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好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


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22/24

第22話「またやべーやつが出てきた」

またまた新キャラです。

妹ちゃんの出番が少なくて僕は寂しいです。

(ぶっちゃけ僕のさじ加減次第ですが)

教室。

満員電車を乗り越えて教室へたどり着いたら、

なんか嫌な光景が目に入ってきた。


「葵ちゃんさあ、彼氏いんの?」

なんかチャラい男が久遠さんに話しかけている。

なんだこいつ?誰だこいつ?こんなやついたか?とりあえず消そうかな?


「湊斗、目が血走ってるぞ。落ち着くんだ」

「アレ、誰?」

「うちのクラスの男子じゃないよな。彼は確か・・・」

「アイツ、2組の渡部わたべ 瞬哉しゅんや。チャラくていけ好かないやつよ」

「2組ってことは高本さんのクラスメイト?え、友達?」

「クラスメイトだけど仲良くはないわよ。私はむしろ好きじゃない部類」

「そうだよな。高本さんのタイプはなg」

すごい速度で高本さんにどつかれた。

暴力系ヒロインなんて今時ウケないぞ。


「で、アイツの横にいるギャルは何?専属ボディーガード?」

「あの人はうちのクラスの星野ほしの 明莉あかりさんだよ。ちなみに専属ボディーガードじゃないぞ」

「あ、あの人クラスメイトなんだ。あの人は何?渡部の彼女じゃないの?」

「渡部は葵狙いよ。あの子は・・・なんなのかしらね」

渡部とかいうやつ、久遠さんにすげえ絡んでるし、しれっと下の名前で呼んでるし、横のギャルは立ち位置よくわかんないし、すごいムカつくやつらだなあ。


「葵ちゃんってば。彼氏いんの?」

「…いない」

「ふーん。じゃあ好きな人いる?」

「…いるけど」

いるのか…まあそりゃいるか…

それってやっぱ斎藤…?

