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第16話「永松たちは何をしていたのか」

永松と舞華のデートがついに明らかに！

「…湊斗、上手くやってるかな？」

「さあ、どうかしらね」

「高本さんは、二人が上手くいくと思う？」

「日向次第、じゃないかしら」

「まあ、そうだよな〜」

永松と舞華は、当てもなくファルコをウロウロと徘徊している。

「そういえばさ、久遠さんって湊斗のことどう思ってるんだろう？高本さん、知ってる？」

「…そうね。葵は、日向のことは嫌ってはないと思うわ」

「久遠さん、普段無口だけど、湊斗に対してはよく喋ってるイメージあるんだよな」

「確かにそうね。葵、日向相手には結構喋ってる気がするわ」

「もしかして、湊斗のこと…って思えなくもないけど、久遠さんって確か斎藤のこと…？」

「あら、そんなことまで知ってるのね？」

「湊斗が相談してきてなー。

その時に知ったよ」

「なるほどね。そうよ、葵は斎藤って人を…なんだけど、最近よく分からないのよね」

「…と言うと？」

「あの子から、斎藤って人の話題が最近あんまり出なくなったのよ。告白して振られたから、というのもあるのかもしれないけど」

「もしかして久遠さん、斎藤のことをもうなんとも思ってないのかな？」

「うーん、それはどうかしらね…」

「斎藤の方はどうやら、久遠さんが気になり始めてるみたいなんだけどな」

「そうなの？」

「この間もおれと久遠さんがLIMEを交換してる時に、斎藤のやつもしれっと久遠さんとLIME交換したりとかなーんかある様子なんだよな」

「日向は…知ってるの？」

「多分、気づいてると思う。アイツのことだから内心気が気じゃないと思うけどな」

「容易に想像できるわね…ちょっと待って」

「え？」

「葵、永松くんのLIME持ってるの？」

「まあね。一応は湊斗の友達だし」

「わ、私も…その…いい？」

「あ、そういえば交換してなかったか。

もちろんいいよ。友達の友達の友達も俺の友達だ！」

「や、ややこしいわね…」

とりもかくにも、舞華は永松のLIMEをゲットすることに成功した。

「なんで"ゅぅき"って名前にしてるの？」

「ギャル風」

「ギャルっぽいかと言われたら怪しいわよ…」

「あちゃ。ちなみにそこにツッコミ入れてくれたの高本さんが最初だよ。湊斗も久遠さんも華麗にスルーしてくれちゃったから」

「べ、別に大したことはしてない…わよ」

「いやいや、そのツッコミスキル！ボケ欲を促進させてくれるよ！」

「永松くんなら…いくらでもツッコんであげるわよ。日向はかなりウザいけど」

「…高本さん…まさか、湊斗にいじって貰えているのか！？」

「いじって貰えてる、って何よ…」

「羨ましい！俺には塩対応なのに！」

「な、何に嫉妬してるのよ…。

というか、日向は私に対して結構雑よ」

「あ、なんだよかった。俺と同じ対応で安心したよ」

「あなたはそれでいいの…？」

「湊斗は久遠さん以外には塩対応であるべきだからな！」

「…永松くん、日向のこと好きなの…？」

「確かに俺は湊斗のこと大好きだけど、そういう好きとは違うからね。恋愛対象はあくまで女性だから！」

「そんな真面目に答えなくてもいいわよ…。

じゃあ、す、好きな人とか…いるの？」

「え？いや特にはいないけど…」

「そ、そう。フン、そうなのね！」

妙に機嫌が良い舞華に困惑が隠せない永松。

「高本さん」

「な、何？」

「どこか、見たいところはある？

せっかくならいろいろ見て回ろう」

「そ、そうね…それなら…ここ見たい、かも」

舞華が指を指したのは、かわいらしいマスコットキャラクターのぬいぐるみのショップであった。

「高本さん、意外とこういうの好きなんだ？」

「ごめんなさい、やっぱりいいわ」

「ちょっとちょっと、どうした？

何か、嫌な気持ちにさせちゃったかな？」

「…高校生にもなってこんなのが好きなんて、やっぱり変よね？」

「…それ、誰かに言われたのか？」

「…親とかに、"子どもじゃないんだから"みないに言われちゃって」

「かーっ、理解がないねえ。

趣味なんて人それぞれだし、年齢なんか関係ないのにな！」

「…永松くんは、そう思う？」

「おうよ！俺は高本さんの好きにしたらいいと思うぞ！だからここ見たいなら見よう！」

「…そ、そうね！楽しんであげるわ！」

「よし、いくぞ！」

舞華と永松は、二人でいろいろなぬいぐるみが売られているのを楽しんだ。

舞華はその中で、かばんに付けられるほどの、小さなぬいぐるみを気に入り、そのまま2つレジに持っていて購入した。

「それ、二つ買ったの？保存用？」

「い、いや…その…」

舞華は小さなぬいぐるみの一つを永松へ手渡した。

「ほ、保存用に買ったつもりだったけど、気が変わったからひとつあげるわ」

「…えっと、いいの？」

「べ、別にカバンにつけたりしなくてもいいから」

「いやいや！せっかくだし、通学カバンにでも付けとくよ」

「そ、そんな…良いわよ別に」

「貰ったんだから使わないともったいないだろ〜？」

永松は受けとったぬいぐるみをリュックにしまった。

「ありがとう高本さん！

今度、なにかお返しするよ」

「べ、別にいいわよ…」

「そう言わずに！言葉に甘えちゃえ！」

「…永松くんがそう言うなら」

永松のペースに飲まれつつ、舞華は永松とのデートを楽しんだ。

「…ということがあったんだ」

「いやガッツリデートしてるじゃん」

「そ、そんなことないわよ！」

「いやいや…これはどう考えても…ねえ？」

俺は久遠さんに同意を求めるかのようにチラッと横を見る。

「…これは言い逃れできない」

久遠さんもこれはクロだと断定した。

そうだ、これは紛れもなくデートだ。

永松もそれなりに楽しんだ様子だし、

なかなか良い出だしなんじゃないか？

教室での高本舞華たちの会話が聞こえてくる。

会話の内容は衝撃の内容だったが、何よりも"高本舞華が永松優希と接近している"ことに－は嫉妬を抱かずにはいられなかった。

「高本舞華…？

あの高本舞華が永松くんと…？

嘘でしょ…？あの高本が…？

しかも、あの久遠葵まで永松くんと仲良くしちゃって…何様のつもりよ」

－の中で、激しい憎悪と嫉妬の感情が爆発しようとしていた。

「…永松くんは高本舞華や久遠葵みたいな女じゃなくて、私みたいな子と仲良くするべきよ」

「どうすれば、高本舞華と久遠葵を永松くんから遠ざけられるかしら…？

そうだ、こうすれば…」

－はとある策を思いついた。

高本と久遠を同時に永松から遠ざけ、さらには学校での居場所をも失わせられるかもしれないと思うと、－は笑わずにはいられなかった。

舞華ちゃんだってかわいいんだぞ！という話です。

ま、最後に不穏な感じが出してるんですけどね。