第28話「文化祭前夜」
溜まってた分その4。
今日は文化祭の前夜祭。
うちのクラスは残ってメイド喫茶っぽい雰囲気に教室を魔改造している。
しかし、ガチのメイド喫茶っぽい雰囲気のある本格的な設備は誰がどうやって揃えたのだろうか?
業者に頼んだのかというクオリティなんだが。
「なんだ、どうした湊斗」
「いやクオリティエグすぎるだろ」
「確かに凄いよな…。 なんでも、うちのクラスの美術部が本気を出した結果こうなったらしいぞ」
「うちのクラスの美術部、一体何者なんだ」
「まあおかげで準備ももうそろそろ終わりそうだし、良かったじゃないか」
「まあな。明かりの消えた廊下ってちょっと怖いしな」
この間、担任教師が実はサイコパスで文化祭の準備で残っていた生徒たちを猟銃で…というおぞましい映画を見てしまったので正直怖い。
「…日向くん、何かに怯えてるの?」
「ああ久遠さん、コイツはこないだ観た映画怖くてビビり散らかしてるだけだよ」
「…それって"善の教壇"?」
「あ、それそれ!あれもう怖くて〜!!」
「…日向くん、意外とビビりなの?」
「おばけ的なのは大丈夫なんだけど、ヒューマンホラーは苦手なんだよね…」
「…本当に怖いのは生身の人間だもんね」
「そう!そうなんだよ!」
「なんで変なところで気が合ってるんだ…」
それから、クラスのみんなの協力でそこまで時間はかからずに準備は完了した。
ちなみに、渡部の横にいるギャルこと星野さんは率先していろいろ動いてくれていた。
やはりいい人。すごくいい人。
でも男の趣味が悪いんだよなあ。
なお、メイド服はクラスの手芸部の方々によってクラスの人数分、制作して頂いたらしい。
こちらもすごくクオリティ高い。
もしかして、我が私立色恋が丘高校の生徒たちはそういったスキルに長けたバケモン揃いなのだろうか?
というか、私立色恋が丘高校って凄い名前だな。
今の今まで学校の名前が出てきていなかった気がするが、まあ気のせいだろう。
ということでサクッと準備も終わってしまったので、20時前くらいで解散となった。
ということで、俺、永松、久遠さんという1人足りないような組み合わせで下校中だ。
「久遠は明日、誰かと文化祭回ったりするの?」
「…特に考えてなかった。舞華と回ろうかな」
「あ、悪い!舞華ちゃんは俺と回る約束をしてるんだ」
「…舞華が永松くんに取られつつある」
「悪いな久遠さん、というわけで明日は湊斗とでも回ってやってくれ。俺がいないとどうせコイツも1人だろうし」
「…日向くんがいいなら、私は構わないよ」
「あ、じゃあ、まあ、その、俺も、そう出来れば、一人を回避出来るし、それが、いいかなと、思います」
「キョドりすぎだろ」
「…プッ」
死ぬほどキョドっている様を久遠さんに見られてしまったが、明日は久遠さんと文化祭を回れることが確定したのでその程度の恥は取るに足らない。
ナイスアシストだ永松、サンキュー心の友よ。
「…じゃあ、私の家もうすぐだから。日向くん、明日はよろしく。永松くんは舞華によろしく」
「え、なんか韻踏んだ?」
「…気のせい」
なんか恥ずかしそうな顔しているのでうっかりだろうか、スルーしてあげた方が良かったかもしれない。
ということで久遠さんを無事送り届けたので永松と二人で帰ることにする。
「さりげないアシスト感謝するぞ」
「俺とお前の仲だ、これくらいお易い御用さ」
「持つべきものは永松優希だな」
やはり永松は身も心もイケメンということだな。
そういう気配りができるからこそモテる男なのだろう。
もうすぐ駅だというところで、後ろから声をかけられた。
「やっほー、日向くんに永松くん」
おそるおそる振り向くと、そこにはギャルがいた。
これは間違いない、カツアゲだ。
俺たちはこのギャルにカツアゲされ、明日の文化祭でカレーなどを食べるための食券を買う金すら奪われてしまうに違いない。
「お、お金だけは勘弁してください」
「ちょ、カツアゲとかしないよ?」
「ひ、ひぇっ!」
「日向くんってば」
「星野さん、こういう時の湊斗はスルーが一番だぞ」
「スルーは傷つくからやめてね」
「ほら、こうすればすぐ素に戻るから」
「なーるー。さっすが永松くん、日向くんの扱いに慣れてるね」
「へへ、まあな」
「何に照れてるんだお前は」
わけのわからない永松はさておき、星野さんは俺たちに何か用なのか?
