8, なぜここに?
「また、また団長が逃げたぞ!!」
「だぁ~っ、何であんなに速いんだ!!」
お店の外から聞こえた叫び声に、ハーディは思わず苦笑した。
「本当にちょくちょく逃げているんですね、シャルルさんって。」
「ほら見ろー、いつもこんな感じなんっすから。」
「ほら、ヨハン。僕たちも団長探しに参加しないと。でも、ハーディさんの作ったジュース、持っていっちゃうと絶対溢す自信あるし、団長⋯。本当になんで今逃げたんだろう。」
「クソッ。俺の休憩時間がぁぁ。」
「あ、後で取りに来ますか?」
「うあっ、ありがとうございます!!」
「じゃあ、また後でね、ハーディさん。」
2人はそう言うと慌てて店を出ていった。
「あの2人、特にハヴィゼ。俺のことボロクソ言っていたね。」
「確かに、シャルルさんの言われよう少し可哀想で⋯、ん、今俺って。」
ハーディはカウンター席を見周した。すると、端の席にこの前見たような黒いローブを着た男が座っている。
「まさか、シャルルさん?」
「正解。」
ハーディが立ち尽くしていると彼は立ち上がり、ハーディの前の席に座り直した。彼が指で軽くローブを持ち上げると、下からはあの印象的な猫目が私を見上げていた。
「ね?」
「何故ここに?」
「サボり」
「⋯。」
「そんなに黙り込まないでよ。一応この前のジュースのお礼をいいに来たんだからさ?」
「そういえば、シャルルさんは開店した日以降この中でお見かけしませんでした。」
「だから、必要な仕事片付けて、ご褒美サボりで他のジュースも飲みに来てみた。」
「はぁ。」
(一体いつ店の中に入ってきたんだろう。ヨハンさんたちも、カウンター席に居たのに気付いて無かったし⋯。)
大分まずい状況な気もするが、色々考えてもよくわからないので、ハーディは取り敢えず何のジュースを飲むか尋ねることにした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
明日からは通常の更新時間に戻したいです⋯⋯⋯。
(待ってくださる方々本当にすみません。)