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好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


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第39話「私は嫌いじゃないですよ」

「おい、佐伯どういうことだ!?お前、雨宮と絡み合ったのか!?そんな素振り一度も見せなかったじゃないか!なんだ、実はお前雨宮に気があったのか!?雨宮に!?雨宮

なんかに!?」

「湊斗、ちょっと落ち着きなさい。あと雨宮たゃんはあなたに当たり強いだけで他の人にはそんなことないわよ」

「…私、斎藤くんに好かれてるって理由で一方的にライバル視されてたよ」

「葵ちゃん、ややこしくなるから今は静かにしてね」

「…ひどい」

「ああ、全くもってひどいな。謝罪しろ土下座しろ。中学からの親友とて許せん!」

「はいはいごめんなさい」

「どうする?随分と投げやりな謝罪だけど」

「…謝罪を受け入れます」

「だそうだ。良かったな神崎」

「葵様の寛大なお心に感謝しますー。これでいいかしら?」

「完璧だ」

「葵ちゃん、コイツに毒されてきてるんじゃない?縁切った方がいいわよ」

本当にひどい。自分泣きますよ?お願い、縁切らないであおいたん。明日デートするのだから。明日のデートはせめて行ってください。いや明日でサヨナラもそれはそれでいやだ。


「で、佐伯。お前、雨宮となんか絡みあんの?何?ほかの女に目移りしてんの?神崎裏切るの?浮気なの?浮気予定なの?許され

ないよ?」

「湊斗、落ち着きなさい!"友達思い暴走病"出てるわよ!自重しなさい!」

なんだその聞いたことのない類の思春期症候群は。全く、誰が青春ブタ野郎だって?誰もそんなこと言ってないか。俺に国民的アイドル女優の彼女はいない。


「…ふう。で、佐伯、実際のところどうなのよ」

「さっきから俺そっちのけなのやめてくれよなー。さすがの俺でも傷ついちゃうぞ。スイちゃんは文芸部の後輩なだけだって。なーんもない。なーんもないから」

「ふーん、文芸部かそうかなるほどってええええええええ!?」

「え、そこなの湊斗」

「そーだよ、逆に知らなかったのかー?」

いや知らなかったよ!今明かされる衝撃の真実だよ!前にチラッと聞いたことあったけど、2年のもう1人の文芸部員ってお前だったのかよ!全然知らなかったわ。いやマジで。


「え、知らなかったの俺だけ?ねえ知ってた?」

「…初耳」

「ほら久遠さんも初耳だとおっしゃられているではないか!」

「あれー?そうだっけか?」

「まあ確かに俺はお前に興味全然ないから聞き漏らしていても不思議ではないけどもさあ…もうちょっと文芸部員アピールしてくれてもよくない?何をお前今更新設定追加してんだよいろいろイベント終わってんだよ」

「そ、そんなこと言われても知らねーって」

まあとにかく、コイツが"謎に包まれていたもうひとりの2年生の文芸部員"の正体であったことがわかり、雨宮との繋がりがあることも分かった。しかしだな…


「"スイちゃん"ってのはお前、どうなんだ?付き合ってもない後輩の女子を下の名前で呼ぶのはさすがにさ。しかもお前今のところは彼女いる身でしょ?」

「おい湊斗!?"今のところは"って!?」

別に深い意味は無いけど、神崎とお前がいつまでもカップルでいるかなんて保証はどこにもない。神崎は中学からの親友だから幸せになって欲しいとは思うが、佐伯に対して別にそんなに思ってないので…まあ傍から見る感じは仲は悪くなさそうだが。


「俺、誰にでもそんな感じだぜ?湊斗も湊斗って呼ぶし、アオちゃんも」

「おい貴様、軽々しく久遠さんを名前呼びするな。そんな権限は与えられていない。身の程を弁えろ」

「こえーよ!分かったよ!クオちゃん!これねいいだろ!」

「…クオちゃん」

クオちゃん本人はあんまりしっくり来て無さそうだが、俺の前でアオちゃんなんて呼ばせて溜まるか。全く、あおいたんと呼びなさい。まああおいたんも本人から嫌がられてるから俺は心の中でしかそう呼ばないんだがな。

まあ、そう言われてみればコイツ距離感バグってるから、相手をすぐ下の名前で呼んだりしてくる人種だったことを思い出した。どうせ斎藤のことは"ヤスくん"とか呼んでるんだろうな、知らんけど。


「彼女いない俺が雨宮をスイって呼ぶな

らまだしも、お前みたいな立場のもんがそう気軽に女子を名前で呼んじゃいかん!神崎のことだけ名前で呼ぶように!いいな!」

「うぃーす。リオちゃんだけ呼ぶようにしまーす」

そうそう、それでいい。リオちゃんというあだ名のセンスはこの際どうでもいい。神崎を特別にしてやれ。


「…日向くん」

「ん、なに?」

「…雨宮さんは、"雨宮さん"だよ」

「お…おう?そうだよ?」

じーっとあおいたんに見つめられている。え、何?俺なんかした?こわい。なんでそんな目で俺を見るの?


