表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きな子が友人に告白した。だが友人は好きな子を振った。そして俺は…  作者: 替玉 針硬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/24

第11話「待ち合わせ場所にて」

ピロシのくだりは『Che vuole questa musica stasera』を流して脳内再生してみてください。

当日。

寝付けなかった割には普通に早起き出来たので、シャワーを浴びて軽く朝食を取ってから部屋で溜まっていたアニメを消化。


それでもまだ時間に余裕があるので、もう約束の待ち合わせ場所に向かってしまった。

最寄りの駅に到着するが、永松はまだ来ていない。

LINEも既読にならないし、まだ寝ているのだろう。

起きていれば一緒に行くのもアリだったが、まだ寝ているのであれば待つ理由もない。

友よ、お先に行かせてもらうとするよ。


ということで電車に揺られて数十分。

目的の駅に到着したので、改札を出る。


待ち合わせ場所のよく分からない銅像の近くの椅子で待機しているが、誰も来ていないようだ。


俺が一番乗りか。

これじゃ、今日をめちゃくちゃ楽しみにして来てしまった浮かれ野郎みたいじゃないか?


いや、俺は実際にその浮かれ野郎で合っているんだけれども。


暇だ。

暇つぶしでもして時間を潰そう。


ここで、『Che vuole questa musica stasera』を脳内で流す。


ミナトです。

休日に久遠さんに会えるのが楽しみすぎて、全然寝れんかったとです。


ミナトです。

全然寝れんかったのに、朝は普通に起きれてゆったり朝活した上で待ち合わせ場所に一番乗りしたとです。


ミナトです。

今日の目的は、永松と高本さんの親交を深めるためですが、ぶっちゃけそんなことどうだっていいとです。


ミナトです。

今日の目的は、妹の命令で久遠さんの写真をゲットすることです。


ミナトです。

ミナトです。

ミナトです…


「ミナトです…」

「…何してるの?」

ミナトです。

待ち合わせ場所の駅に早く着きすぎてしまったので、おもむろにポケットに手を突っ込んでボヤキを言う金髪のスーツ男の男性芸人のピロシごっこをしていたら、久遠さんにそれを見られてしまったとです。


最悪すぎるが、ここは何事も無かったかのようにすっとぼけることにする。


「え、なにが?」

「…何してたの?」

久遠さんは俺のすっとぼけをスルーし、先程何をしていたのかを追求してくる。

恥ずかしすぎて今すぐに消えたいんだが?

仕方ない、正直に言おう。


「早く着いて暇だったので、暇つぶしを」

「…それで、なんでピロシの真似を?」

「ゲッ、ピロシ知ってるのか」

「…お笑い、割と好き」

久遠さん、お笑い好きなのか…!

恥ずかしい瞬間を見られてしまったが、それを知ることが出来たのはデカい。


しかし、ピロシごっこをしているのがすぐ分かるなんて、なかなかやりおる…!

ますます好きになってしまうぜ、葵の姉ちゃん…!


「マジか…あ、でも待って」

「…?」

「漫才派?コント派?」

「…コントの方が好き」

「マジ?関東04とか好き?」

「…U-FIRSTでたまに過去のライブ見たりしてる」

「え、俺もたまに見てるわ。

久遠さんはどんな芸人が好きなの?」

「…バウ100000がマイブーム」

「チョイスがアツシュギ。

バウはね、男1:女2のズッ友グループに外野の人が男に対して"絶対どっちかのこと好きだろ"ってツッコむヤツとか好き」

「…アレ、良いよね」

「良い、めっちゃ良い。

あ、久遠さんの好きなネタはどれ?

オススメあるなら知りたい」

「…えっとね、ベランダってネタ」

「あ〜〜〜〜アレね!アレもいいよね」

「…面白いよね」

一生喋ってられる気がする。

好きな子がまさかのコント好きの女子だった。

これは激アツすぎる。

いやあもう永松も高本さんも来なくていいなあ。

もう二人だけで楽しませていただきたいんだが。


「…アンタたち、すごい盛り上がってるじゃない」

あ、高本さん来ちゃった。

俺と久遠さんの幸せのひととき、終了。


「…あ、舞華。来てたんだ」

「さっき着いたところ。

あれ、永松くんは?」

そういえば、永松がまだ来ていない。

俺としては別に来なくてもいいんだが、現実はそうもいかない。

携帯を確認すると、永松から1時間くらい前に"今起きた"と連絡が来ていた。


「1時間前に起きたって返信きてた」

「じゃあ、そろそろ着く頃?」

「じゃないかな、もうちょっと待ってみよう」

「そうねっ」

高本さんが露骨にドキドキしている。

来る前からそんなんでどうするんだ。


「ところで、あんたたち…何話してたの?」

「ちょっとお笑いトークをしてました」

「アンタ、お笑い好きなの?

