自由同盟とコーコとの関係
シュバリエ。
元々はとある国の階級で国王に忠誠を誓った騎士で選ばれし者。
時が経ちそれがどう言う訳か国から離れることに。
自由同盟と名乗る怪しい団体によって授与される勲章。
彼らは国ではなく自由のために戦う騎士を求めているらしい。
『国王の名のもとに! 』から『自由の名のもとに! 』へ。
王子は彼らに興味津々。そこまでは分かる。
でもなぜコーコまで様子がおかしいのか?
自由同盟とは一体?
「これがシュバリエ勲章か? 風の噂では聞いてたが自由同盟が実在するとはな。
よしさっそく案内してくれないか」
王子はどうやら彼ら自由同盟について多少の知識があるらしい。
でもこんな怪しげな組織に興味を示してノコノコ付いて行って大丈夫?
今とても大事な時期。おかしな組織に関わってる暇はない。
王子としての自覚に欠ける行動は控えて欲しい。
「おお若いのに博識だな。教養のある位の高い者とお見受けするが。まさか……」
まずい。王子を疑い出している。これは非常に危険な展開。
彼らの素性が不確かである限りこれ以上はダメ。
王子の安全のためにも絶対正体を知られる訳にはいかない。
「ちょっとプレーゼ…… 」
ダメだ。まったく反応がない。
こうして怪しげな集団のもとへ。
「まさかお知り合いなのですか? 」
「いや噂に聞いた程度だ。それ以上は何も知らない」
仲間は欲しいが信用の置ける者以外はお断りしたい。
「だったらマッギは? 」
「ああ自由同盟だろ? 確か噂になったことが。何でも国を持たない部隊だとか」
吟遊詩人だけあって噂程度には聞いたことがあるそう。
さっきからそわそわしてるのはコーコ。
一体どうしてしまったの? 何を隠してる?
「コーコどうした? 」
「いえ…… 何でもありません王子…… 」
「そろそろヒソヒソ話はやめて中に入ってくれ」
自由同盟の仲間の活動拠点。
隠れ家のような場所かと思いきやただの酒場。
昼間から気持ちよさそうに酔っぱらっている。
この酒場こそが彼ら自由同盟のたまり場?
「ようこそ。我が運動に共鳴した諸君! ゆっくりして行きたまえ」
何だか妙に上からの男。自信過剰で嫌な感じ。
でもどこか魅力的。聴衆を惹きつける話術と持って生まれたカリスマ性。
そして王子にはない悲壮感。
自己紹介。
「僕はマキシミン。こっちがロペス」
マキシミンと名乗る男がこの自由同盟のリーダーらしい。
王子に劣らないルックスで背は低いものの教養があるようで知性が滲み出ている。
本人はその自覚がないのかそれともこの活動のせいか警戒心が強い。
「俺はロペス。この勲章は俺がデザインしたんだぜ。格好いいだろ? ははは!」
ロペスは対照的に明るく社交的だ。冗談も言って場を和ませる。
マッギとは気が合いそう。
そのマッギもさっきから様子のおかしいコーコが気になっているみたい。
「これをあなたが? 」
「ああ凝ってるだろ? 俺なりのこだわりさ」
剣と竜と花の細工がされている。
剣はこの自由同盟の結束を表しているのだとか。
竜は生命の源である水を。
花は美と豊作を表してるのだとか。
昔のことで当てにはならないがこの勲章こそがシュバリエだそう。
これを手にした者は当時の国王に忠誠を誓い自由を求め戦ったと語ってくれた。
「あの…… もう一人いますよね? 」
コーコがあたかも当然のように尋ねる。
「どうしたのコーコ? さっきからおかしいよ」
「だって…… 」
何か言いたそう。
そう言えばコーコは幼い頃に東の東から来たとかって話だった。
そして辺りを転々として去年ぐらいに今の家に越してきたとか。
結局私たちはコーコのことはよく知らない。
親友とは言え素性が分からないのは事実。
コーコは一体何を隠してるのか?
「詳しいねお嬢さん。そうもう一人いるよ」
ロペスはあっさり認める。別に隠すことでもないしねと笑う。
「会わせてください! その人に会わせてください! 」
いつの間にかコーコが前に出る。
「そいつはできないね。今彼はここにはいない…… 」
嘘とも本当とも取れる。
マキシミンもロペスも随分若い。
自由同盟がどれほどの規模の組織か分からない。
さすがに彼らだけではまとめるのは難しいだろう。
「彼はどこにいるんです? 」
コーコは食い下がる。
「それは部外者には教えられない。お前は一体何者だ? 」
コーコへの疑惑の目が向く。
続く




