表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/101

国王捜索

ついに王宮内に足を踏み入れた。

これで国王奪還救出作戦も第一段階を終え第二段階へと入って行く。


トニーの協力を得て騒然としている王宮内の攻略にかかる。

「待ってくれ! 全員が行くと目立ってしょうがない」

トニーは慎重だ。捕まっては元も子もないので従うことに。


「どうします王子? 」

「そうだな。私とお前だけでいい。他の者は待機していてくれ」

「ですがそれでは時間が…… 手分けして捜索に当たられた方がよいのでは? 」

王宮内は広く移動も制限されるので時間がかかる。

国王がどこに閉じ込められているかもまだはっきりしない現状。

人手は多いに越したことはない。


いくら前方に注意を惹きつけてると言っても手薄と言うだけでいない訳ではない。

だからってこれ以上ゆっくりしていれば陽動部隊も限界を迎えることに。

しかも最悪なことに相手は王宮警備隊あるいは親衛隊な訳だから立場が違うだけ。

王子にとってはもちろん我々国民にとっても痛手となる。

これは敵対関係ではなく内乱あるいは仲間割れでしかない。

戦えば戦うほどバロンティアは弱体化していく。

その隙を突いて近隣諸国の侵略に遭う恐れも充分にあり得る。

今下手に争えばその口実を与えることにもなりかねない。


我が軍を見れば一目瞭然。

国王のために集結した外国部隊。

そして国ではなく自由のために立ち上がった自由同盟。

両者とも信頼の置ける者たちとは言え傍から見ればただの怪しげな集団。

いつ裏切ってもおかしくない。いや何も今とは限らない。

最終的に裏切っても何一つ不思議はない。


国王が捕まり王子が行方不明。王宮内はバラバラ。

終焉が近づいてるのは誰の目にも明らか。

だからこそ今回の作戦は双方ともに犠牲を最小限に留めたい。

ただそれでは防衛側に押し切られるか怪しまれるか。

陽動部隊の彼らにはあえて突撃と撤退を繰り返してもらっている。

だがもう限界は近い。

防衛側はそろそろ我々の真の狙いに気づき始めている頃。

もしこちらに目が行けばすぐに制圧されるのは間違いない。

まだこの小競り合いが続いてる間に何としても国王を救出しなければならない。

タイムリミットが迫っている。


「クレーラの言う通りだ。では三つに分けよう」

王子は説得に応じる。それでこそ国を治める者。常に冷静でなくてはなりません。

優柔不断は命取りになるが周りに耳を傾ける柔軟な姿勢もまた大事。

「私は王子と共に参ります」

「よし分かった。クレーラとマッギは私について来てくれ」

「でしたらお父様も」

「分かった。それ以外はトニーについてくれ。コーコはここで待機だ」

コーコを残し国王捜索に当たることに。


「よしついてこい! 」

そう言ってトニーは裏口を走りだす。

「よし我々も行動開始だ! 」

こうして二グループに分かれて国王捜索に当たる。


「王子。それで心当たりはあるんですか? 」

「ああ…… おじい様の頃に悪さをした者を閉じ込める部屋があったんだ。

今は使われてないが問題なく使えると幼い頃に教えてもらった覚えがある。

実際に見学したことも閉じ込められたこともある」

一体どんな悪さをしたのでしょう? 情けない王子のイメージとはかけ離れてる。

「まさか王子があそこに…… 」

お父様が表情を曇らせる。


「ほらボウっとしてないでついてこい! 」

「はいはい。分かりましたよ」

頼もしい王子の後を追うことに。

トニーが右に折れたのでこちらは反対側の左へ。


すぐに例の場所へ到着。

裏口など当然なく表から突破するしかない。

だが当然見張りがいる。見える範囲で二人。中にも数名いる模様。

さあここからどうするつもり? 

だが王子は下を向いてしまう。まさか何も考えてない?

お父様を見るも首を振るばかり。

もう仕方ないな。ここは私に任せて。


「マッギお願い! 盛大に暴れてね」

マッギを囮に正面突破することに。危険ですがもうこの手しか思いつかない。

「畜生! 何で俺ばっかり? 怪我明けだって言うのによ」

不満を漏らすマッギ。怒るのも無理ないか。

でも今はマッギの力がどうしても必要なの。

無理は承知でお願いしている。


「済まないマッギ。すべてお前の頑張りに掛かっている! 」

王子の頼みとあってはさすがのマッギも断れない。

「へへい! お任せください! 王子様のためにこの身を捧げる所存です! 」

格好つけて。マッギたら本当に単純なんだから。


「だったら早く行きなさいよねマッギ! 」

「うるせい! お前の指図は受けないぞ! 」

「ではマッギ頼んだぞ! 」

「行って参ります王子! 」

こうして旅立った。

元々吟遊詩人。旅は慣れている。

ただ今度の旅は一筋縄ではいかないでしょう。

囮として逃げ回り続ける果てしない旅になる。


我々は隠れて様子を見守るとしましょうか。


                続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