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好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


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第27話「メイクさせられるぜ」

溜まってた分その3です。

突然だが、俺はラブコメっぽいイベントをあんまり通ってきていない気がする。

例えばどんな体育祭は恋のライバルとの騎馬戦とかそういうのも何事もなく普通に終わって筋肉痛に襲われたし、あまり学校行事と恋愛が結びついていない。

案外そんなものなのだろうか?


話は変わるが、今は文化祭の出し物の話を教室でしているところだ。

誰が言い出したか分かんないが、うちのクラスの有力候補はメイド喫茶。

俺だって久遠さんのメイド服姿を見たいに決まっているので、反対する理由がない。


「男子もメイド服着るならいいよー!」

なんでだよ、やだよ着たくないよ。

久遠さんがこちらを見てクスクス笑っているのが見えた。

どうせ俺のメイド服姿でも想像して笑ってるに違いない。

失礼な子だなあ、でも笑っている姿がかわいいから許しちゃう!


「久遠さん、湊斗の方見て笑ってないか?」

「どうせ俺のメイド服姿でも想像して笑ってるんだろうよ」

「もう以心伝心じゃんか」

「なんかさすがにわかってきたんだよ…俺のことでよく笑ってるから」

「笑われ慣れてる奴は違うねえ」

「なんかそれやだ」

ちなみにクラスの出し物はなんだかんだでメイド喫茶に決まった。

ただし、男子もメイド服着用を義務付けられてしまった。もう終わりだ。

今年は絶対に家族に来ないでくれと言わなければならない。


「日向、聞いたわよ。アンタ文化祭でメイド服着るんですってね?」

「永松もだよ」

「優希くんならきっと可愛く着こなせるわよ、アンタと違ってね」

「なんなんだその自信は」

「そうだ。アンタたちちょっとメイクしてみない?」

「「は?」」

「…面白いかも」

「放課後、メイクしてあげるわ」

「…でも、場所はどこで?」

「そうだよ、さすがに教室で残って…ってのは無理だろ?そんな理由で居残りはさすがに先生が許してくれないだろ」

「そうね…」

「では、文芸部の部室を使うのはどうですか?」

「また来たのか雨宮」

「来ちゃった、えへ」

「可愛くねえよ」

「別に日向先輩に可愛いと思って貰えても嬉しくないので痛くも痒くもないですね。ところでメイク場所の話、どうしますか?」

「私たちはそれで構わないけど、文芸部の人たちは了承してるのかしら?」

「今日は部長も副部長も用事があるので部活はお休みですから。斎藤先輩には内緒ですよ」

「じゃあお言葉に甘えるとするわ。2人とも、逃げたら許さないからね!」

ということで、文芸部の部室をお借りして、高本さんによる地獄の女子メイクの会が開かれてしまった。


「という訳で、メイクを始めるわよ。葵は日向、私は優希くんを担当するわ」

「「どうしてこうなった」」

「てか、雨宮はなんでいるんだよ」

「面白そうなので」

「見せもんじゃねーぞ!」

「落ち着け湊斗、どう考えても見世物だ」

「ひ、ひぇぇ」

まあ、こうは言っているものの、久遠さんに顔を触ってもらえるのはありがたいので、満更でも無いのだが。

事前にめちゃくちゃ洗顔してきたし、特に心配はない…。


「高本さん、ちょっといいか?」

「…なによ(ヒソヒソ)」

「もしかして、合法的に永松の顔に触れられる機会が欲しかっただけじゃないよな?(ヒソヒソ)」

「なッ!ち、ちがうわよッ!(ヒソヒソ)」

「(うわ、絶対そうじゃん)」

「…まあ、ついでに俺も久遠さんに触ってもらえるので良しとするわ。めちゃくちゃ洗顔してきたから安心だぜ(ヒソヒソ)」

「めちゃくちゃ気合い入れてきてるじゃない…実は誰よりも乗り気だったんじゃないの?」

