表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/101

後始末

王子対ポルフェの決闘は十分近くを要した。

これほどまでに長くなったのは牽制し合い中々攻められなかったことにある。

ポルフェは滅茶苦茶に剣を振り回すが前に行くことはなかった。

王子も慎重に機会を窺っていた。


ポルフェの剣は見た目を似せた紛いもので攻撃力は低い。

もちろん切るのではなく打つのであれば多少の可能性も。

しかしポルフェはそうはせずただ振り回し切り刻もうとする。

そこで反撃を喰らいそのまま倒れる。

戦いは時間を要したが決着はあっという間。


「おーい大丈夫か! 」

すぐにトニーが駆けつける。

国王捜索のために二手に分かれていた。

「トニー。無事だったか? 」

「もちろんですよ王子。全員無事です」

今仲間がC班の面々を迎えに行ってるところだとか。


「ではそろそろ後始末をするか。国王様お願いします! 」

「うむ。では後に続くがいい」

国王を先頭に裏切り者の巣窟である王宮殿に乗り込む。


そこには当然陰謀に関わったポルフェの仲間が。

震える者たちは国王の亡霊に我を失う。

「うわああ! 国王様? なぜ…… 」

「馬鹿者! 儂はまだ生きておるわ! 」

多くの者は王子の反乱により国王は幽閉されたか殺されたと思っている。

その国王が生きていて目の前に現れたのだから混乱するのは必至。

実際にポルフェの手下によっておかしな噂が流れもしていた。


「それに王子様まで…… これは一体? 」

全員が全員陰謀に関わったのではないが少なくても半数近くは。

それは陰謀に無理やり巻き込まれたお父様が一番よく分かっている。


「とにかく儂は国王に復帰する。文句ある者はおるか? 」

沈黙が流れた。さすがに誰一人として逆らう者はいない。

「よしでは納得したでいいな? 」

国王に続いて王子まで戻ってくれば彼らにはどうすることもできない。

ただ拍手をするぐらい。


こうして国王の地位は回復された。

また王子も当然ながら回復。

後はお父様だけ。そこが一番難しいところ。


「ではさっそく! 」

復帰して早々に大事な役目を果たす。

王宮入り口付近で攻防を続けていた二組。

王宮警備隊と国王奪還救出部隊がにらみ合いを続けている。


「全員に告ぐ! 儂はこの通り復活した! 両軍とも武器を捨て中に入るがいい」

「国王様それはいくらなんでもやり過ぎでは? 」

「何を言うか王子! 彼らの健闘を称えないでどうする? さあ連れてきなさい」

こうして大人しく両軍とも王宮内へ。


元々国王奪還救出部隊なので国王が姿を見せた時点で充分役目を終えたことに。

国王が復帰すれば問題解決。

立場が違えど両軍とも国王を守ることに変わりないのだから。


「王子! 」

部隊を率いた偽王子が飛び込んできた。

「おいおい私の代役なのだから少しは格好よく頼むよ。なあ王子様」

「そんな王子…… 」


今回の作戦は彼なしではあり得なかった。

彼が王子の代わりに隊を率いたからこそ入り口付近に引きつけることができた。

その隙を突いて我々C班が手薄になった後方から突入。

国王を慕って結成された部隊。そこに自由同盟が加わり強固なものに。

最後の王子役によって相手も騙され作戦は成果を上げた。


「助かった。次も頼む」

「もう勘弁してくださいよ王子」

泣き言の偽王子の動揺ぶりに国王も大笑い。追随するように皆笑いだす。

「しかしもう代わりは務まるまい。ここまで大々的にしてはな」

「そんな国王様…… 自分はどうすれば? 」

「ははは! 大人しく故郷に戻ればよかろう? 」

「そんなあ! 」

国王は大はしゃぎ。久しぶりの交流に羽目を外しているご様子。


「では私どもはこれくらいで」

マキシミンが挨拶を済ませ引き上げようとする。

国王が止めに入る。

「まあ待て。明日急遽祭りを開催したいと思う。

これは国王復帰の祝いと新しいバロンティアを記念して。

そこにぜひ君たちを招待したいと思う」

国王は誰にも相談せずに勝手に決めてしまう。


「国王様! それはあまりに早急でございます」

さっそく反対されてしまう。こう言うところが反感を食うところなのでしょう。

「明日だ! 儂が明日と決めたら明日だ! 今から準備をせんか! 」

こうなっては誰も逆らえない。渋々従うことに。

「仰せの通りに」

「それでいい。ではマキシミンよ快い返事を待っているぞ」

押し黙るマキシミンを放置して疲れたと行ってしまわれた。


「お待ちください国王様! 」

こうして急遽国王復活祭が開催されることに。


一時間が経ち熱狂も冷め自由同盟は引き上げて行った。

恐らく昨夜の宿に戻られるのでしょう。

国王奪還救出部隊もどこかに一泊する模様。

国王の我がままに付き合うつもりたしい。

我々C班は王子の勧めもあって王宮で一晩過ごすことに。


ふー疲れた。もう夜になってしまった。

後片付けに追われて王子とロクに話すことさえなかった。

今王子は自室でお休みになられているのでしょうか?


コンコン

コンコン

こんな遅くに訪ねてくるのは王子以外ありえない。

「どうされました王子…… 」

「へへへ…… 飲みすぎちまったぜ」

こんな時に余計なのが。

「マッギ! あなたの部屋はあっちでしょう? 」

「へへへ…… そうだっけか? 」

今日は酒が美味いとふざけたことを抜かすのでお引き取り願った。


ドンドン

ドンドン

今度こそ王子でしょうか?

「済まんクレーラ。まだ爵位は難しいようだ」

お父様もどうやら酔っているらしい。

「ほら早く自分のお部屋に! 爵位のことは私が何とかしますから」

「そうかクレーラ。では頼んだぞ」

またしても余計な者が。


続けて来客が。

「クレーラいいか? 」

今度こそと思ったらタルシムまで。

「どうしたんです王子? 」

「その…… 話しておきたいことがあるんだ」

ついに愛の告白? でも付き添い付きは情けないですよ王子?


こうして夜は更ける。

長い長い一日が今終わろうとしている。


                続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