「湊斗、アナタも…人のこと言えないわよ」

神崎がそう言うと、あおいたんはプイッと顔を逸らしてしまった。一体なんなんだ。明日デートなんだけど大丈夫か?なんか怒らせてしまったか?俺が何をしたと言うんだ。


一気に飛んで放課後。

俺と斎藤は文芸部の部室のドアの前までやってきていた。


「おい、覚悟はいいか?」

「…う、うん。大丈夫だ!」

「よし。俺が合図したら入ってこいよ」

「わかった」

ということで、一足先に斎藤より先に文芸部の部室に入った俺は、部長に『また来たのかい…』と面倒なやつがやってきた顔をされて少々傷つきながらも、ちゃんと雨宮が部室にいることを確認し、少し安堵する。


「お、雨宮いたか」

「…先輩が今日部室に来い、みたいな言い方してきたんじゃないですか」

「まあ細かいことは言いっ子なしで。実は今日はお前に話があるってヤツを連れて来たんだ。さあ、入ってこい!」

「私に話?一体どこのどなたですか…あっ」

「雨宮…」

「…斎藤先輩、お疲れ様です。では、私はこれで失礼します」

「「ちょちょちょちょちょ」」

「…なんですか?先輩の顔なんて見たくないんですが」

「おいおいスイちゃん〜そう言うなって」

「佐伯先輩みたいな呼び方やめてください」

あ、もう今ので雨宮から佐伯はどう思われてるかちょっと察してしまった。どうせ部下内でもアホ…いや、そもそも来ていないのか。幽霊部員は恋人の有無で決まるのか?これはとんでもない真実にたどり着いてしまった。部長先輩、強く生きて。


「では、失礼します」

まずい、このまま雨宮を帰してしまうのは良くない!

ということで、部室を出ていってしまう雨宮を追いかける。本来、こういう役割を斎藤がすべきなんだが、女絡みになるとてんでダメなのが我が友人の斎藤 泰成だ。"彼女"への想いにケジメをつけたのであれば、俺はアイツのこれからを多少はフォローしてやるだけだ。


「雨宮!」

「…この流れで追いかけてくるのが、どうして日向先輩なんですか」

「斎藤はそういうとこあるから」

「…全くです。こういう時に追いかけてきて欲しいって、わかって欲しいんですけど」

「追いかけてきたのが俺で悪かったな」

「いえ。日向先輩のそういうところ、私は嫌いじゃないですよ」

「おいデレ期か?気持ちは素直に嬉しいんだが、俺にはあおいたんというものが」

「違います勘違いしないでください付き合ってもないのに久遠先輩の彼氏面しないでくださいキモいです」

「ひどいなあ。で、ちょっとは落ち着いたか?」

「…はい。ちょっとだけですが」

「まあ、なんだ。斎藤もさ、お前に伝えたいことがあるとかないとか言ってたから、お前も言いたいこと全部ぶちまけてスッキリしたらいいんじゃないか?」

「…そうですか。斎藤先輩の伝えたいことなんて予想できますけど」

「それも込みで言いたいこと言ってこい。ほら部室に戻った戻った」

雨宮は何も言わず、部室へ引き返していく。その表情からは、何かを決めたような、そんな感情が見受けられた。

さて、邪魔者はこれで退散しますかね。


「…あ、部長先輩が部室にいるままだ」

しまった、完全に忘れてた!このままでは部長先輩が気まずさで死んでしまう!


「ぶ、部長先輩ィィィィィィィッ!!!」

間に合え、間に合え…ッ!

焦る気持ちを胸に、勢いよく部室のドアを開けると。


あの流れから普通に部室に入ってくる俺に困惑する斎藤と雨宮。そして気まずさで気配を殺している部長先輩。


「部長先輩!ちょっとトイレ行きましょう!」

「えぇ!?」

「いいから!」

部長先輩の回収に成功しました。それでは二人でごゆっくりお話してください。

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