魔王娘と勇者の恋愛短編
お読みいただきありがとうございます
短編者として、本日作って書ききった短編ですが
楽しんでいただければ幸いです
プロローグ - 魔王による破棄
「貴様など!魔族として有り得ぬ無力!ここで八つ裂きにしてくれる!」
「ま、、、待ってください!どうか!どうか!この無力なる娘をお助けくださいませ!」
「やかましい!よりによって回復魔法しか使えぬ魔族などいらんわ!」
「その回復魔法が魔族に効くことが、稀有な事にてお命だけは!! お、、、お願い致します、、うぅ、、」
「いいや。ここでケリをつけてくれよう。このような如何わしい血が魔族にあることなど言語道断である。」
「ど、、どうかお命だけは、、、」
私はその後何故か、魔王が住む城の敷居を跨がないことを約束され命だけは助けられた。
第1章 - 人里への旅路
わたしは、魔族が住む城から離れたことがない。だから、人というものを見たこともない。
わたしは、魔王の城からもう何日歩いただろうか、、、
疲れた。そしてお腹も減った。どうすればいいの?
魔族の瘴気薄れる所まで、、、夜になったのが7回くらいかな。ケガや病気は回復魔法で直せるけど、空腹は直せない。
でも、魔族って簡単に死ねないのよね。わたしの意志とは別に自動で回復しちゃう、嬉しくない便利機能もあるみたいで。
そして、やっとやっと見えた!建物が!
やった!やった!
もう服もボロボロだし、見た目もきっと大変なことになってる。でも、何とか人がいそうな所にたどりつけた!
わたしは駆け足でその方向へ、最後?の力を振り絞って走った。
第2章 - 門番との遭遇
そして、門の前まで到着。
「やったー!」思わず声が出た。
「おい!そこのもの止まれ!!何者だ!!!」
「あ、、、。」
「何者かと聞いている!!!」
「わたしは、、、えっと、、、あ。。。」
わたしは自分のことを名前で呼ばれたことが1度もなかった。名前なんて。。。そんな。。。
「怪しいヤツめ!ひっとらえ!」
「まぁまぁまってよ。その人にオレ助けられたんだ。ここはオレの顔を立ててくれないかな?」
誰だろう?この人。
「ですが、しかし!」
「この魔王近くの要塞都市から女の人追い出すの?わかったよ。オレが見張ってるからさ。それでいいよね?」
「しかし!勇者殿!」
「わかった。何かあってこの人が犯人だったら、オレも罰を受けるさ。」
第3章 - 勇者との出会い
「わたしはあなたを——」
「ああまぁいいから。礼をしたいんだ。」
「え、あ。わかったわ。」
「この人の通行料もおれが払うから。安心して。はいよ。2000マネーだ。」
「あ、、、はい。しかし!上役にこのことは伝えさせて頂きますよ!勇者殿!!」
「分かってるって。でも、俺がいなくなったら困るのはそっちだと思うけどね。」
「くっ!それでもです!そのような勝手をされては!」
「って、今回だけ初めてじゃん。ま、上役には報告して構わないからさ。」
「では、行こう。とりあえず。。。宿で全身キレイにして。の前に服だね。こりゃ」
第4章 - 回復魔法の価値
わたしは、かくして声をかけられた男性?のおかげで街に入れたのでした。
「しかし、君すごい格好だな。とりあえず、得意なこととかある?」
「回復魔法が少し。」
「え!?マジで!!やった!おっしゃ!回復術者に相応しい装備買いに行こう!!」
わたしは初めて手を握られ——
「ちょ、、、!ちょっと!!」
「ああ、すまんすまん。つい興奮してしまった!」
「で?どこへ行くの?」
「装備だよ!そ・う・び!」
「なんの?」
「君の洋服兼装備を買いにだよ!」
「わたしは手持ちのものが何も——」
「あぁ、要らないいらない!回復魔法があれば、どのパーティからも歓迎される!金は出世払いでいい!」
「いや、、、でも。」
「どうせ金ないんだろ?」
「いいからいいから。」
「あ。うんはい」
第5章 - 道具屋での再会
「よし!俺の行きつけ道具屋があるんだ!そこへ行くぞ!!」
「え・・うん。わかったわ」
「いらっしゃい。」
「相変わらずしけてんなー」
「うるさいわ。。。で、その子どうしたんだ?攫ってきたのか。はぁ、お前とうとうそんなことをやる、、、」
「わけないわ!門の前で困ってたみたいだからさー」
「んで、お前が助けて中に引き入れたと?」
「そうそう!」
「んで、その子が悪いことしたら死罪だぞ。分かってんのか?」
「ああ!分かってるって!そんな事しないから大丈夫。」
「っていってて、騙されたろお前。」
「あれは、、ほら。成り行きといいますか。」
「で済むか!お前俺まで領主に土下座する羽目になったの忘れたのか!」
「それはすまんかった。。。それでさ、売上に貢献するからさ。許してくれよ。。。」
「はぁ?売上?お前貧乏だろうが!」
「結構強い魔物が狩れたから、今は懐が。あ。」