「ああ、実はな!」


「では、始めるわよ」

俺は女性のメイクのことはさっぱり分からん。

なにやらありとあらゆる種類の化粧品をさっきから顔面に塗りたくられている。


「化粧品、後で買い直すよ。俺の顔面に使ったものなんて使えないでしょ」

「…別に大丈夫」

「リップとかはさすがに!」

「…いろいろ買ってきたものだから大丈夫」

そういえば、部室に来るのが遅いと思っていたら、どうやらこの為に安めの化粧品の買い出しに行ってきていたようだ。

それなら安心ではあるが、わざわざそこまでしてもらうのは申し訳なさすぎるので、後日なにか奢ることにしよう。


しかし、久遠さんに顔を触られるのは気分が…うん、なんとも言えない気分だ。

素手で頬を触られる、とかそういうのはなく、化粧品をただ塗られていくだけのひたすら待ち作業なのでこれと言って感動もなく、ただただ暇な時間が続くだけだ。

ちらっと横目で見ると、高本さんと永松はなにやらイチャイチャしながらメイクを楽しんでいる様子だ。

わざと頬っぺたを触ったりといろいろしているみたいだが、アレは一体何をしてるんだ?


「…あっちはそっとしといてあげよ。うんと可愛くしてあげるから」

「いや別に可愛くしてもらいたいわけじゃ…」

その後、なんやかんやで仕上げてもらってメイクが完了したらしい。

女子3人組が目をキラキラさせながら俺と永松を交互に見ている。

永松の方は正直、結構可愛く仕上がっている。

これでウィッグを付けてメイド服を着ればよく見ないと女子だって分からないレベルだ。

それに対して俺はなんか反応がイマイチだ。

どうやら女子メイクは俺には似合わなかったらしい。

久遠さんだけはパシャパシャ写真を撮っていたので、またしても彼女のツボにハマったらしい。

雨宮の冷めた視線がすごく痛いが、別に俺がメイクしてくれって頼んだわけじゃないのに酷くないかな?俺、可哀想。


「日向先輩、こういうメイク似合いませんね」

「そ、そうね…ちょっと、変ね」

「高本ォ…お前今俺を笑ったな?」

「どこの兄貴なのよアンタ」

「お前はいいよなぁ、どうせ俺なんか…」

久々に登場したかと思ったら、ボロボロの革コートを着て登場した元エリート部隊の隊長ごっこをしたところで、メイク会は終了した。

メイクを落とす前に自撮りして、妹に送り付けてやると、妹から『お兄ちゃんが女装に目覚めた!』とあらぬ誤解を受けたので、帰ったらめちゃくちゃ否定しなければならない。

今日のメイク会を通じて、『日向 湊斗にはメイクは似合わない』という結論が出そうになったが、久遠さんが『V系メイクなら似合うかも』というアドバイスをくれたことで、次回はそうしてみようという話になった。

俺はビジュアル系バンドに入る予定はないので、そんなメイクをしてもらう日は多分来ることは無いと思うのだが…


次の日、永松のメイク写真は何故か流出しており、クラスで話題になっていた。

廊下から雨宮が教室の様子をうがかい、ニタニタと笑っているのが見えたので、十中八九コイツが犯人だろう。

斎藤が流出させたとは考えづらいし、このクラスに他の知り合いがいるのだろうか。

まあ考えても仕方ないので、そっとしておく。


ちなみに俺のメイク写真は全く話題になっていないようで、誰もそのことについて話していなかった。

『俺も昨日メイクさせられてさ』という話をすると、皆が目を逸らして愛想笑いを浮かべるので、おそらく皆見てしまったのだろう。

そんな様子を見てあおいたんがまたしてもクスクス笑っていたので良しとしよう。


あ、そういえば文化祭は久遠さんと一緒に回ったり出来たらいいな。

好きな人と文化祭の出し物を見に行くのってちょっと夢だったりする。

昨日メイクしてもらってる時にその話すりゃ良かったなあ、失敗。

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