第25話「トリプルデート始まったぜ」
4話くらい溜まってたので一気に投稿します。
俺&久遠さんペア、斎藤&雨宮さんペアによるダブルデート…なんてめんどくさいイベントに付き合ってられないので、ついでに永松&高本さんペアを巻き込んでのトリプルデート当日。
ちなみに、久遠さんは誘ってみたら何の条件もなくOKしてくれた。
二人じゃないからだろうけど、快諾してくれるのはまあ嬉しいよね。
なお、雨宮さんが指定したデートスポットはまたしてもらんらんポート。
ぶっちゃけ、付き合ってもない二人組がデートで何回も行くようなところじゃないと思うんだが、それを言っても仕方ない。
まあ、そこそこ大きな本屋さんもあるし文芸部員二人組にとってはちょうどいいのかもしれない。
巻き込んでしまった永松には若干申し訳ない気持ちもありつつ、高本さんには『ついで感覚なのがちょっと気に入らないけどまあいいわ』とお褒めの言葉を預かったので良しとする。
そんなこんなで今は電車で永松と一緒に揺られている。
今回、永松は待ち合わせ時間に対して余裕を持って起きられたので俺と一緒に待ち合わせ場所に到着した。
どうやら久遠さんたちはまだ着いていないらしい。
「それで、俺たちを呼んだのはなんでだ?」
「久遠さんと斎藤が2人きりになるよう場面があったら回避するのに協力して欲しくてな」
まあ、正直雨宮さんならそんな場面あっさりと回避してくれそうな気もするが、念には念を入れて置くことは悪いことではない。
「なるほどな。任せとけ親友」
「お、おう。それと久遠さんの友達枠として高本さんも巻き込んでるから、高本さんを飽きさせないようにしてあげてくれ」
「そっちも任せとけ!舞華ちゃんのツッコミは面白いからボケ甲斐があるしな!」
「お前、高本さんにツッコんで貰うためにわざとボケてるんじゃ…?」
「俺は舞華ちゃんのツッコミが大好きだからな!」
二人の時どんな会話してんだこいつら。
というか、ツッコミ以外も愛してあげてくれよな、我が友よ。
ん?"舞華ちゃん"?
永松が女子をちゃん付けで呼ぶなんて…
いや違う、下の名前!?
いつから!?
「お前いつの間に高本さんのこと、下の名前だ呼ぶようになったの?」
「え?それはこの間二人で出かけてる時に…」
「お前いつの間に高本さんと二人で出かけるような間柄になってたの!?」
「いや、前にお前と久遠さんもいた時、次の予定立ててさ」
「その時に既に!?」
「お前、まさかあれから一度も久遠さんと二人で出かけたこと…」
「そのまさかなんだけど?お前何?何しれっと進展してんの?」
「いや、俺たちの話はいいんだよ…」
「そういえば!お前は!高本さんのこと!どう思ってんのお前!」
「え?舞華ちゃん?いや、口は悪いけどいい子っていうか、俺がボケで彼女がツッコミでっていうか」
「ん?お前もしかして高本さんを…?」
「いや…まあな…」
「お前〜!!何言ってんだよコイツ〜!!」
「だ、やめろよ湊斗〜!!」
どうやら、久遠さんと二人で出かける誘いを出す勇気を出せていなかったことを誤魔化すことに成功したようだ。
「それで誤魔化せたつもりですか日向先輩」
「ギャー!!!!!!!」
「あ、雨宮さん…いたのか」
「日向先輩と永松先輩はとても仲がよろしいようで」
「いつから見てたんだよお前…」
「永松先輩がなんで俺たちまで呼んだのか、って聞いてるところからですね」
「最初からじゃねーか!」
「声くらいかけて欲しかったな…」
「いえ、お二人の時間をお邪魔してはいけないと思いまして」
「気遣うタイミング今じゃないから」
「それにしても驚きました。我々の中で一番進展してそうなのがまさか永松先輩と高本先輩ペアだったなんて」
「い、いや俺たちは別にそんな…」
「超絶モテ男の癖に割と照れ屋なんですね」
「いや、コイツ女子にモテまくるけど恋愛経験全然ないんだよ」
「モテすぎて、ということですか?」
「そういうのがめんどくさいってタイプだったはずなんだけどな…」
「ま、舞華ちゃんは例外ってやつ」
「お、おう…」
「…それにしても、日向先輩には呆れました」
「な、なんだよ」
「久遠先輩と2人きりで出かけたことがないなんて、信じられません」
「そこまで言う?」
「さっさとくっついてくれませんか?斎藤先輩にチャンスを作るのはやめてください」
「お前らこそさっさとくっついてくれない?」
「それができたら苦労してません、ヘタレの日向先輩なんかに協力をお願いしてません」
「雨宮さん、いや雨宮!お前!そんなこと言ってるとなあ…」
「お、おい湊斗落ち着け!相手は女子だ!暴力は…」
「ギャン泣きしてやるからな!!!!」
「お前が泣くのかよ…」
「…まあいいです。今日はお互い実りある一日にしましょう」
「…おう」
雨宮と謎の握手をした。
この握手まじで何なの。
「日向、いつの間に雨宮さんと仲良くなったんだい?」
「おい雨宮、お前の彼氏来たぞ」
「ちょ、ちょっと日向先輩!彼氏じゃないですから!」
「そ、そうだぞ日向!僕と雨宮さんは別にそんな」
何ふたりして赤くなってんだこいつら…
「あ、永松君も。元気?」
「おう元気だぞ、斎藤〜」
あとは久遠さんと高本さんだけだな。
そこから十数分経過してから2人も改札から出てきた。
「あ、舞華ちゃんに久遠さん」
「優希君、待たせたかしら?」
「全然大丈夫!」
「…日向君も、こんにちは」
「ど、どうも」
ちょっと気になっていることがあるので久遠さんを手招きしてコソコソ話を開始する。
「…アイツら、知らないうちに下の名前で呼び合うまでに進展してるんだけど」
「…私もさっき気づいた」
「てことは、高本さんから特に聞いてなかった?」
「…うん」
「ちょっと2人を問い詰めてやらんとな」
「…そうだね」
「おいおい、何コソコソ話してるんだ〜?」
「お前らのことだよ」
「…(コク)」
「な、何よ…葵まで」
「…まあ、今日はいい。後日改めて話をさせてもらうぞ」
ということで、永松と高本さんには後日尋問することが確定した。
今日は斎藤と雨宮の仲を深めてやろう。
はよくっつきやがれ。
「そういえば雨宮」
「なんでしょうか」
「部活中の斎藤ってどんな感じなんだ?」
「な、なんだよ急に」
「なんだよ、聞かれちゃまずいようなことしてるのかお前」
「ち、違うよ!」
「じゃあいいよな。どんな感じなの?」
「斎藤先輩は…後輩にも優しく、ある程度は頼れる先輩ですよ」
「あ、雨宮さん、別に僕は…」
「困ってる時は声をかけてくれます。創作活動中に手が止まったりしていたら、アドバイスをくれたりしますね」
「へ〜、お前ちゃんと先輩やってんのな」
「べ、別に当たり前のことをしてるだけだから」
「…斎藤くんは、それを当たり前のように出来るから凄いんだよ」
「く、久遠さん…ありがとう」
な、なんかいい感じじゃないか?
