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好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


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第23話「でも男の趣味が悪いんだよなあ」

またしてもこちら側に最新話投稿し忘れてました。

先日のアレ以降、渡部が定期的に久遠さんにちょっかいをかけてくるようになった。

その度に高本さんや俺に邪魔されては不快そうな顔をしてくる。

ぶっちゃけ、根本的な解決策が分からない。


今までは単純だった。

悪意に対して、それを真正面から容赦なくぶっ潰す勢いで俺が行動すれば解決した。


しかし、今回に関してはそれも難しい。

渡部は久遠さんを狙っていて、久遠さんはそれを迷惑がっており、俺たちは渡部をクオンさんから遠ざけようとするも、それでも渡部は久遠さんに絡んでくる。


何を、どうすれば解決する?

そもそも、渡部は何故そこまで久遠さんにこだわる?


本気で久遠さんのことが好きなのか?

いや、そんな感じはしない。

失礼な話だが、話してる時の態度や雰囲気からそういったものが感じられない。

だったら、何故?

下半身で物事を考えるタイプなのか?

そんな相手、しかも相手から拒まれてもしつこく迫ってくるような奴、どう対処すればいいんだ?


全く分からない。

どうすればいいんだろう。


自席で頭を悩ませていると、とある人物が俺の前に現れた。


「日向君」

「あ、君はあの…ギャルの…」

「星野だよっ。同クラなんだから名前くらい覚えてよ」

「え、オナクラって何…?わいせつな用語?」

「ちょっ、違うし!同じクラスってこと!」

全く、妙な略語はやめてくれ。

やばいワードかと思ってヒヤヒヤしちゃっただろ。


「そう言ってくれないと分からんよ…。それはそうと、何か用?」

「ちょっと、いい?」

「いいけど、何?」

瞬哉のことなんだけど」

「オレ、アイツキライ。以上」

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

教室で話すような話題でもなさそうなので、一旦廊下に出ることにした。


「冗談冗談。で、渡部の話って?」

「瞬哉が日向君や久遠ちゃんに迷惑かけちゃってるから、謝りたくてっ」

「いや別に星野さんが悪いわけじゃ…」

「瞬哉のやつ、久遠ちゃんに執着してる感じなんだよね」

「どうもその様子だな」

「瞬哉が言ってたんだけど、日向君の立ち位置?って言うのかな。それも気に入らないみたいで」

「俺の立ち位置?」

「瞬哉って、振られて落ち込んでる女の子にモーションかけるのが好きみたいで」

アイツ、久遠さんが告白して振られてるのをどうやら知っているらしい。

というか、それを自分の私利私欲のために利用しようとは…


「最低じゃねーか」

「日向君って、ちょうどその位置じゃん?」

「おいなんてこと言うんだ」

「ごめんって。でも振られて落ち込んでる久遠ちゃんを元気づけようとはしてたでしょ?」

「まあ、ね」

「瞬哉が久遠ちゃんとくっつくのも私的に面白くないし、日向君と久遠ちゃんってなんだかお似合いだから、出来れば二人にくっついて欲しいなって思ってるよ」

お、お似合い?

ヘッヘッヘ、そう見えちゃう?


