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王子の罪と罰

王子絶体絶命のピンチ。

「王子様そこを動かないでくださいね」

そう言って立ち上がるとキラリと光るものを手に戻ってきたお母様。

ちょっと待って…… 一体何をするつもり……

ああもう見ていられない。早く! 早く誰か!


きゃああ!

メイドが大騒ぎして朝の静けさは破られ混乱状態。もう滅茶苦茶。

腰を抜かす者も。転んでカップを割る者まで。


もはや常軌を逸しているお母様。それはお姉様たちも同じだ。

どうしてしまったのだろう? 冷静さを失っている。

「王子様! いえプレゼーヌ。そこを動かないでね」

不気味な笑みを浮かべるお母様。一体何を考えているのでしょう?


「待ってくださいお母様! 」

動きがおかしい。早く止めなければ。

でも足が動かない。どうしても一歩が踏み出せない。

情けないことに足だけでなく体全体が震えてしまって役に立たない。

これではどうにもならない。もう間に合わない。


「お姉様早く! お止めになって! お母様を! 」

「ごめんねクレーラ。これは見逃せない」

復讐を果たす機会を得たのだ見逃すはずがない。

それは私も初めは同じ考えだった。

でも王子と知り合い行動を共にしよく理解するようになってから変わった。

もちろん正しい感情はお母様たちでしょう。だけど行動は間違っている。

王子を手にかけたら我が一族はお終い。それでも復讐を果たそうと言うの?

そこまでの価値が王子にあると言うの? 

ただそう思うだけでは決して届きはしない。


「ほら王子そこを動かないでくださいね。すぐに済みますから」

そう言って刃物を手に近づいていく。

もはや自分の力ではどうすることもできない。無力な自分を呪うしかない。

「ちょっとお姉様! ダメですよお母様! 」

必死に説得を繰り返すが聞く耳を持たない。

こんなところで復讐を果たしてどうするの?

確かに今なら陰謀の混乱に王子を始末できるかもしれない。

でももしバレたら我が一族は完全に終わってしまう。

それだけは何としても。お仕置きや制裁は仕方ない。でも命まで奪う必要はない。

どうしてそれが分かってくれないの?


「止めんかみっともない! 」

お婆様が慌ててその場を収めようとするも無駄だったよう。

三人はもう復讐の鬼へと変化してしまった。

楽しいお食事は王子の突然の告白で状況が一変。

刃傷沙汰へと発展してしまった。


私だって王子への復讐は考えていました。でもこんなことになるなんて……

どうしてこんな事態に?

王子は諦めたのかその場を動こうとしない。

どうしたんです王子? あなたが逃げなければ確実にやられてしまう。

お付きの者も仲間も居ないんですよ?

まさか私が何とかすると思ってるならそれは甘い考えです。


逃げて王子! 早く逃げてください王子! 

だが皆の手前逃げろとはとても言えない。

王子は確実にやられる。

もし冷静さを失った者が裏切り者を見つければ排除しようするに決まってる。

いくら家族でもいくら兄弟でもそれは変わらない。

もう誰も止めることはできない。


「済まない…… 皆さんの境遇を知れば知るほど己の犯した過ちを思い知る事に。

どうか許して欲しい。これもすべて国を守るためだ」

言い訳だか謝罪だかを始める明らかにタイミングの悪い王子。

もう諦めてる? ああこうなることは分かっていたのに……

後悔しても遅い。もはや万事休す。どうすることもできないのでしょう。

王子をお救いすることは叶わなかった。残念ながら現実を受け入れるしかない。


「王子御免! 」

こうして復讐は果たされた?


「待ってくれ! 考え直してはくれないかお前たち? 」

沈黙を保っていたお父様が口を開く。

「何を言うんです? ここにいるのはあなたを陥れた王子その人なんですよ? 」

怒り狂うお母様。

「そうです。なぜお止めになるのですか? 」

お姉様たちも失望してる様子。


「いや…… まだ我々にはしなければならないことがある。

王子を追及するのはそれからでも遅くない」

お父様は意外にも冷静で王子を恨んでる様子はない。

「だってあなた! あの王子ですよ? 許せと言うんですか? 」

「ああ許してあげて欲しい」

「そんなあなた! 」

「お父様! 」

ここまで来ては引けない三人。


ワワン! ワン!

そこにパンキーが乱入。

騒動に興奮してやって来たのだろう。

パンキーは止める者を振り払いお姉様たちもすり抜けて王子のもとへ。


救世主パンキーの出現で王子は救われるのか?


                 続く

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