葵もお笑い詳しいんだけど、私あんまり詳しくなくてお笑いの話してあげられないから良かったわ。この子もお笑いの話できて楽しそうだし」

「…日向くん、私が着いた時に暇すぎてピロシの真似してた」

「いやなんでそれ言うの?ハズいじゃん」

「…ふふ、言っちゃダメだった?」

「良くはないっす」

「…でも、いくら暇だからってピロシの真似してる方が悪い」

「正論やめて、効くから」

「…ふふ」

高本さんがぽかーんとしている。

なんだ?何がそんなに不思議なんだ?


「葵…」

なんだ、久遠さんになにか異変が?

なんだ、全く分からない。なんだ?


「あんた、今日よく喋るじゃない!」

「…べ、別にいつも通り」

「え…この子、アンタと話してる時いつもこんな感じなの?」

「割とこんな感じな気がする」

「…私だって、葵と普通に話せるようになるまで結構かかったのに…アンタ、何者!?」

「2年1組の日向 湊斗です。趣味は音楽、お笑い、アニメの鑑賞です。妹がひとりいます。友達はそんなにいません。彼女もいません」

「え、な、なに!?

なんでアンタ今、唐突に自己紹介したの!?」

「アンタは何者かと言われたら、答えてあげるが世の情け」

「別に自己紹介してって意味で言ったんじゃないわよ!なんなのアンタ」

「…日向くん面白すぎ」

久遠さんが肩を震わせて笑っている。

今のやり取りが相当ウケたらしい。

笑顔がとんでもない破壊力を持っている。

危険だ、俺のライフがそのうち尽きるかもしれない。


「…アンタ、変な人ね。なんでこんな奴が永松くんと仲良いのかしら?」

「なんてことを言うんだ!もう永松と仲良くさせよう作戦に協力してあげないぞ」

「え、それは…困るわ!待って!」

「めっちゃ焦っててウケる」

「キ〜!!アンタマジでムカつく!!」

久遠さんがついに爆笑した。

爆笑する久遠さん、とっても可愛い。

この笑顔、今財布に入ってる全額払えるレベル。


「っていうか!葵もさっきから笑い過ぎよ!」

「…ふふふ」

高本さんも久遠さんに弄ばれている。

2人のとき、めっちゃイジられてそう。


「…はあ、なんかアンタと話してると疲れるわ」

「疲労回復にはビタミンがオススメだぜ」

「うるさいわね!アンタに言われたくないわよ!」

「ひどい、疲れてるならと思って親切で言ってあげたのに」

「…ちょ、ちょっと。そんなに落ち込まないでよ」

「別に落ち込んでないけど」

「なんなのよアンタ本当に」

久遠さんがずっと笑っている。

それが見たくて高本さんをついイジってしまう。

悪いな高本さん、久遠さんの笑顔のための犠牲となるがいい。


「おーい、湊斗ー」

背後から声がした。

俺のことを名前で呼ぶ何者かが現れた。

そう、コイツこそ…


「よう寝坊マン」

「悪い悪い、ちょっと昨日寝るの遅くてな」

「なんだ、楽しみで寝付けなかったのか?」

「いや、そうじゃなくて。ゲームしてたら2時過ぎてて」

「まあ約束の時間過ぎてはないからいいけど」

「久遠さんもこんにちは。

そのイヤリング、良いね」

ナチュラルにイヤリングを褒めた!

さすがのモテ男ムーブだ。

俺もそれに気づいてはいたが、お笑いの話しすぎてたのと高本さんいじりすぎてそれを話題に出す隙がなかったというのに!


「…どうも、永松くん」

「で、この人は?」

永松が高本さんに手を向ける。

指を刺さない辺りが紳士的だ。


「…私の友達の舞華。永松くんと仲良くなれるかもと思って連れてきた」

「こ、こんにちは永松くん。私は、高本 舞華」

「これはこれは。俺は永松 優希です。今日は楽しみましょうね」

「は、はぃ…」

目がトロトロになっている。ダメだこりゃ。

高本さんが完全に乙女モードになっている。

さっきまでのツッコミマシーンは何処へ。


「とりあえず、らんらんポートに行こうか」

全員揃ったので、らんらんポート探検に俺たちは向かった。

湊斗くん&葵ちゃんはお笑いが好きです。

コントが好きです。


筆者も同じです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