お祭りムード
自由同盟のスリートップ。
マキシミン・ロペス・ピエール。
三人が揃えば怖いものなし。
集団を大きくした実績がある。
その中でもマキシミンのカリスマ性が人々を魅了している。
現在・自由同盟の隠れ家。
「それで…… 彼らに手伝ってもらおうと思うんだが」
彼らの団結力もさることながら数自体が魅力的。
今味方にできれば未来が切り拓ける。だからこそ王子は無理にでも誘っている。
信用の面ではまだまだですが能力には問題ない。
王子が見込んだだけのことはある。我々が反対する理由はない。
「ちょっと待ってくれ! 俺は参戦するつもりはないぜ」
ピエール先生が水を差す。
「二人に任せるよ。口を出すつもりはない。俺は自由気ままが性に合ってる」
この期に及んで格好つけようとするピエール先生。
「お父さん本気? 」
「ああ。もう戦いはこりごりだ」
散々自由同盟のために戦ってきたと駄々をこねる。
困ったな。これでは足並みが揃わないでしょう?
「大体マキシミンがいれば充分だ。なあそうだろ? 」
「しかし…… ピエール先生がいなければ勝てませんよ」
「いや俺は必要ない。足を引っ張るだけだ」
頑ななピエール先生。
マキシミンは聴衆を説得する力を持った上にカリスマ性も。
ロペスは戦況の変化に敏感で冷静な判断能力を持っている。
ピエールは勝利に導く分析力に優れており幾通りものプランを持っている。
「もう一度聞くが何のために自由同盟を? 」
改めて聞く王子。意外にも抜け目がない。
「個人はもちろん国家でさえ扱えない事案に積極的に関わるのが理念だ。
お前たちが窮地に立たされ仲間を集めているのは知っている」
陽気なロペスが口を開く。
「だったら協力してくれるな? なるべく多くの者を集めたい」
粘りの交渉を続ける王子。
「では二つほど守って欲しい。
一つ目は俺たちのことには一切詮索はなしだ。どこの誰かは教えられない。
二つ目は新たな仲間を集めたい。戦いが終わったら何人か寄越してもらいたい。
この二つが守られるなら今日からでも協力は惜しまないつもりだ」
提示条件は決して難しいものではない。
怪しい集団だがこの際多少のことは目を瞑るとしよう。
「分かった。その条件を呑もう」
うおおお!
酒場と化した隠れ家は一気にお祭りムードに。
「ではマッギ頼んだぞ」
王子のご指名でマッギがマキシミンたちと握手を交わす。
おおおお!
地響きがするかのよう。
男たちの熱狂が最高潮に達した。
「俺はボブ。よろしくなお前たち」
陽気なボブが握手を求めると雪崩を打ったように俺も俺もと列をなす。
マッギはその迫力に吞まれそうになる。
「王子。後をお願いします」
マッギは疲れたと逃げてしまう。もうせっかく王子に危険がないようにしたのに。
マッギたら怖気づいて本当に困ったな。
仕方ない。代わりに私が…… でも何だか怖い。
「よろしく頼むなきれいなお嬢さん」
「へへへ…… そう言うことだ」
握手を求める男たち。
もうどうしてそう正直なのでしょう?
でも相手にするのも面倒臭い。ここはコーコに譲る。
「ちょっと…… 」
「俺はここで一番偉いんだ! だから…… 」
適当な嘘を吐く男。
「いやああ! それ以上近寄らないで! 」
コーコでは無理みたい。
「おいお前たち! 俺の娘に何をしやがる! 」
「ひえええ…… ピエール先生お許しを! 」
「許さん! 」
愉快な仲間たちはいつまでもふざけ合う。
「それでピエール先生はどうするんです? 」
「迷ってるところだ」
「冗談でしょうお父さん? 王子の要請ですよ」
「うーん。そうだな。娘の頼みを聞かない訳にも行かないか。
それに王子の要請とあってはやはり断れないか」
ピエール先生は嫌々承諾する。
娘のためにももっと積極的であってもいいんですがね。
「ではこれより国王奪還作戦を開始する。賛同者は手を掲げて欲しい」
うおおおお!
男たちはもう後戻りしない。と言うよりも何も考えてない?
明日にでも決行しそうな勢い。もちろんすぐにと言う訳には行かない。
取りあえず自由同盟の希望をできる限り聞くことに。
「おお気前がいいね。そうでなくちゃ」
ボブは大喜び。気分よく酒を呷る。
そう言えばあの三人の姿が見えないような……
「ああ先生たち? もう動き出したみたいだな」
ボブの説明だと武器の手配を始めたのだとか。
自由同盟が加われば迫力も増す。作戦にもプラスに働くだろう。
「よし今から国王奪還作戦の詳細を語る。聞き逃さないように! 」
王子は全面的に信用したらしい。
まあもうここまで来ては信用するしかないでしょう。
運命の時迫る。
屋敷に戻る。
ではとりあえず人集めと爵位探しはここまで。
後は王子の判断次第。
続く




