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好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


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第38話「雨宮 萃は怒っている」

文芸部の部室にて、雨宮への聞き込み開始。

なんで俺がこんな逆転する弁護士の証拠集めパートみたいなことしなければならないのか分からないが、とりあえず進めていく。


「斎藤がお前と仲直りしたいらしいんだけど、お前らそもそも喧嘩してんの?」

「仲直り?あんなウザい人となんて仲良くしたくありませんが」

ウザい人扱いされてるけど、斎藤お前何したんだ…ああ、コイツのこと振ったんだった。前回の反省を踏まえてそんなにこっぴどく振っちまったのだろうか。


「待った!」

「どうかしましたか?」

「お前と斎藤、何かあったのか?花火大会の日はそれほど険悪じゃなかったじゃないか」

「あの時は悔しい気持ちもありましたが、斎藤先輩があの場で久遠先輩に告白するであろうことは予想通りでしたし、結果もあっさり振られてスッキリしたので」

ナチュラルに酷いこと言ってるな。仮にも失恋してるんだからそんなこと言うてやるなよ、と思わなくもないが雨宮はその斎藤に振られているんだからそれくらい言う権利はあるか。この件に関しては外野の俺がとやかく言うことではない。


「じゃあ、その後に何かあったのか?」

「ええ。それからというもの、斎藤先輩は私との関係修復に勤しんでいました。来る日も来る日も私と仲直ししたい!前みたいに戻りたい!と必死にアピールしてきて、私はうんざりしてしまいました」

「斎藤のことを諦めない気持ちはありつつも、やっぱり多少なりとも距離を置いてリセットする期間が欲しかったってことか?」

「まあそんなところです」

「けど、斎藤がその期間を設けるのを許してくれず、グイグイと来るもんだからムカついちゃったと」

「はい。その通りです」

斎藤くんさあ、これもう詰みじゃない?関係修復どころか逆に関係悪化しちゃってて俺にはもうお手上げなんだが。


「あんまり答えたくないかもしんないけど、斎藤のことはまだ好きか?」

「…はい。簡単には諦めきれません」

そういえば久遠さんは、斎藤に振られてからどういう経緯で斎藤への気持ちに整理を付けられたんだろう?雨宮みたいにまだ好きだと思っていてもおかしくなかったのに、この間の花火大会では斎藤からの告白を逆に振ってたし、何があって心境の変化があったんだろうな。まあ、そんなことは知る由もない。知る必要もない、か。


「斎藤はこれまでみたいに仲良くしたいって言ってたけど、それじゃ不満?」

「…私と、仲良くしたいと思ってくれるのは嬉しく思います。でも」

「でも、なんだ?」

「これまでみたいに仲良く、じゃ私は満足できないんです」

ああ、雨宮は"キミとはこれからも友達でいたい"と言われているような気がして、複雑な気持ちになってるんだろうな、これ。


「お前の言い分、ちょっと分かる気がする」

「…本当ですか?」

「俺さ、周りがそういう扱いをしてくるからノリで付き合ってみたけど、お互いに対して恋愛的な感情を持てず、友達に戻ろうってすぐ別れたことあるんだよ」

「先輩、恋人がいたことあったんですね。解釈違いです」

「公式との解釈違いに嘆くファン仕草はやめてね。まあ、俺の場合は"前みたいに仲良くしたい"っていう提案をできて、相手もそれを受け入れてくれたのは、お互いに恋愛感情がなかったから、だと思う」

「…そう、かもしれませんね」

仲直りしたい、という提案自体は悪くない。だが、その伝え方が良くない。それを斎藤はわかっていない。俺からそれを指摘するのは簡単だが、これは外野である俺が干渉していい部分じゃない気がする。


「ってことで、話はだいたいわかった。今日は一旦帰る。明日も部室に顔出せよ。じゃあな」

「え?日向先輩、ちょっと」

「部長さんもお邪魔しましたー」

話を強制的に切り上げ、部室をあとにした。


教室のドアの前まで戻ってきた。

さて、斎藤のやつはまだ残っているだろうか?

