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番人

雑草で守られていた隠れ橋を進むと王宮へと繋がる。


「ううう…… 誰か…… うぐぐぐ…… 」

謎の大男に囚われたマッギは息もできないほど。

これは一体? どうやら動きを読まれていたらしい。

極秘作戦は失敗に終わる?


「何だお前らは? 怪しい奴らめ! 」

身長二メートルを優に超える大男がマッギを投げ捨てる。

軽々と持ち上げるほどの怪力の持ち主。マッギとでは大人と子供のようなもの。

もし私みたいなか弱いお嬢様が立ち向かえばバラバラにされるのは明白。

それほどの相手。一度目をつけられてはもう逃げられない。


「痛てて…… 何しやがるこの野郎! 」

弱ってもまだ文句が言える。うん。マッギはまだ大丈夫でしょう。

問題はどうやってこの男を倒すか?

大きくて力もあって頭も切れる。しかも冷静。弱点はなさそうに見える。


我々の前に立ちはだかる壁。それは途轍もなく固い。

こじ開けるなど不可能。

だからと言ってここで立ち止まっていてはいずれ捕まってしまう。

そうなれば国王奪還作戦は失敗に終わることに。

惹きつけたとはいえ多少邪魔も入るだろうと思っていたが……

まさかこれほどの敵とは思いもしませんでした。

もう負けを認めるしかない。急いで逃げたい。

でもそれを許してくれなさそう。


「怪しい奴らめ! 容赦しないからな! 」

マッギだけでなく我々にまで敵意を剥き出しにする。

これではいくら説得しても無駄のよう。

ここは退散するしかない。


その時だった。

「止めろ! 私が相手だ! 」

お父様が刀を抜く。

嘘…… あのお父様が果敢に立ち向かうなんて。

やはりお父様は人が変わられた。

脅され国王を毒殺しようとした情けないままではない。

そうでしょう。そうでしょう。私の自慢のお父様なのですから。


「ほら…… 怪我するぞ。我々の邪魔をするな! 」

お父様? 何だか手が震えてるみたい。足も覚束ない。

うわ…… 嫌な予感がする。

「あん? どこかで見覚えがあるな。お前こそ邪魔するとただでは済まないぞ!」

脅しをかける大男。

「そちらこそ見覚えがある。大人しくそこを退くんだ。退け! 」

負けじとお父様が吠える。


「おおお! 」

刀に怯まずに突進する大男。

それはいくら何でも間抜け過ぎる。

素手で刀にどう立ち向かうつもりなの?

ただ意外にも脆いお父様。

素手と刀では…… いくら力の差があっても負けるはずがない武器で応戦。

それなのに突進する大男のプレッシャーに負けてしまう。


「済まん…… 許してくれ! 降参だ! 」

お父様は剣を仕舞ってしまう。唯一の希望を捨てる暴挙。

もうどうしようもない。

「お前たちも仲間だな? ふざけやがって! 」

どうやら謝っても許してくれそうにない。


入り口付近では二部隊が善戦してる模様。

警備隊を物ともせず突っ込んでいく。

それでも警備隊は後退しながらも応戦を続ける。

一進一退の攻撃が続いている。

もしこのまま続けるなら体力的にも精神的にも勝っている我が部隊に有利に働く。

警備隊は今のところ耐えているが限界が近い。

ただそれは本気で正面突破しようとした場合に限られるが……


私たちはこの後どうなってしまうのでしょう? 

まさか人質? ついに降参することに。

最悪見捨てられることも充分考えられる。

ああ! どうすればいいの?

 

未だに国王奪還部隊と警備隊が衝突している。

ある意味実力が伯仲しているからとも言えるが実際はこれも作戦。

今回の作戦は警備隊を誘い出すことにある。

国王奪還部隊が突っ込むのは相手に本気だと思わせるため。

警備隊が勢力を整えて防衛すれば激化してたちまち防衛ラインが。

押したり引いたりを繰り返しなるべく前に引き出す。

だから国王奪還部隊は本気では攻めずあくまでパフォーマンス。

やってる振りだから安全に注意を払ってギリギリのところで止めている。


その隙を突いて我々C班が隠れ橋を使って王宮へ。

手薄になったところで侵入。国王を救出することになっている。

これが王子とマキシミンとピエール先生の三人で考えた完璧な作戦。

とは言え例外はあってハプニングはつきもの。

謎の大男が暴れている。

もうお父様も降参してしまった。


「名を名乗れ! 王宮は何人たりとも不可侵の聖域。

お前らごときが立ち入っていい場所ではないのだ! 」

怒り狂う大男。そこまで言わなくてもいいじゃない?

こっちだって王子に従ったまでのこと。

肝心のその王子が戻って来ないから困った事態になっている。


「おーい皆待たせたな。二人を連れて来たよ」

ようやくの登場の王子。こんな大事な時にゆっくりしちゃって。

「王子! 遅いですよ! 」

まずい。つい怒りと焦りからプレゼーヌではなく王子と。

「王子? お前王子と言ったろ? 」

「いえ…… 聞き違いですわ。この方はお友だちのプレゼーヌ。

いくらかわいいからって襲わないこと」

大男にくぎを刺す。


あれ…… 何だか大男の様子がおかしい。

どうしたんだろう? 変なものを食べてお腹でも壊したのかしら?


「王子…… あなたは王子様なのですね? 」

大男が跪く。

「トニー! 誰かと思ったらトニーじゃないか。久しぶり」

「やっぱり王子。そんなおかしな格好させられて…… 」

なぜか涙を流すトニー。うれし涙? 悔し涙? 


                  続く

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