表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/101

あの日何が起きたのか?

馬車で王宮方面に。

「ではそろそろ参りましょうか」

「そうだな」

こうして昼間に移動を繰り返し夜遅くに王宮のある都を超え隣町へ。


前回と同じでは縁起が悪く危険もはらむので逆隣りの町を拠点にする。

さすがに前回と同じ町には留まれないだろうとピエール先生の判断から。

まさか気付かれてないでしょうがここは慎重にも慎重に。

疑われても怪しまれてもいけない。

今のところ異常なし。裏切り者もなし。

ただ気になることが一つだけ。

我々は一体誰と戦ってるの? 

見えない敵を相手にするほど難しいことはありません。


隣町・パリリントン。

早朝襲撃のためには王宮のある都が最適。

ただ前回同様警備の目が光ってるのでここが限界。

日が昇る前に行動開始しなくては。


コンコン

コンコン

「はーい。どうしたんです王子? 」

夜だと言うのに非常識な王子だから。美容と健康に悪いでしょう?

「済まない。ちょっと来てくれないか? 」

「何です王子? 眠れないんですか? 分かりました。添い寝してあげますね」

今王子はマッギと一緒。

マッギを追い出して王子と二人きりにならないと添い寝は難しい。

「いや違う…… そんなことは一度も頼んだことがない! 」

そんな真剣な目で否定されても困るんですけど。

だってプレゼーヌとしてならある訳で。あれ? 王子でもあったような……

決死の戦いを前に興奮して眠れないのは分かりますが。


「とにかくこっちに来てくれないか」

そう言って無理やり連れ出す王子。強引な方。

「はいはい。王子の魂胆は見え見えですよ。さあ愛を語り合いましょう」

あれ王子とはどこまで行ったんだっけ? よく覚えてないや。まああいいか。

「ほら早く入るんだ! 」

何だか様子がおかしい。まるで隠しごとをしている子供のよう。


なぜか部屋にはお父様の姿が。どう言うこと?

「こらクレーラ。王子に迫るのでない! みっともないぞ」

お父様からありがたいお言葉を頂く。

もうダメ。恥ずかしくて耐えられずに俯いてしまう。もう顔を上げられない。

「いえ…… これは違うんです」

「どう違うと言うんだクレーラ? 」

王子とのおふざけを他人にしかもお父様に見られるなんてどれだけ恥ずかしいか。

もういい加減からかうのはよそうかな…… 一日ぐらいは。


「まあいい。実は王子には私の方から頼んでもらったんだ」

「もうお父様! いちいち誤解を抱くようなことしないでください! 」

いつもいつもそう。こっちはずっと迷惑かけられっぱなし。

辛い思いも苦い思いも寂しい思いもついでに恥ずかしい思いも。

「まあまあそれくらいで勘弁してくれ。王子に迫ったことは黙っててやるから」

「もうお父様嫌い! 」

「ほらほらクレーラ。そんなことより冷えただろう? 」

そう言うと温かいホットチョコを淹れてくれた。

それくらいでは誤魔化されませんよ。


「どうだ美味いだろ? 」

下品にも飲みながら頷く。一応はお嬢様なんですけどね。

「そうかそうか昔よく作ってやったな。あれはお前が随分小さい頃だったな……」

昔話。長くなるから困るんですが。付き合うしかないのかな?

まるで国王様みたい。そう言えば今国王様はどうされてるのでしょう?

無事だといいですが。そうでないと救出奪還作戦が意味をなさなくなってしまう。

つい余計なことを考えてしまう。でも王子が大丈夫だって言ってたし……


「それくらいで」

王子が先に進むように促す。

「実は二人に話しておきたいことがあるんだ。聞いてくれるかな? 」

「どう言うこと? 」

「あの日のことを話そうと思うんだ」

いきなりあの日のことと言われましても思い当たるのは爵位を失った…… 


「クレーラには悪いがこの男をいまいち信用してない」

王子はそう言いますが本人目の前ですよ。一応私のお父様なんですけどね。

「王子様。それはあまりに心外です。

あの時私が下手を打ったことで反乱の兆候を読み取ったのですから。

そして私を追放なさった。その恨み今でも…… 」

「話が逸れてるぞ。私が知ってるのは仲間と結託し陥れようとしたことのみ。

一体そこまでに何があったんだ? 」

王子の追及にお父様は黙ってしまった。


「どうした? すべて話すと言うから時間を取ったのだぞ」

王子もお父様も当時の関係に戻ってるかのよう。

「言い過ぎですよ王子」

「しかしクレーラ…… 」


「あれは前日の夕刻。話があると誘われるまま。話を聞けば謀反の勧め。

陰謀うごめく宮廷内とは言え堂々と陰謀を巡らせる者たち。

私は話を聞き笑い流した。しかし皆笑み一つ見せなかった。

これは本気だなと。もう後戻りできない。

お前は仲間だ。陰謀を企てる謀反人だと無理やり従わされてしまう」

そこで一旦話を切る。


あれ? 何だか様子がおかしい。お父様は笑っているし王子は震えてるし。

私はと言うと難しい話とホットチョコで眠くて堪らない。

このまま永遠に眠ってしまいそう。


                続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