集結
宮殿に向かう前に援軍と合流することに。
王子が密かに集結させていた国内外の協力者。
ざっと見積もっても百人はいるでしょうか。
この人数を相手にするのは骨が折れる。
正攻法で行けば数の上で圧倒すること間違いない。
しかも奇襲すれば奪還も可能。無血開城もあり得る。
ただ相手を無力化する前に逆に無力化されたら意味がない。
裏切りにも充分注意する必要がある。
援軍を迎え入れる。
「よく来てくれたな。我が国の危機だ。ぜひ力を貸して欲しい」
うわ…… この数をまとめ上げるのは本当に苦労しそう。
「我々は国王のために働くつもりだ。いくら王子でも国王の代わりにはならない」
「それは充分に理解してる」
「ではそろそろ」
「待ってくれ。まだ合流できてない者が。悪いが彼らの到着を待ってくれないか」
ここに来て遅れるのだから放っておいても良さそうですが。
それでも王子は待つつもりらしい。
「おいおいそれを本気で言ってるのか? 」
国王が囚われ一分一秒を争う深刻な事態。
いくら敵が事前に陰謀を巡らせたとしても手荒な真似をしない保証はない。
急ぐに越したことはない。でも急ぎ過ぎにも思えるしな。焦りは禁物。
「本当に済まない。明日には合流する予定だから」
王子はそこまで拘る理由があるの? これでも充分な数だと思いますが。
そう言えば親交のあるタルシム王子の姿が見えない。
待っているのはタルシム王子たちで彼には何らかの役割が与えられている?
宮殿から離れた町に宿泊することに。
目の前には大きな湖があって宿からも絶景が望める。
でもさすがに呑気に散歩は無理でしょう。
厳重警戒の中で私だけ勝手な行動はできない。
慎重にも慎重にを心掛ける。
宿の外の見回りも欠かさない。
不審な者がいないか? こちらを窺う者はいないか?
そうやってチェックをするのだが……
鋭い目つきで睨むものだから逆に怪しまれる事態に。
明日まで気づかれなければ問題ない。
最悪なのはもうすでに動きがすべて読まれてる場合。
遅れてる者が裏切ってる場合もある。
それだけではなく王子自身があまり信用できない。
国王を亡き者にして自分が成り代わろうとしてることだって充分考えられる。
あの王子ですから。ないとは言えない。
私はどうしたらいいでしょう? 悩みは尽きない。
とにかく今は無事に国王奪還できるよう祈るのみ。
うーん眠れない…… 明日のことが気になって寝れない。
王子はもう一緒に寝てはくれない。
男女別々の部屋。当然ですよね。
私だってこっちの方が気が楽。コーコにすべてを任せてしまえばいい。
それにしてもコーコもまだ王子に未練があるのかぽつりと王子様と独り言を。
マッギではなかったの?
王子を信じてここまで付いてきた。
私では到底戦力にはならないでしょう。今王子に必要なのは数。
陰謀に立ち向かえるだけの力。即ち勇気が大切。
でも一度戦いに巻き込まれたら勝負が決するまで行動を共にするしかない。
運命の日を翌日に控えて興奮して眠れない。
ああ王子の顔を拝見できたらすぐにでも安心できるんでしょうけどね。
でも大丈夫。問題ない。きっと問題ない!
でもやっぱり不安だな。王子が詳しく話してくれないから。
宮殿には明日乗り込むとしてどうやって国王を救出する気でしょうか?
行列に並んでればいいようなものではないし。
王子は秘密主義なのかその辺の大事なところを私たちに教えてくれない。
まさかまだ信用してない?
仮に我々の中に裏切り者がいたとしてもどうやって接触するの?
慎重もいいですけど不要な警戒で疑心暗鬼になられても困る。
そもそも王子が仲間にしたのだから。
マッギが多少怪しく見えるでしょうがそれは考えすぎ。
仲間を信じて欲しい。うーん仲間か…… ちょっと照れ臭い気もする。
ふふふ…… 仲間か。でも良い響き。
明日再び援軍が来るようなことを言ってましたが果たしてうまく行く?
援軍ともなれば目立ってしまう。先手を打たれたらお終いでは?
ううん。考え過ぎは良くない。ここはうまく行くと信じよう。
さあもう寝よう。
おやすみなさい。
続く