「ギルドで換金してくるの忘れた。まぁ後で払ってやるから。この娘の装備を一通り整えてくれ。このままでは街中歩けんだろ。」
第6章 - 装備の調達
「金か。まぁいい。で、あんた得意な系統はなんだ?」
「はい。回復魔法しか使えません。。。それも初級の。。。」
「そうか。初級とはいえ、回復魔法は、貴重な人材なんだ。お前は貴重な人材を連れ来たってことか。」
「そうそう!そうなんだよ!」
「ま、それは俺もさっきまで知らんかったんだけどな。」
「はぁ。お前はほんとにお人好しだな。」
「ははは!まぁいいじゃないか!さ、装備決めようぜ!」
「それならいいのがあるんだ。回復術師用の衣類1式だ。なお、回復魔法にバフがかかって、洗わなくても常にキレイになるリンピ(清拭)がデフォルトでかかってるから洗濯不要!」
「悪いが、そこに着替え室あるから、この袋にボロボロの服入れて、新しい服を着てくれんか。手伝えんからな。」
「、、、はい。」
「どうでしょう、、、?」
「ああーー!いいよ!よく似合ってる!」
わたしは着替えにとまどったけど、何とか綺麗な服に着替えることができた、、。
第7章 - 正体の告白
そして。
「そんでよ。あんたはどこから来た?」
店主さんからとうとう聞かれた。
「はい。わたしは魔王城から来ました。。なので、ここで仮に討伐されても文句は言えません。」
、、、。2人とも口があんぐり開いている。なんか面白い。
「おい。店主」
「なんだ?勇者」
「お前なんてやつを連れてきたんだ?」
「しらんわ。だって門の前にいたんだもん」
「魔族って言うと、高位の魔法が小さい頃から使えるとか色々凄いって聞くのに、回復魔法だけなのか?」
「はい。わたしは回復魔法。小回復のレクパ(スペイン語の一部から引用)しか使えず、魔王軍四天王にも遠く及ばないことから、命だけ助けられ勘当されてしまいました」
第8章 - 人間界での価値
「人間界は今回復魔法が使えるやつが減ってきててな。あんたみたいな回復術師は非常にありがたい。この街で回復魔法役立ててみないか?」
「え。。わたし小回復しか使えませんが、、、」
「もちろん高位のグラレクパを使えるのが望ましいけど、そんなことを言ってられないくらい回復術師は深刻な人材難に陥ってるんだ。」
「どうして?」
「後ろで回復だけってかっこ悪いやん。皆ファイターを目指してファイターになってここに来るのさ。その過程で回復術師はパーティから外されたりして、ここにたどりつけないんだ。」
「だが、ここにいるこいつ」
「おい!俺にはアルフレッドってちゃんとした名前があるぞ!」
「そうそうそこのポンコツ勇者は攻撃、回復魔法両方使えて一人で魔王軍の最前線で戦えてるんだわ」
「すごい、、、。魔王軍四天王がとても厄介だと言ってるのは聞いたことがあります」
「あーでもな。回復に手間どるからどうしても攻撃に専念できないのが、悩みなんだよなー」
「わたしの回復魔法は小回復のレクパですが、魔族も回復出来ましたし、、ケガや病気もすぐ治ってました、、、。」
第9章 - 真の力の発見
「よし!俺の古傷直してくれんか?」
「治るか、人間にしたことないので。」
「レクパなら大丈夫だろう。」
「わかりました。怪我よ病気よ退散したまえレクパ!」
「ほわ〜ん」
「お、、、おお!!マジか!治るどころか調子良い?あれ?マジか!?すげー!」
「良かった、、、。」
「あんた。すげーじゃねーか。」
「いえ、、。魔族に効くことは知っていましたが、勇者様にも効いて良かった。。」
「凄すぎんか?小回復でバフかかってるぞ?多分。」
「え?」
「嫌だから、調子が良くなるどころか、多分強くなってる!」
「はい?」
「あんたのレクパただのレクパじゃ無さそうだな。」
「その衣類下着も合わせて全て1式勇者殿のツケにしといてやるから持っていきな。あ、俺が病気になったら真っ先に治しに来てくれや。」
第10章 - 初めての公衆浴場
そしてわたしたちは、、、公衆浴場へ連れて行かれた。当然勇者殿はいっしょ・・なわけがなかった。
使い方などは中の人に聞けと言われて、強引に押し込まれた。
ここがこうで、あれがこうで、それがこう。ふむふむ。。。
はいわかりました。。。初めての経験ですが、行為を無駄にするわけにいきません。
とにかく、体をキレイにして湯船に少しだけ浸かって、ホッと一息がやっとつけました。
「おう、やっと出てきたな。」
「はい。ありがとうございました。」
「じゃ宿へ行くか。ギルドの換金も済んだし。ベヒーモス討伐は中々おいしかったぜ~」
「そうですか。。」
「あ、悪かった!さっきまで味方だったのに悪い。」
「いえ、それは仕方のないことでありますが、ベヒーモスをまさか一人で?」
「あぁそうだよ?」
「え。。。それってすごい・・・。わたしは一人では全く歯が立ちませんでしたので」
