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新国王・ポルフェ

間もなく正午。そろそろお昼と言うところでパタリと音が止む。

さっきまであれほど激しかったのに今は不気味なほど静かだ。


「こっちだ! 」

三つの影が動き出す。

「おい…… 何だか急に静かにならなかったか? 」

「はあ? そう言えば…… 」

「戦いはもう終わったんじゃない? 」

「それはないさ。現に国王は救出されてないんだろう? 」

「ですが…… 」

「いいか二人とも? 今は任務に集中しろ。いつ敵が襲って来るか分からない」

「へいへい。では急ぎましょうぜ親分」

助けてもらったこともありすぐに下手に出るマッギ。


ゴーン! ゴーン……

近くの教会から正午を知らせる鐘が鳴り響く。

「どうやら昼みたいだな」

「へへへ…… そう言われると何だか腹が減って来たな」

「もうマッギったら子供なんだから! 」

二人がじゃれ合う。


「静かに! 気を抜くな! 本当にここでいいんだな? 」

「へい。間違いありませんぜ」

「よし。二人とも心の準備をしておけ。中に入るぞ」

こうして三つの影は地下牢のある建物に吸い込まれていく。


地下牢。

「どうした従わないつもりか? だったら容赦なくこの女を傷つけるぞ」

裏切りのバロン省・ポルフェ。

彼こそがこの度の陰謀の首謀者。黒幕だ。

「待ってくれポルフェ! 彼女は関係ない。解放してやってくれ」

「ふふふ…… 甘いですな王子も。だから反乱を起こされるんですよ」

腕を掴み引き寄せると首元にキラリとしたものを押し付ける。


「いや! お願い! 」

パニックで我を失い騒ぎ立ててしまう。

「静かにしろ! お前は大事な人質なんだからな」

「クレーラ…… 」

「お父様…… 」

王子が一歩前へ。お父様は逆に一歩後ろへ。

どうやら強硬策に出るつもりらしい。

でもちょっと待って? それだと私が危険なのでは?


「おっと動くなよ。一歩でも動けばこの女がどうなるか分かるだろう? 」

そう言って一人バカ笑い。すでに勝った気でいる。

「王子…… 」

「クレーラ…… よし分かった。言う通りにしよう。だから彼女を傷つけるな!」

「だったら早く中に入らんか! そこのお前もだ!

親子ともどもとんでもなく間抜けで使い物にならん。少しは儂の役に立たんか!」

ポルフェが毒ずく。


「調子に乗るでないポルフェ! 裏切り者の分際で何を抜かす! 」

「これはこれは前国王様。まだまだ元気なご様子で。何よりでございます。

しかし現在は新国王のポルフェの下新たな国に生まれ変わる途中です。

どうかその場で見守りください。寂しくないように王子もこの使えない家臣も。

さあほら王子。どうぞ中へ」

こうして大人しく王子とお父様は牢屋の中へ。

またしても私のせいで救出奪還作戦が失敗に。しかも今回は致命的だ。

どうすればいいのでしょう?

「よしいいぞ。ではこの新国王様が直々に閉めるとしよう」


ゴーン! ゴーン! ゴーン……

正午の鐘が。

「脅かしおって。昼だな。新国王がお前たちに最高の残飯を振る舞うとしよう」

そう言って大笑いする隙だらけのポルフェ。

ここで隙を突いて形勢逆転を。


「おっと動かいないことだな。深く食い込むことになるぞ」

「もう解放しなさいよ! 約束が違うじゃない! 」

「そうだったな。全員入ったようだしお前を自由にしてやろうかな。

だがお前ら親子に散々邪魔された。ここでまた余計なことをされると困る」

「約束でしょう? 」

「ははは! そうだな。この態勢も大変だからな。よし…… やっぱりだめだ」

「何でよ? か弱いお嬢様一人では何もできないでしょう? 」

隙を突いて逃げようと思ったのに意外にも慎重。

さすがは陰謀を巡らすだけのことはある。

「確かにな。だがお前の目が気に入らない。歯向かおうとしてるように見える」

最低男は文句ばかり。約束を守らずにどこかへ連れて行こうとする。


「ちょっと…… 」

「来い! お前を警備隊に引き渡す」

冷静なポルフェ。

「いや! 何をするの? 」

「クレーラ! やめてくれ! それ以上はやめてくれ! 」

「そうだ。かわいい我が娘に何をする? 」

王子とお父様が叫ぶが特に効果なし。

「うるさいぞお前ら! これ以上逆らえば飯抜きだ。それでもいいのか? 」

そう言われては黙るしかない。

「分かればいいんだ。よしこの女を引き渡したらまた相手してやるからな」

王子とお父様は牢の中。私は未だに自由を奪われている。

ポルフェ逃走。


「おい誰か! 侵入者だ! 」

「へーい」

間の抜けた声。どこかで聞いたことがあるような……

「おお! 早く来い! 」

「お待たせしやした! 」

現れたのは三人組。


「よしこの女を始末しろ! 」

「本当によろしいんで? 」

「早くしろ! 」

「うーん…… 面倒臭いな。自分で何とかしてくれませんかね? 」

明らかにやる気が見られない警備隊。


「口答えをせずに命令に従え! これは王命だ! 」

「まったく爺さんには困るぜ。何が王命だよ」

「もうマッギ! ふざけてないで早く助けなさいよ! 」

「ははは…… 囮にして見捨てたくせによく言えるな」


「うん…… お前ここの者ではないな? 」

「やっと気づいたか! 爺さん大人しくしろ! 」

三人でポルフェを取り囲む。


「馬鹿め! それで追い詰めたつもりか? こちらには人質がいるんだ」

上手くやればポルフェを騙せたのにマッギがくだらないことに拘るから。

「好きにしな! 俺はこのお嬢様に散々な目に遭わされてるんだからよ」

マッギは退かない。

ちょっと…… これって作戦じゃないの?

マッギのせいで私の命が危ない。

震えるコーコ。その隣は誰?


「もう逃げられないぞ! さあ大人しくしろ! 」

謎の三人目が威嚇する。

この声にこの顔…… まさかあのお方?


追い詰められたポルフェ。

ついに物語は最終章へ。


                 続く

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