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決闘! 王子対ポルフェ

地下牢には国王に王子。それからお父様が。

私を人質にポルフェ逃亡。

そこにマッギとコーコと謎の男の三人が乱入。

逃亡者・ポルフェは取り囲まれてしまう。


「いいのか? この女がどうなっても知らんぞ! 」

未だに私を人質に逃走を図ろうともがく。

「だから早くしろって! 俺はどっちでも構わない」

マッギは本気らしい。

「裏切り者! 一番弟子でしょう? 」

「おいおい興奮するなよ。俺はどっちでも良いと言っただけだろ?

やるかやらないかは二分の一。この男次第だ。そうだろ爺さん? 」

下手な言い訳に終始するマッギ。結局裏切る気満々じゃない。

「まったくどいつもこいつも。新国王に向かって無礼であろう! 」

ポルフェは我慢の限界だと怒り狂う。これもマッギの作戦? そんなはずないか。


「おい! 姫を解放しろ! 」

謎の男がマッギを制して前に出る。

「いえ…… ですからこいつは姫ではなくただの怖い婆さんとこの我がまま娘」

訂正するマッギ。本当に憎たらしいんだから。もう許せない! 

それに対してこの素敵な方は恐らく……


「姫を放せ! 容赦しないぞ! 」

興奮する謎の男。それほどまでに私が心配なのでしょう。

熱い思いが伝わってくる。

「ははは…… それはできん相談だな」

余裕のポルフェが笑い飛ばす。


「何だと! ふざけるな! 」

怒りをぶちまける謎の男。

「その声…… お前はまさかタル? タルシムなのか? 」

王子がついに謎の男の正体に気が付く。

「ああそうだ。俺はリョウガ王国王子のタルシムだ! 援軍にやって来た」

「ウソ? あなたがタルシム様? 」

どうやら本当に大ピンチに駆け付けてくれたらしい。


「おおクレーラ! 怪我はないか? 今すぐ助けてやるからな」

「遅いぞタル。まったく何をしてたんだ? 」

「ははは…… 馬車がちょっとな。まあいいだろう? 間に合ったんだから」

呑気なタルシム。そう言えば我が王子も。


「おいお前たち! この新国王を無視するんじゃない! 」

我慢の限界を超えたポルフェが嚙みつく。

「これ以上舐めた真似をしたらこの女の命はない! 」

「まあまあ落ち着いて」

そう言って距離を縮めるタルシム。


「近づくなと言ってるだろう? この愚か者めが! 」

「だから爺さん。もう逃げられないって。大人しく観念しな」

「凶器を捨ててクレーラを放しなさい! 」

マッギとコーコも前へ。


「動くでない! 何度言えば理解するんだお前たちは」

呆れるポルフェにお構いなしに近づく三人。

包囲網は完成されつつある。

「もう逃げられないぞ! 」

ポルフェとの戦いも最終局面。


「今は膠着状態が続いている。俺たちもお前もどうしようもない状況だ。

ここで一つ提案がある。王子と決闘し次の国王を決めるのはどうだ? 」

意外な提案をするタルシム。果たして彼の狙いは?

「ああん? ふざけたことを抜かすな! 新国王に向かって無礼であろう」

一歩も引かないポルフェ。これではいつまで経っても終わらない。

「大丈夫。お前に有利なように先に武器を選ばせる。そっちもそれでいいな? 」

牢で見守る王子が叫んで答える。

「よし決まりだ。だったら他の者は一歩も動くな! これは二人の戦いだからな」


「ほらよ! 」

ポルフェは取引に応じ鍵束を投げる。

「よし開いた」

王子のみを解放すると再び鍵を閉めポルフェに返す律儀なタルシム。

何て堂々としてるのでしょう? これでは相手だって騙される。


「正々堂々と戦ってもらう。他の者はそこを動くな。

国王様も安全が保障されるまで大人しく願います」

「分かった。ダルシムよ本当に王子は勝てるんだろうな? 」

国王は勝算があってやってると信じこんている。でもそれは実際に戦わなくては。

タルシムは敢えて否定も肯定もしない。

こうしてタルシムを見届け人にして王子とポルフェが交えることに。


二人は表に出て正々堂々と戦う。

次期国王の座をかけての決闘。

私は大人しくしてることを条件にその場にいることを許された。


「では約束です。好きな武器をお持ちください」

マッギに持たせた警備隊用の一般的な剣。

コーコに持たせた恐ろしいほど黒光りする名刀もどき。

それからお父様の剣。

この三つから選ばせる。


「うーん。やはりこれかな」

ポルフェは何の迷いもなく名刀もどきを手に取る。

「本当にそれでいいな? 」

「ああ他のものに比べてよく光っている。これは別格だ。

ポルフェは武器に疎く見た目だけで判断してしまう素人。

さすがに手下が使っていた剣には見向きもしない。

「うーん。こっちも悪くないがな。あの間抜けが使っていたのだろう? 」

ポルフェはお父様が使えないと決めつけてその剣にまでケチをつける。


「では次! 」

王子はどちらを選ぶのか?

「うん。これでいいだろう」

お父様の剣を手に取る。


「よしこれで二人とも文句ないな? では次期国王の座を掛けて決闘開始! 」

さあ果たして勝敗の行方は?

もしポルフェが勝てばこの国が終わりかねない状況。

ですがこれも約束事。反故にはできない。


「行くぞ王子! その生意気な面を切り刻んでやる! 」

怒りに身を任せて無茶苦茶に振り回す素人のポルフェ。

「国王の名のもとにお前を駆逐する! 」

随分格好をつけた王子。その代償を払わなければいいのですが。

あの王子ですから心配で仕方がない。

でも大丈夫よね? もしもの時にはタルシム様がお助け下さるはず。


「王子覚悟! 」

「負けるか! 」

こうしてついに戦いの火ぶたが切られた。


結果は……

十分が経ちようやく決着。

すぐにタルシムによって救出された国王以下。

急いで決戦の舞台に駆け付ける。


「よくやった王子! 」

国王大喜び。

「それはそうだろうよ」

当たり前だと冷静過ぎるマッギ。

「もうマッギ! こんなお祝いムードに水を差さないの! 」

コーコは窘めつつ喜ぶ。


「クレーラよ。これで我々親子も本当の意味で救われたな」

お父様は喜びの涙を流す。

「お父様! 」

胸に飛び込む。


「よくやったなお前」

「タル…… 」

王子たちも抱擁を交わす。


「おーい…… まだ儂は生きてるんだがね…… 」


これでほぼ作戦終了。

後始末にかかる。


                   続く

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