「俺もそうなりたいと思ってるよ」

「そ、そこ素直なんだ」

「星野さん、余計なお世話かもしれないけど」

「ん、なになに?」

「男の趣味どうにかした方がいいよマジで」

「なに急に!ホント余計なお世話だよ!」

「だって星野さん普通にいい人だから」

「そ、そんなことないよっ」

「でも男の趣味が悪いんだよなあ」

「うるさいよ!とにかく、瞬哉に負けちゃダメだよっ!それじゃ」

星野さんはどこかへと去っていった。

話してみて思ったけど、やっぱりいい人だなあ。

でも男の趣味が悪いんだよなあ。


それにしても、俺と久遠さんがお似合いに見えるなんてねえ、ゲヘヘへ…

廊下でニヤニヤしていると、2組の廊下からこちらを見ていた高本さんと目が合った。


「アンタ、なに気持ち悪い顔してるのよ」

「星野さんが俺と久遠さんをお似合いだって言ってくれてな」

「星野って、渡部と一緒にいる子よね?」

「そう。さっきさ…」

先程の星野さんとのやり取りを高本さんに説明した。


「ふーん。あの星野って子、悪い子じゃなさそうね」

「でも男の趣味が悪いんだよなあ」

「何回言うのよそれ、ただ言いたいだけでしょ。…それにしても、渡部の奴が面倒だわ」

「いやはや全くその通り」

「葵と渡部がくっつくなんて、絶対ありえないとは思うけど、いつまでも渡部が引っ掻き回してくるのも気分が良くないわね」

「俺も渡部と久遠さんがくっつく可能性なんて、佐伯が内閣総理大臣に就任するくらいありえないと思う」

神崎のアホ彼氏は本当にアホなので、絶対無理だ。

アイツが内閣総理大臣になったら日本終わる。


「確かにそれくらいありえないわね」

「佐伯に対してひどくない?可哀想」

「アンタが最初に言い出したんでしょ。それよりアンタ、葵がこっち見てるわよ」

えっ!?久遠さんがこっちを!?

なんかムスッとしてる。なに!?

「え、なんか不機嫌じゃない?」

「さあ、なんでかしらね」

「え、なんで!?」

「アンタ、なんでそこだけ鈍いのよ…。まあいいわ、早く行ってあげなさい」

ん、ん??

よく分からないが、久遠さんの席に向かうとしよう。


「久遠さん、どした?」

「…別に」

「本当に?さっきこっち見てたから何か用事かなと思って」

「…何話してたの」

「え?」

「…星野さんと、何話してたの?」

え、ちょっと待って!?

嘘でしょ、もしかしてこれ妬いてる!?

いや、考えすぎか…?

渡部の横にいる女と話してるから、渡部側に寝返ったと思われている…?まずいな。


「あ、えっとね。星野さん、渡部が俺や久遠さんに迷惑かけててごめんって謝りたかったらしい」

「…なんで星野さんが?」

「そこはわかんない。あと、渡部が俺の立ち位置になれなくてイラついてるとかなんとか」

「…どういうこと?」

「振られて傷心中の女の子にすり寄って利用しようとするのが渡部のやり方らしいんだけど」

「…最低」

「ね。で、今回の場合は俺が既にその役割を担ってたからとかなんとか」

「…日向くんは、そんな人じゃない」

振られた女の子に優しくして利用してやろうとは確かに思ってはいないが、これを機に仲良くなれたらって思ってたから、俺にも下心がなかった訳じゃない。


「…そう思って貰えてるなら良かった」

「…話ってそれだけなの?」

「え?ああ、まあね」

俺と久遠さんがお似合いのくだりはあんまり話さない方がいいかもしれない。

気まずくなるぞ、秘密にしておこう。


「…怪しい」

「いやいや怪しくない!何もやましい事はない!」

いかん、余計怪しい気がする。

誤解を生んでしまうのは良くない。


「…私にも言えないこと?星野さんと何かあるの?」

あ、あらぬ勘違いし始めてる気がする!!!

まずい、こうなったら一か八か…


「ち、違う!いや、その…星野さんが、渡部に負けるなって」

「…?」

「俺と久遠さんが、その…だからって」

「…私と日向くんが、何?」

「…お、お似合いだからって」

「…!」

久遠さんは黙り込んでしまった。

いやあ、流石に嫌だったか…?

嫌われては無いとは思ってたんだけどなあ…


「ご、ごめん。そろそろ授業始まるし戻るわ」

俺は恥ずかしくなり、自席に戻った。

何故かは知らないが、遠くから永松と高本さんがニヤニヤしているのが見えた。

一体、なんなんだろうか。


「葵、顔真っ赤ね…」

「見てるこっちが恥ずかしくなるレベルだな」

「ええ、全くね。…日向は気づいて無さそうだけど」

「すごい不安そうな顔してるもんな。どうせ『キモがられちゃったか!?』とか思ってるに違いない」

「肝心なところで鈍いのよね、日向って」

「そこも湊斗の魅力だぞ、高本さん」

「…永松くんのその日向への愛情はなんなのよ」

優希と舞華は、湊斗と葵の様子を微笑ましそうに眺めていた。

書き溜めストック切れちゃったので次回以降はもうちょっとお待ちください。

あと、キャラが増えてきたので相関図書こうかなと思ってます。

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