それとも…


「へー、誰?」

「…教える必要ある?」

「気になるな〜。誰?」

こいつ結構食い下がってんな。

というか、久遠さんめちゃくちゃ塩対応してて正直面白い。

ただ、迷惑そうだし止めた方がいいだろうか。

というか横にいるギャルはまじでなんなんだ。

一言も喋らずに、ただじっと久遠さんを見つめている。


「日向、アンタ止めに行かないの?葵、迷惑そうにしてるわよ」

「やっぱり止めた方がいいか」

久遠さんを邪悪の魔の手から救うため、立ち上がろうとしたその時。


「君、その辺にしておいた方が・・・久遠さんも困っているみたいだし」

意外にも、斎藤に先を越された。

珍しいこともあるもんだ。

本心では今すぐにでも渡部を引きずり回して外へ放り投げたいところだが、

あの斎藤が珍しく声を上げたので、友人としてちょっと見守ることにする。

ライバルとしては俺こそが、と割込みに行きたいが、ちょっとダサい気もするし。


「あ?なに、キミ?」

「僕のことはいいよ。それよりも、そうやって久遠さんにしつこく迫るのは・・・」

「・・・斎藤くん」

「あのさあ。今、俺は葵ちゃんと話してんのよ。キミ関係ないよね?引っ込んでてよ」

「瞬哉、その辺にしときなよ」

「明莉まで何?何?俺が悪者なわけ?違うよね、葵ちゃん」

「・・・」

「ちょっと、シカト?」

斎藤がせっかく助けに入ったけど、渡部は意に返してない様子。

それに、ギャルさんも渡部を落ち着かせようとしてたな。

場の雰囲気が良くないことを察知できるし、あの人はそこまで悪い人じゃなさそうだな。

どうやら男の趣味が最悪なだけみたいだ。

それにしても渡部のやつ、ちょっと度が過ぎてるな。


「引き際の判断くらい自分でできるようになれよ」

「あ?今度は誰?誰キミ?」

「永松 優希。そこにいる久遠さんと斎藤の友達やってるもんだけど」

「おい嘘ついて汚名をかぶせようとすんな!こいつは日向 湊斗。俺が永松ね」

「日向・・・あ、もしかしてキミって女子を引きずり回したっていうあの?」

うわ、俺なんか伝説の生徒みたいになってんの?不本意だなあ。


「そうそう、こいつはその日向 湊斗」

「へぇ~、キミがあの日向クンなんだ」

「だったら何?」

「キミってさ、葵ちゃんの何なの?」

「何とは?」

「明莉の奴が言ってたんだけど、葵ちゃんってキミと仲良さそうらしいじゃん?なに?狙ってんの?」

「俺と久遠さんは友達だよ」

「付き合ってないんだ?」

「さっき久遠さんに聞いてただろ。付き合ってないよ」

「じゃあさ、俺が葵ちゃんの彼氏になるチャンス、あるってことでいい?」

あるわけねえだろ、しばきまわすぞ


「お前には1ミリもないって言ったら?」

「なんでそれをキミが決めるのさ?何様のつもり?」

「ちょっと、瞬哉・・・!」

俺と渡部がにらみ合いを見せるので、見かねたギャルが仲裁に入ろうとする。

この人、やっぱ悪い人じゃないんだよなあ。


「・・・なんか萎えたわ。んじゃ葵ちゃん、また来るから~」

渡部はうんざりした様子で教室を去っていった。


「あ、瞬哉!待って!久遠ちゃん、斎藤君、日向君・・・ごめんっ!」

ギャルはこちらをチラチラと見ながらその後を追っていった。

男の趣味が悪いだけでやっぱ普通にいい人なのかなあ。

でも男の趣味が悪いんだよなあ。


「久遠さん、その、大変だったね」

「・・・別に大丈夫。斎藤くんも日向くんも、ありがとう」

「俺は全然。斎藤、あの場でよく声を上げたな」

「久遠さんが困っていそうだったからね。さすがに我慢できなかったよ」

「・・・そう」

「まあ最大の問題は俺が渡部にめっちゃ目を付けられたことだな」

「それは日向が喧嘩腰で煽ったからでしょ。アンタのことだんだんわかってきたわよ」

「え、何?何がわかってきたの?」

「アンタ、友達が傷つけられそうになってると暴走しがちよね」

「まあ自覚はある」

「あまり周りに心配かけるもんじゃないわよ」

「・・・気を付けるよ」

などと会話していると、久遠さんが突然笑った。

「葵、どうしたのよ」

「・・・舞華、日向君のお母さんみたい」

「違うわよ!何言ってるのよアンタは!」

「俺の母はこんな口うるさくないって」

「誰が口うるさいってのよ!?」

「・・・プッ」

「あーおーいー!!!」

プンプンしている高本さんと、クスクス笑っている久遠さん、困惑する斎藤。

そして俺は・・・


「・・・日向くん?」

「いいかい?俺は渡部みたいなヤツは久遠さんの彼氏として認めないので、そのつもりで」

「・・・日向くん、お父さんみたいなこと言ってる」

「ワシは認めんからな!」

「・・・ふふ」



「あー、あの日向とかいうのムカつくわー」

「瞬哉がしつこく久遠ちゃんに迫るからでしょ」

「あの斎藤?とかいうやつもムカつくし」

「斎藤君は優しい人だから、困ってる久遠ちゃん見て助け舟出そうとしたんでしょ」

「俺が困らせてたっての?」

「そういうわけじゃ・・・」

「さっきそう言ってたじゃん。なんなんだよ」

「ご、ごめん瞬哉・・・」

「大体、あんな陰キャのどこがいいんだろ。葵ちゃんも趣味悪いよな~」


『私と、付き合ってくれませんか?』

『でも、僕と君じゃ釣り合わないと思う』

「ホント、なんであんな奴なんかを」

あの日、湊斗だけでなく瞬哉も偶然聞いていたのだ。

葵の告白を。

泰成の返事を。


「瞬哉、なんで久遠ちゃんにそこまでこだわるの?」

「葵ちゃんって陰キャにモテてんじゃん?」

「陰キャって・・・?」

「斎藤と日向だよ」

「日向君は久遠ちゃんのこと・・・なのはわかるけど、斎藤君も?」

「あれ、明莉気づかなかった?」

「でも、斎藤君って久遠ちゃんを・・・」

「確かにアイツ、葵ちゃんのこと1回振ってんだけどさ。振った相手のこと意識しちゃって~ってパターンでしょ」

「そういうことなの?」

「だから、横から取っちゃおうって思ってさ」

「でも久遠ちゃん、嫌がってなかった?」

「振られて傷心した葵ちゃんを慰めるポジション、奪われちゃったからよ」

「それって、もしかして日向君?」

「そーゆーこと。アイツが邪魔なんよな・・・」

「じゃあ、もうそっとしといてあげたら?」

「は?じゃあ俺は葵ちゃんいけないじゃん。やだよ」

「・・・そ」

「ああいう大人しい系の子は、押しに弱いもんだから」

「(瞬哉、久遠ちゃんのこと全然わかってないね・・・)」


恒例の新キャラ説明のコーナー

渡部わたべ 瞬哉しゅんや

・2組の生徒(舞華のクラスメイト)

・葵狙いのチャラ男

・典型的な「どしたん?話聞こか?」男

・葵の斎藤への告白を実は聞いていた二人目の人間


星野ほしの 明莉あかり

・1組の生徒(昼休みはクラスに全くいないが、実は湊斗たちのクラスメイト)

・ギャル

・渡部のことが好きらしい

・湊斗曰く、男の趣味が悪い以外は普通にいい人


カクヨム連載版では前書きと後書きは記載してないので、

実はなろう連載版限定要素ではあります。

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