「それで星野さんはなんか用?」
「明日の文化祭、瞬哉に気をつけて」
「え?渡部?なにアイツ、爆破テロでも企んでるの?」
「違うよ!瞬哉が"決めるなら明日"とか変なこと言ってたの」
「やっぱり爆破テロじゃないか」
「だから違うって!あくまで私の予想だけど、久遠ちゃんになにかするつもりなんだと思う」
おい何をする気なんだ渡部のやつ!
一応これラブコメなんだぞ!爆破テロもNGなのに、それ以上にヤバいことをされてしまっては困るんだが!?
「警察に通報しなきゃ」
「湊斗、何を想像してるか分からんが警察沙汰にはならないと思うぞ」
「なってからじゃ遅いんだぞ」
「それはそうだが、今回は違うと思うんだ」
「なんで分かるんだよ?」
「明日の文化祭、とあるイベントがある」
「なに?なにがあんの?」
「『ドキッ!告白大会!』が開かれる!」
「なんだそのいかにもなラブコメイベントは」
「そのイベントで結ばれたカップルは永遠に結ばれるとか結ばれないとか、そういった可能性を秘めていると噂になっているらしいぞ」
「めちゃくちゃフワフワしてて信ぴょう性が全くない!」
「そう、それ!瞬哉のやつ、そこで久遠ちゃんに公開告白でもするつもりなんじゃ…!」
「それってまずいの?」
「だって、みんなが見てる前だよ!?みんなが見てる前で告白してきた男子にごめんなさいできる!?私だったら無理だよ!」
「我らのあおいたんなら余裕で断ってくれる」
「なにその信頼!?てか呼び方キモッ!」
「あおいたんを信じろ。あおいたんにとって渡部などゴキブリも同然」
「仮にも私の好きぴにゴキブリ扱いはひどい!」
「ワンチャン狙いみたいな男にあおいたんの彼氏はふさわしくねえ」
「なら湊斗は斎藤みたいな奴が彼氏としては相応しいって言いたいのか?」
「は?んなわけないだろ。あんなやつは雨宮とでもくっついときゃいいんだよ」
「友達に対してその言い草!恋は人を変えるな!」
「俺はいずれあおいたんの彼氏になってみせる!なりたいんだ!ならなくちゃ!絶対なってやる!」
「めざせ恋愛マスター!」
「永松くん、日向くんってこんな人なの?」
「明日文化祭だからかいつもより浮かれてるな」
「あ、これ浮かれてるんだ」
ちなみに俺のこの浮かれ具合は帰宅してからも続き、母にとても迷惑がられるのであった。
ただし、妹は俺の変なテンションに付いてきてくれたのだが。
というわけで明日は文化祭!
ドキッ!告白大会!などというふざけ散らかしたイベントで渡部が公開告白を企んでようがあおいたんならきっと!万が一にでもOKを出してしまったら『その告白、ちょっと待ったー!』でもなんでもしてやる!
渡部、お前のシラケた面をみるのが楽しみだぜ…!
文化祭編、何話もかけてやらないと思います。
多分長くて2話くらい。




