていけそうです」

「お、もしかして付き合えた?」

「…残念ながら」

「あ、その…ごめん」

「ですが、まだ希望はあります。斎藤先輩は恐らく私に何らかの感情を抱いているけど、それにまだ気づけていないんです」

「それをヒロインが言うのはちょっと…相手の気持ちに鈍感であれよ」

「どの口が言ってるんですか。まあ、ワンチャンあるということですよ」

「あんまワンチャンとか言うな。まあ、アイツはお前のことを大事に思ってる。それは俺にも言ってた」

「そ、そうですか」

「で、これからお前はどうするんだ?なんとかやっていけそうとは言ってたけど」

「私と先輩は前みたいな関係になるのではなく、新しく関係を始めることにします。私がグイグイ迫って先輩を翻弄する王道の流れで必ず先輩と付き合ってみせます」

「お、おう。頑張れよ」

「…それもこれも、日向先輩のおかげです。本当にありがとうございます」

「だから俺言われるようなことしてないっての」

「…せっかく私がデレているのだから、先輩も素直になってください」

なんだよ、急に可愛くなるのやめろよ。

全く、そういうことあんまりほかの男子にするんじゃありません!


「そういうのは斎藤にしてやれ。まあ、感謝の気持ちを伝えたいんなら俺に飯奢ってくれ。それくらいの働きしたと思うんだよ」

「後輩に奢らせようとするなんて先輩失格ですね」

「"先輩なら後輩に飯を奢るべき"などという先輩らしさを俺に押し付けんな。とか言って俺もそう思ってるんだけど。ま、頑張れよ」

「…はい、先輩」

雨宮にお辞儀をされてしまったので、照れくさくて振り返ることもせず手を振ってからその場を後にした。


これで一旦は大丈夫だろう。正直なところ、斎藤と雨宮が無事にくっつくかどうかは俺には分からないが、これからの雨宮の頑張り次第でそうならないとは言えない。斎藤の方もまだ自覚はしていなさそうだが、雨宮に対して何らかの気持ちを抱いていることは俺から見ても明白だ。そんな不純な状態で久遠さんを好きでいたなんて許し難いが、久遠さんとくっつくことはこれでなさそうなので結果オーライだ。頑張れ雨宮。

題して"後輩がグイグイ来るけど、僕はどうすればいいんだ!"。スピンオフにご期待ください。(嘘)

そういえば、斎藤が読んでたラノベにそんな名前の作品があった気がする。タイトルの割に幼馴染がグイグイ来ないって斎藤がぼやいてたような気がするが、果たして?まあ、そんなことはどうでもいい。


「…帰ろ」

なんかとっても疲れたので、家に帰ってお風呂に浸かることにする。疲れた時はシャワーではなくお風呂でゆったりするのがベストだ。

昇降口で靴を履き替え、そのまま歩き出し、校門を出て、とぼとぼと駅に向かって歩き出す。


「…日向くん、今帰り?」

校門を出たところで、思わぬ人物に遭遇し

た。そう、それは私服姿のあおいたん。まあ別に今日初めて見る訳じゃないけどね。何回か皆で出かけてるし、その時にも私服姿は堪能させていただいている。しかし、こんな時間にどこに行くのだろうか?今、夕方だけど。


「まあね。そっちはお出かけ?」

「ちょっと、本屋さんに行こうかなって」

「俺も漫画の新巻買いたいからついて行っていい?」

「…うん、いいよ」

しれっと俺もついて行く作戦は、本人の了承を得たことにより無事成功を収めた。

私服の久遠さんと学生服の俺が一緒に本屋に行くという奇妙なシチュエーションになってしまったが、これはいわゆる放課後デートというものだろう。

とはいえ、カップルのそれとは違う気がするが、放課後に好きな女の子と一緒に帰ったり、一緒に寄り道したりするのは憧れるイベントだよな。

まあ今回は特殊な事例だが、いつかはカップルとして正式に一緒に帰ったり、寄り道したりしたいものだ。


「…今日、遅かったんだね。何か用事?」

「斎藤と雨宮、この間の花火大会以降気まずい感じになってたんだけど、斎藤は仲直りしたそうだったからちょっと手助けをね」

「…あの二人、どうなったの?」

斎藤と雨宮のことと彼女は無関係とは言えないのもあり、やはり気になってはいたのだろう。雨宮の斎藤への好意は俺たちにとっては周知の事実だった訳だしな。

とにもかくにも、斎藤と雨宮達がどうなったのかを久遠さんにも近くの本屋さんに向かいつつ、話すことにした。


「部長が…彼女持ちで…コンクールで…」

「…日向くん、その情報はいらないかも」

「あ、そうすか…」

怒られてしまった。気を取り直して、今日起こったことを久遠さんに教えた。


「…ふむ。じゃあ、斎藤くんは雨宮さんのことを?」

「その可能性がある、という話だよ。雨宮曰く"ワンチャンある状態"とのこと」

「…ふふ、諦めてないんだね」

「そういうこと。まあ、あの二人はそのうちくっつくかもしれないな」

「…日向くん、"また"振られた子を元気づけたんだ」

確かに、俺にとっては2回目だ。しかし、今回は何の下心もない。雨宮に思うところがあったのは事実だが、雨宮に好意を抱いていて、彼女に泣いて欲しくないという理由などではない。ただ単に友人だから、それだけだ。


「まあ、雨宮は一応友達…みたいなもんだし」

「…斎藤くんのため、じゃないんだ」

「斎藤のためにそこまでしてやる義理はねえっすよ…」

「…日向くんって、雨宮さんのこと…好き?」

「はい?」

思わず聞き返してしまった。何をどうしたらそう思えてしまうんだろうか。


「ちょっと考えてみて欲しい。仮に俺が雨宮のことを好きだとして、何故斎藤との仲を取り持つ必要があると言うんだい?」

「…好きな人に幸せになって欲しいから、とか?」

「それじゃ俺が幸せになれないのでそういう選択肢は取らない。そう、つまり俺は雨宮に行為を抱いているわけではないのだ!」

何かまずいことを口走っている気がしなくもないが、デマはコミュニティノートで訂正しておかなければならない。


「…そ、そんなに必死にならなくても」

「久遠さんには、誤解して欲しくないから」

久遠さんがそっぽを向いてしまった。ちょっと頑張って遠回しの好きアピをしてみたのだが、さすがにキモすぎただろうか。明日の告白、キモがられすぎて振られないか心配だ。


「あ、明日ッ、何時集合?」

声が裏返ってしまった。キモさにキモさを重ねてどうする。


「え、あ…うん、12時くらい…?」

「お、おけ…12時にみたらし駅で」

なんか気まずくなってしまったので、そそくさと欲しい漫画をレジに持っていき、会計を済ませて、お互い解散してしまった。


とりあえず、明日はついにデートだ。

そして、ついに告白…できるだろうか。頑張れ、明日の俺。

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