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マッギとコーコ

絶対絶命のピンチに追い込まれたC班の面々。

これからどうなってしまうのか?


うわあああ!

「動くな! 逃げるんじゃない! 」

「待ってくれ! 」

「仕方ない奴だな。面倒だ。ここで始末してしまうか」

「いや…… 待ってくれ! 俺はただ話を…… 」

ついに追い詰められる。


くそ! どうして俺はいつもこんな目に遭うんだ? 

王子に格好いいところ見せようとあの女の口車に乗って囮になるんじゃなかった。

前回もそう。囮にさせられるだけさせられてそのまま。誰も助けようともしない。

これでは見捨てられたも同然。いや端から助ける気などさらさらなかったんだ。


「分かった。俺が悪かったよ。この通りだ! 」

もはや謝るぐらいしかない。でも許してくれないよなきっと。

襲撃を受けただでさえ気が立っていると言うのに。

そんな時に迷い込んだ俺たちは格好の獲物となる。


「ははは! 情けない奴だな。なぜ立ち向かわない? 」

追い詰められた者をいたぶる。いい性格してるよなこいつら。

俺だって一対一なら負けないのによ。

「やってられるかこんなこと! もう好きにしろ! 」

ついにギブアップ。これ以上抵抗しても逆鱗に触れるだけ。

ここは大人しく捕まるのが無難。さすがに手荒な真似はしないさ。

「よし。だったら遠慮なく始末してやろう」

そう言うと剣を抜く。


「いや待ってくれ! 取引しようぜ。俺はすべてを知っている」

「おお取引か? どうするお前ら? 」

説得に応じて剣を納める。

感情に身を任せずに話し合いを選択する男にはまだ冷静さが残っている。

でもその隠し切れない薄ら笑いが何を意味しているのか? 


「助けたい者はいるか? 」

集まった五人は誰一人として賛成に回らない。

「そうか残念だな。どうやらお前と取り引きしたい者はいないらしい。

本当に残念だ。さあでは改めて処分するとしよう」

こうして完全に逃げ場を失う。後は大人しくするしかない。

もうどんなに抵抗しても無意味だ。


「では悪いがお前はここまでだ」

「ちょっと…… 」

「おいおいこの段階で命乞いとは見苦しいぞ? 」

「でも…… それはいくらなんでも酷い」


「さあ最期の時だ。もう観念するんだな」

「待って! その人を助けてあげて! 」

コーコが無謀にも飛び出す。

救世主登場かと思いきや違ったらしい。

「バカ野郎! お前まで捕まるだろうが? 」

「バカはあなたでしょうマッギ? 」

コーコが乱入するも状況が悪化するのみ。


絶体絶命の危機に飛び出さざるを得ないコーコ。

これでほんの少しでも時間を稼げれば……

そんな思いで飛び出したのだろう。

だがその判断は間違っている。今はじっと堪える時だ。

何があっても持ち場を離れるべきじゃない。


「どうしたら…… 」

動揺する者たち。男は切れても女は切れないとうろたえる。

「慌てるな者どもよ! 奴らはこの王宮に侵入した愚か者だ。

今正面突破しようとする者同様この国を乗っ取ろうとしているに違いない。

構うことはない。二人ともまとめて始末してしまえ! 」

躊躇うなと鼓舞する。何と非情な。血も涙もない。

こうしてマッギとコーコは悲惨な最期を迎えることに。


「コーコ済まない。俺のために…… 」

「もういいいの。さあ一緒に」

二人は手をつないですべてを受け入れることにした。


「いや…… やっぱりだめだ! コーコは何とか助けてくれ! 」

「ほお…… お前は構わないと? それで本当にいいんだな? 」

「ああ俺はいいからコーコを助けてくれ! 」

「本気か? 」

「ああ。男に二言はねえ! 」

命乞い。それはコーコのために。決して自分のためではない。


「よしいい心がけだ。ではお前を始末してからその女のことは考えてやろう」

決して見逃すとは言ってない。だがその可能性も僅かながらある。

「ありがてえ! 済まねえな」

「ははは! めでたい奴だ。誰がお前の言うことなど聞いてやるものか」

そうだそうだと囃し立てられる。

結局騙される。約束など守るはずがない。


「何て人たちなの? 最低! 」

コーコが反発するが大笑いするのみで決して相手にされない。

「悪いがお嬢さん。そろそろ執行させてもらうよ」

「ちょっと待ちなさい! 」

「悪いな。後はそっちで好きにするといいさ」

「お前ら…… 」

こうして二人は王宮に侵入した反逆者として処分されることに。


「待ってくれ! 最後に時間をくれ! 」

「悪いな。もう充分に与えたつもりだ。ではこれで」

非情な決断で二人を翻弄する。

「クソ! 化けて出てやるからな! 」

「ははは! 好きにしろ」

相手にせずに突き放す。


「コーコ! 」

「マッギ! 」

二人は抱き合って最後の時を待つ。


「待ってくれ! 」

「まだ言うか? 何と往生際の悪い…… 」

「いやそれは俺じゃない。コーコも聞こえたよな? 」

「うん…… あの辺りから」

コーコが待機していた辺りから男の声がした。それは間違いない。

これは一体どういうこと?


「まったく最後まで世話の焼ける奴らだな」

そう言って刀を構える。

振り上げたところで異変が。


「待てと言ったろ? 」

マッギたちとの間に男が割り込む。

「何者だ? こいつらの仲間か? 」

「ふふふ…… すぐに処分すればいいものを。俺が到着するのを待つんだからな」

「ふざけるな! やってしまえ! 」

有無を言わせずに男たちは謎の救世主に一斉に切りかかる。


五対一の数的不利を物ともせずに一気に三人を仕留める。

「済まない。手加減してる余裕がなくてな。ほら掛かって来な」

「できるなお前? 退け! 退散だ! 」

こうして絶体絶命のピンチを切り抜けた。


「大丈夫か? 」

「ああ問題ねえ。あんたはまさか…… 」

マッギは救世主の正体に気づいたらしい。


                  続く

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