感動の再会
ついに王宮内へ足を踏み入れたC班。
二手に分かれて国王捜索へ。
国王は今どこに? 果たしてご無事なのでしょうか?
光がほとんど届かない薄暗い地下牢。
外の音が遮断され怖いほどに静寂が保たれている。
不衛生な環境で食事も粗末なもの。
残飯と腐った水を求めネズミや虫が這い回っている。
そんな地獄のようなところに閉じ込められ不自由な生活を強いられる国王。
「どうですか国王様? お気に召すとよろしいのですが」
「嫌味を言いおって。反乱を起こし儂を閉じ込めるとは言語道断。
もはや許しはせん! 」
「ははは…… そう怒らずに。お年ですので体に障りますよ。
ただ国王様へ伝えに来ただけですよ」
「今更何を抜かすこの愚か者が! そんなたわけたことを抜かすでない! 」
「まあまあ。王子がよその軍隊を引き連れて奪還に。王子は偉いですよ。
しかし無謀だ。それに仲間に恵まれていない。
怪しげな集団を味方につけるんだから。
これではただ国を乗っ取ろうとしているとしか思えない」
「王子が戻ってきた? 何と勇敢な我が息子よ! 」
「呑気なことを。王子は先頭に立って全軍を率いてます。
これでは国王奪還と言うよりも反旗を翻したようにしか見えません。
とは言え我が国の王子ですから丁重にお招きしているところでございます。
王子さえ捕まえればすぐにでも戦意を喪失するでしょう。
おっと脱線しました国王様。
もはや風前の灯となった王子の最期を共に見届けようではありませんか」
「王子だって勝機があって来たのだろう。油断していては足元をすくわれるぞ」
「はい。ですから国王様を見舞った訳です。
あり得ないこととは言え突破されてはこちらの身が危ない。
念には念を入れてここで待機してると言う訳です」
「バカな! 大臣ともあろう者が裏切るだけでなくそのような愚かしい真似を」
「はいはい。それくらいでお願いします。
ここで待ち構えていればたとえ突破されたとしてもどうにでもなる。
いわばこれは安全策。ここで大人しく終わるのを待ちましょう」
その時侵入者を知らせる叫び声が。
「強行突破だ! 守れ! 中に通すな。絶対に通すな! 」
どうやら動き出したらしい。
マッギが惹きつけるだけ惹きつけて二名の見張りを剥がす。
「何者だお前は? 怪しい奴め! 」
「俺は吟遊詩人さ。世界各国の噂話を収集する。
ここは一つ面白い話をしてやろうじゃないか」
マッギはそう言うだけ言って駆けて行く。
「こら待て! この怪しい奴め! 」
「だから…… 教えてやるって。俺は吟遊詩人のマッギ様だ!
このありがたいお話を聞かせてやる。ははは! 」
調子に乗るマッギはなおも左に右にと逃げ回る。
「ほら早く追いかけてこい! 」
挑発を繰り返す困った男マッギ。
「そこを動くな! 」
見張りの一人が興奮状態。
もう一人が止めるがちっとも言うことを聞かない。
マッギによっておびき出された二人は最悪なことに持ち場を離れてしまう。
監視が緩んだところで地下牢のある屋敷へ。
予想通り中にも数名の者が潜んでいた。
「うわあ! 」
だが予想だにしない数で襲撃してきたのでただ叫ぶのみ。
為す術なく男たちはやられる。
「よし今の内だ。恐らく地下牢に国王がいるだろう。皆ついてくるんだ! 」
生意気な王子の背中を追う。
「危ない王子様! 」
地下牢に繋がる階段付近に潜んでいた男に気づかずに王子は無防備となる。
そこへお父様が代わって成敗する。
「待ってくれ…… 俺たちはただ命令に従ったまで…… 」
命乞いをする哀れな男。
そこまでするつもりはない。ただ抵抗さえしなければそれでいい。
最後の砦として立ち塞がった男もちっとも歯ごたえがなくただ震えている。
「おい…… 国王は本当にここにいるのか? 」
王子が有無を言わせない。どうやら知らない間柄ではなさそう。
「うわああ! 侵入者だ! 侵入者だ! 」
絶叫して果てる男たち。
「黙れ! 静かにしろ! 」
もはや優しい言葉を掛けられる余裕はないのだろう。
こうして立ちはだかるものを蹴散らし地下牢までたどり着いた。
さあついにご対面。
国王と王子親子の感動の再会に涙が込み上げる。
ですがまだ予断は許されない。
地下牢にもまだ一人や二人残っているはず。
あれ…… なぜか誰もいない。ただなぜか国王が一人。
放っておかれた様子。
ようやくか…… ここは王子においしいところを譲りますか。
「国王…… お父様! 」
「おお! 王子ではないか? 王子! 我が息子よ! 」
少々大げさにも思えますがまあこれくらいは許すとしましょう。
感動の再会ですからね。
こうして国王は無事救出された?
続く