やめて?そういうのやめて?
「…むっ。なんですか久遠先輩、私だって斎藤君の良さを知ってるわよアピールですか」
「…別に、そういうつもりは」
「…私の方が、斎藤先輩の素敵なところいっぱい知ってますよ」
「…そう」
あ、あれ?なんか久遠さん、あんまり興味無さそうな…どういうことだろうか。
他の人がいるからちょっと抑えてるのかな?
「まあまあ雨宮、ちょっと落ち着きなさいな」
「日向先輩は黙っていてください」
「ひどい」
「…プッ」
「久遠さんは俺がツボなの?すぐ笑うじゃん」
「…後輩に慕われない日向くんが面白くて」
「俺はバカにされている…?」
「間違いありませんね。日向先輩は久遠先輩に完全にバカにされています」
「ひーん」
「…別に、バカにしてるわけじゃないよ」
「…と言っておりますが?」
「さて、どうでしょうね」
「雨宮サン、そういった含みを持たせた言い方は俺のメンタルに悪いのでやめてくれませんか」
「日向先輩がイジられ体質なのが悪いです」
「い、いじられ体質…!?」
俺にそんな属性があるなんて知らなかった。
家族は俺をいじってきたりしないぞ!?
我がラブリーシスターはそんなことしないぞ!?
妹が優しすぎるのか!?愛してるぞ妹よ!!
「…アンタたち、いつの間にか仲良いわね」
「高本先輩、誤解しないでください。私は日向先輩のことをそこまで好きではないです」
「俺はそこまで嫌いじゃないけどな」
「そういうことは好きな人に言ってあげたらどうですか」
「そこまで嫌いじゃないとか好きな人に言えるわけないだろ、好きを全力で伝えるわ」
「いや全然伝えてないじゃないですか」
「グハッ」
日向湊斗、正論ビンタにより死亡…
「…日向くん、好きな人いるの?」
なんか久遠さんが興味を持ってきた。
え?なに?俺の恋愛事情に興味あるの?
でも今のこの場で『ええ!あなたが好きです!』なんて言えるわけもないので、どう答えようか迷うな。
「いるよ」
「…私の知ってる人?」
「よーく知ってるよ」
「まさか、舞華…?」
「違うよ、流石にありえないよ」
「ありえないとまで言わなくていいじゃないよのよ!」
「あれ、好きって言われた方が良かった?」
「そんなわけないでしょ。気持ち悪い何言ってるのよ」
「マジトーンやめてくんない?」
「…ふふ」
「先輩方。お邪魔してすみませんが、私はお腹がすいたので何か食べに行きませんか」
「お前自由人だな!?別にいいけど!」
というわけで、フードコートで各々食事をとることにした。
「久遠さん、それどこのやつ?」
「…あそこのオムライス」
「へー、美味そうね」
「…食べる?」
「え、いいの?」
「…ちょっとならいいよ」
「あ、じゃあお言葉に甘えて」
まだ口をつけてないスプーンでオムライスを少しいただいた。
「お、美味いなこれ」
「…日向くんのカレーも美味しそう」
「お、食べる?」
「…いいの?」
「俺だけ貰っといて、ってのは流石にね」
「…ありがとう」
久遠さんも同じようにカレーをスプーンですくって口に運んだ。
「…おいしい」
「チーズカレーらしいよ」
「…チーズ」
「お、チーズ好き?」
「…(コク)」
永松たちがジロジロこちらを見ている。
いま幸せな時間過ごしてるから邪魔しないで欲しいんだが?
「…葵たち、アレで付き合ってないって凄いわね」
「指摘したら意識しちゃうだろうから、言わないでおこう」
「そうね。日向のやつがテンパっちゃうわ」
「舞華ちゃん、湊斗のことわかってきたじゃないか」
「別に嬉しくはないわ」
「またまた〜」
「わ、私は優希くんのことの方がもっと知りたいわ!」
「お前らなに大声でイチャついてんだよ」
「べ、別にイチャついてないわよ!バカ日向」
「ひどい」
その後も俺らは、楽しく食事の時間を過ごした。
ちなみにこの間、斎藤が時折こちらをチラチラ見てきていたが、あえてスルーしてやった。




