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最終回前編 国王復活祭

翌日。

国王復活祭・新バロンティアの日。

小規模ながら国王広場にて大々的に行われる国王復活祭。

バロンティア国民のためのお祭りですが諸外国からの参加も受け入れている。

国王の暴走気味の提案で王子以下周りが振り回される事態に。

とは言えお祭りで大盛り上がりは民にとっても大歓迎なこと。


ドンドン

ドンドン

太鼓や楽器だけでなく大砲の音までが鳴り響いている。

国王復活祭に相応しい盛り上がり。

バロンティアの力を誇示する意味があるのは分かりますが少々やり過ぎな気も。


広場はワイワイガヤガヤと騒々しい。

「おいクレーラ。こっちの列にも並んでみようぜ」

大はしゃぎのマッギ。

「はいはい。そうだコーコは? 」

「親父さんとこに行ってるよ。さすがに邪魔したら悪いだろ? 」

意外にも気が利くマッギ。でも二人で回るのを楽しみにしていたはずでは?

「ピエール先生か…… この後どうするのかな? 」

「ははは! 親子三人で楽しく暮らすんだろうよ」

呑気なマッギ。どうやらコーコから何も聞かされていないらしい。


「そう言えばコーコの母さんが回復したってよ。これはめでたいだろう? 」

その話もすでにコーコから。そして自由同盟と共に行動するとも。

ようやく見つけた行方不明だった父。ピエール先生自身も受け入れる姿勢。

だからこそマッギには悪いですがコーコたちは旅立つことに。

自由同盟がこの国を離れればコーコも。

それを分かってるんだか分かってないんだかマッギは陽気に笑う。

もう呑気なんだから。これはたぶん置いていかれるパターン。


「ねえマッギはこの後どうするつもりなの? 」

「はあ? 吟遊詩人としていつもと変わらずに平和に過ごすさ」

「そう…… 長い旅に出る予定は? 」

「戦が終わったばかりだぜ? 今はまだ考えたくもない。お前だってそうだろ?」

「確かにそうなんだけどさ…… 」

「そんなことよりこの行列何だと思う? へへへ…… 美味そうな匂い」

食い意地の張ったマッギは匂いに釣られる。

つい私まで反射的に行列に並んでしまう。情けない。


マッギは美味しそうだと言ってるけどどうかな。

「それよりお父様を見かけなかった? 」

昨夜からそわそわした様子。どうも何かを隠している気がした。

「いや今日は見かけねえな。どこ行っちまったんだろうな」

マッギも知らないそう。とすると王子のところにでも。


「おーいクレーラ! 」

噂をすれば王子が駆けてくる。

「今マッギと行列に並んでるところ。王子もどう? 」

僅かの間でしたが一緒に過ごした日々。

その時々で王子ではなくプレーゼだったりプレゼーヌだったり。

今思えば楽しい日々を過ごした。そんな気がする。

「ああ構わない。だが後で付き合ってもらう」

王子が物凄く積極的に見えるのは錯覚でしょうか?


「はいはい。国王様に挨拶ですね? 」

「ああそんなところだ。それでこの行列は? 」

王子が尋ねるがマッギも私も知るはずがない。

「たぶんクッキーですぜ。この匂いはそうに違いない! 」

もうマッギたら本当にいい加減なんだから。

「ははは…… マッギは相変わらずだな」

「それは褒めてるんですか王子様? 」

「当然だろマッギ」

「へへへ…… それは嬉しい限りで」

こうして他愛もない話をすること十五分。ようやく順番が回ってきた。


「一杯どうぞ…… あれクレーラ? それに王子様まで」

何とお父様を発見。しかしこれは一体何の真似? 

「ははは…… 隠していた訳ではないんだがな。つい言いそびれてな」

どうやらこの行列の正体はお父様のお店。

「ほらクレーラ。王子もどうぞ」

お父様自慢のホットチョコを配っていた。

何だか昨日から様子がおかしいとは思っていましたがまさかお父様が?


「ほら冷める前に。マッギ君も飲んでくれ」

「おお! 美味そう! 」

「どうした二人とも? 私の入れたホットチョコだ。冷める前にどうぞ」

自然に進めるお父様。ですがこれは……

「飲めるか! 」

「そうですよ王子の言う通り。またこれを飲ます気? 」

絶対に無理。あの日の記憶が蘇る。

「美味しいんだがな…… 仕方ないか。無理はさせられないな」

無理強いはしないと笑う。


ダメ…… どうやらまだ打ち勝つことはできないらしい。

「捨てるのか? もったいないな。よし俺が代わりに飲んでやるよ」

こうして何も知らないマッギがすべてを飲み干す。

「大丈夫マッギ? 三杯も飲んではお腹に悪いよ」

「ううう…… 眠くなってきた。悪い昨日はあまり眠れなくれよ」

それは私も同じって…… 確かマッギは気持ちよく酔っぱらっていたはず。


「王子様。やはりまだ無理なようですね。ゆっくり少しずつ慣らしてきましょう」

お父様のアドバイスが王子に届くのでしょうか?

「お前に言われたくはない! 爵位を取り戻せなくても知らないからな! 」

大人げなく怒ってしまった。まあ気持ちは痛い程分かりますが今日はめでたい日。

そこまでムキにならなくても。


「王子…… 」

「行くぞクレーラ! 」

そう言うと無理やり引っ張っていく。何て強引な王子なのでしょう?

「もう王子ったら…… 」

「ほら早く! 」

お父様のせいとは言え再び我がまま王子に振り回されることに。


               続く

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