残っていなければ、明日話するだけだが。


ガラガラッと教室のドアを開ける。


「斎藤、いるかー」

教室を見渡すと、人の気配が全然ない。

しかし、人が1人もいない訳ではない。


「うわ」

「「あっ」」

見知ったカップルがそこにいた。

密着してハグしている場面に遭遇した。

安心して欲しい、服は着ている。


「あっ!?み、湊斗…これは」

「ひゅ、日向!違うのよ、これは」

「すまん…ごゆっくりィ!!」

ういーっすWAWAWA忘れ物…の人みたいに、慌てて教室から出ていった。アイツら教室で何してんだ浮かれすぎだろいやらしすぎだろみっともなさすぎだろ。


どうやら斎藤は帰っちゃったみたいだし、バカップルは教室でイチャついてるみたいだし、あおいたんは当然いないし、今日はとっと帰るとしよう。



翌日。

ついに明日はあおいたんとのデートだというのに、なぜよそのカップル(?)の心配をせにゃならんのだ。

というわけで、1限目の休み時間になり、斎藤に話しかけています。


「斎藤さーん」

「ん、ああ、日向か…どうかした?」

「ちょーっと話あるんですけどーいいですかー?」

「構わないけど…何かな?」

「いいから、はよきなさい」

ということで斎藤を廊下に連れ出して、ちょっと雑談タイムと行きましょうか。


「話って、何かな?」

「別に大した話じゃないんだけど、お前は本当に雨宮とこれからも"これまでみたいに"良くしたいんだな?」

「え?あ、ああ。そうだけど」

でしょうね。そのままじゃ雨宮に塩対応されて終わりそうなんだが、雨宮の気持ちを俺がコイツに勝手に伝えるのも何か違う気がする。


「んー、そうか。じゃ、今日の放課後に文芸部の部室行くぞ。"これまでみたいに仲良くしてよぉん"って雨宮に伝えにな」

「でも、雨宮さんは今日は部活来るかどうか」

「来るよ。きっと来る。大丈夫、だから行くぞ」

「…?」

「まあそう怪しむな。多分来るから」

来てくれなかったら俺泣いちゃうぞ。てか来なかったらもう知らんぞ。俺は明日あおいたんとのデートなんだ。お前らがどうなろうが別にどうでもいいが、どうせなら憂いなくデートを満喫したいんだ。まあどうでもいいのだが、別に。


はい、と言うわけで昼休み。

「ふむ。つまり、湊斗は斎藤くんと雨宮さんの仲直りに協力してあげてるわけね?」

神崎たちに『最近何をしているのか、怪しい』と言われたので斎藤と雨宮の仲直りのために俺が動いてやってることを

「まあ、そこまでしてやる義理もないんだけどな。別に斎藤のために何かしてやりたい訳じゃない」

「雨宮さんのため、ということかしら?葵ちゃんというものがありながら、関心しないわね」

「いや別にそういうんじゃねぇよ!?」

葵ちゃんというものがありながら、という絶妙に触れづらいフレーズは聞かなかったことにする。

まあ、言わなくともわかるとは思うのだが、俺は別に雨宮のことが好きだから、元気づけたい訳じゃない。もし俺が雨宮のことを好きなのだとしたら、わざわざ斎藤と仲直りさせる訳がない。俺が"彼女"にそうしたように。


「斎藤は雨宮と前みたいに仲良くしたいって言ってる、雨宮もそれ自体が嫌な訳では無い」

「問題になっているのは何なの?それだけ聞くと、特に問題はないように思えるのだけれど」「雨宮さんは"前みたいに"ってところに引っかかってるのよ」

「なんでだー?俺がスイちゃんだったらヨッシャー!って感じだけどなぁ」

「光、アナタは黙って…え?」

「佐伯、お前な…ん?」

「…?」

「え、なに?なんだよ!?」

「「「…『スイちゃん』?」」」

「佐伯、お前…雨宮となんかあんのか…!?まさか!?お前、雨宮のことを!?神崎というものがありながら!神崎というものがありながら!?」

「…佐伯くん、それはないよ」

「光、どういうことかしら?」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!話す!話すから!話すから!!」

果たして、佐伯と雨宮の関係は!?

ネタバレ。別に次回に引っ張るまでもない。

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