「そりゃそうだろ。回復魔法は戦う魔法じゃないからな。」
「ま。今日は宿で飯食って寝ようぜ。宿は取ってある。」
「・・・!?」
「あぁびっくりしたか?一応部屋は分けてあるから安心しな」
「いや、、わたしの部屋まで??」
「あたりまえだろ!ここまで来てオレだけしか宿取ってなかったら、ちょっとおもしろいな」
「まぁいいから今日はゆっくり休め。あ、女将さん!この人が例の人ね。よろしく頼む」
「あらあら、随分カワイイ娘連れてきたじゃないのさ」
「違うわ命救われたんだよ。そのお礼。」
「え?今日ベヒーモス倒したんでしょ?同行してたの??」
「まぁね。強いんだぜ彼女。だから部屋とメシよろしくな。オレは部屋で寝るからよ」
「はいよ!飯はいらないのかい?」
「いやいらねーわ。疲れたからとりあえず寝るし、まぁ食べたくなったら持ってるからいらんわ」
「んじゃおやすみ~」
「あなたは?どうする??」
「わたし・・・?じゃぁご飯いただきます・・・。」
夕食が並び無我夢中で食べてしまいました。。。お腹へってたから。
「部屋は奥の角部屋。部屋の中にシャワーもあるから使いな。」
「はい。。。(シャワーってなんだろう?)ありがとうございます」
階段を上がり左に曲がって奥の部屋と。。。あった。鍵を使って。
あぁ、初めての感覚だ。一人で落ち着ける空間。そして勇者殿に感謝しなきゃ。
第11章 - 朝の始まり
朝。わたしは起きたあと、しゃわーなるものを使ってみた。
なんともサッパリするこの感覚好きかも。そして勝手にきれいになるバフがかかる衣類一式を改めて着て。
下に降りていきます。
すでに勇者殿が待っていたので
「あ。」声が出てしまいました。
「おう。よく眠れたか?」
「はい。初めてでしたがよく眠れました。ありがとうございます。勇者殿」
「よせや。アルフレッド。アルフと呼んでくれ。そういや。あぁまいいか。朝食食べよう」
「わかりました。アルフ。」
朝食が済み、宿を出ます。
「女将さん今日も部屋取っておいてよ!」
「はいはい。勇者様の頼みとあっちゃぁ断れないさ。2部屋でいいのかい?」
「邪悪な笑み浮かべるな。2部屋に決まってるだろう。よろしくな」
第12章 - 名前のない姫
街を少し歩き、ふと勇者殿が訪ねてきました。人が少なくなったその時に。
「君さ名前は??聞いてなかったけど。」
「わたしにはまだ名前がありません。姫と呼ばれていただけでした。成人し一人前の戦士として魔族の誇りを持てるようになったら名前は授かるものでしたが、四天王にすら遠く及ばないわたしは破棄となってしまったので。名前はありません。。。」
「そうか、魔族も大変だなぁ。まぁいつかは決着つけなきゃいけないんだけどさ。」
「はい。それはわかってるつもりです。」
「んで、今後だけどどうする??回復術師の特技生かして、治療院で働いてもいいし。」
「。。。」
「まぁじっくり考えればいいさ。オレは懐が暖かくなったから、宿はしばらく用意できるしな。」
「。。。わたしは。。。わたしは。」
「ん?どうした?」
「わたしはあなたのパーティの一員となりあなたの手助けをします。それが恩に報いることだと思うので。」
「ん?無理しなくていいぞ。オレの目指す先には必ず魔王がいるぞ。そして、魔王を倒しこの地域にも平和を取り戻すことが最大の任務だ。何年かかってもだ。」
「はい。わたしは魔王から破棄された身。魔族でもない、人間でもないわたしはあなたと一緒にいることが1番なのだと、街の方たちの反応みて思いました。わたしは、回復しか使えませんが必ず役に立ってみせます」
第13章 - 名前の誕生
「そうか。。。オレはパーティ組んでも過酷さに音を上げてオレだけ弾かれてしまってからな ワハハ」
「回復術師がいることで、オレは戦闘に100%集中できる。ありがたい。よろしくな シズル!」
「シズル???」
「お前の名前だよ。決まってなかったんだろ?シズルでいいじゃん。」
「静かに流れる シズルだ。うんいい名前だ これでいこう」
「アハハ 勝手に名付けられちゃいましたね。でもいい名前だと思います。」
第14章 - 歳月の流れ
その日からわたしたちは2人で訓練訓練。高位の魔物を倒したりして、、、10年後。
双子に恵まれました。才気溢れる双子でした。
先に産まれた女の子はあらゆる魔法を使い、あとに産まれた男の子は、剣術と魔法を剣に纏わせるという誰も見たことがない戦い方をする勇者として。
わたしたちは彼らのサポートしつつ、勇者一行として。そう あの魔王の城の敷居を再び跨ぐ事になったのです。
【完】
お読みいただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
こんご別の作品でもアルフとシズルはでてくるかも?しれません。(笑)
次回作?恋愛短編は上げていこうと思いますのでよろしくお願いします